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PASSION VOL.34  November.2012

感動できる利用者サービスの工夫


04 武蔵野市立ひと・まち・情報 創造館 
武蔵野プレイス

従来の枠を超え、人々を魅了する「場」へのチャレンジ

 
話し手:公益財団法人武蔵野生涯学習振興事業団 武蔵野プレイス事業部
    前田 洋一(部長〈館長〉) 
    鎌田 康(課長〈副館長〉) 
聞き手:木本 拓郎(金剛株式会社企画チームチームリーダー)


武蔵野プレイス

 
[木本]本日は武蔵野市立「ひと・まち・情報創造館 武蔵野プレイス」を訪問しました。多くの賑わいを創出されている秘密を探りたいと思います。はじめに、概要についてお話をお伺いします。
 
[鎌田]武蔵野プレイス(以下、プレイス)は平成23年7月にオープンし、1年後の来館者数は延べ140万人に上ります。視察見学の受入は100団体を数え、1日に3件の場合もあり、多くの方に関心と利用を頂いています。
 
さてプレイスは図書館をはじめとして、生涯学習支援や市民活動支援、青少年活動支援を含めた4つの機能を併せ持った施設です。特徴は、事業団が4つの機能を指定管理者で一体的に運営管理していることです。私たちは「複合“機能”施設」と呼んでいます。
 
これまで公共施設において複合施設ができても、単に機能の寄せ集めであって、各機能単体で管理運営がなされ、各機能が連携する際は一手間がかかっていました。プレイスでは生涯学習の大きな括りで、指定管理者という事業体で運営してします。これまでの固定的役割に留まらず、利用者の多様なニーズに応じて様々なサービスが生み出される組織形態を追求した結果でした。一セクションを越えた一体的活動が可能となり、複合機能の施設特性を活かしながら付加価値(情報や場)を提供することで、本来の来館目的以外の発見や効果を期待しています。
 
プレイスとは場を意味しますが、多種多様な活動が出会い・交錯する「場」、子どもからご年配の方まで多世代にわたる交流を生み出す「場」という意味が込められています。言わば、本や活動を通して人とひとが出会い、それぞれが持つ情報を共有・交換しながら、知的な創造や交流が生み出されることで、地域社会(まち)が活性化するよう公共施設を
目指しているのです。
 
 
[木本] 図書館づくりに、考えたことについてお伺いします。
 
[前田]プレイスの開館時間は9:30-22:00とし、開館日の全てに適用しています。何故かというと、これまで公共施設を利用できなかった人たちにも利用してほしいと強く感じていました。具体的にはビジネスパーソンが対象です。ライフスタイルの変化の中、公共施設利用への潜在的なニーズを拡げています。ただ時聞の延長については職員の勤務形態等に影響しましたので、結構勇気がいることでしたね。
 
次に雑誌に力を入れ、600アイテムを揃えています。世田谷区立中央図書館は800アイテムを揃えられていますが、分館レベルでの数量はナンバーワンだと自負しています。昨今のIT情報が台頭するなか、自分にとって有利で有益な情報の獲得、選別する力も問われています。各情報媒体の獲得については、即時性と専門性という指標で評価を試みると、次
のようになると考えます。
 
情報媒体 即時性 専門性
ネット
新 聞
一般書 ×
雑 誌

 
このなかで雑誌はグラフィック的に、視覚的訴求力があり、娯楽性もあり、多くの人たちに手に取っていただけます。雑誌をきっかけにしたネットや一般書への探求への可能性もあるので、一つのツールとして活用してもらうためにも雑誌を重視しています。ただし、誤解のないように申し上げておくと、ここでは即時性に着目した場合、敢えて一般書を×に評価しましたが、そのことのみで一般書の価値が損なわれるということでは決してありません。
 
続いて、これまでの図書館は静寂の極みの場でしたが、プレイスは従来の枠を超え館内は「吹き抜け」構造で、日本一の賑やかな図書館と呼んでいます。2Fにはお母さん達も子ども達と一緒に楽しめるよう、生活関連の一般書2.5万冊と児童書3万冊を配架することで親子で読書ができたりして、普段でいられる場・気軽に来られる場として創出できました。当初、一般書を読んでいる人から「うるさい! 」とクレームが来るのではと覚悟していましたが、利用者は想像以上に寛容でした。
 
 
[鎌田]このざわつきが心地いいと思うこともあります。なおB1Fには静の空閣を設け、過ごせるようにしていますので、静と動の組み合わせた多様な空間がこの施設にはありますね。また2Fの一般書の配架にはNDCでは行っておらず、本屋さんみたいにどんなカテゴリーの
本があるのか見やすいよう、ジャンル別に配架をしています。
 
 
[木本]新しく採用したことはなんでしたか。
 
[前田]ICタグの採用で自動貸出機、予約棚、新着図書棚・今日返却棚を導入し、セルフ化を実現できました。特に今日の返却棚は利用者からも好評です。理由は普段、返却処理された図書は配架するためには時間が掛かりますが、逆手にとり専用の棚を設けることで、利用者からの検索にリアルタイムに所在が分かるようにしています。利用者の一部にはこの棚を楽しみにしている方もいて、1Fの賑わいを創出しています。
 
 
[木本]1Fのカフェにも本を持ち込めるのですよね。
 
[鎌田]本や雑誌を持ち込めますし、カフェではアルコールも飲めるめるようにしています。カフェの選定に当たってもプロポーザル方式で4つの条件を提示しました。
 
①プレイスのミッションを活かしてほしい
②そのためのイベントなども企画してほしい
③サービスの高いクオリティを守ってほしい
④本の持ち込みやアルコールも飲めるようにして様々な利用者に応じた環境を提供できるようにしてほしい
という要求でした。だって家で本を読むときは飲みながらやっているではありませんか。万一、本を破損した場合は、図書館のルールに従って補償していただければいいのです。プレイスではビジネスパーソンのクールダウンの場として活用されており、セレクトできる環境を提供できていると思います。現在、事故や破損等のトラブルはほとんどありませんよ。
 
 
[木本]設立にあたり大変だったことはなんでしたか。
 
[鎌田]プレイスの構想の段階から、お手本になるような施設がなく、日々の模索を積み上げながら、ソフトを作り上げていった感じです。複数の機能の連携と融合は正直、難しいところもありましたが、全国的に先駆けた取り組みは実現できたかどうかはまだ検証されていませんが、少なくとも誤った方向ではなかったと思います。雑誌のボリューム感、本を持ち込めるカフェ、公共施設として、図書館として型破りな運営は、来館者の数に比例していると思います。
 
 
[木本]本誌のテーマは「感動できる利用者サービスの工夫」を掲げています。
 
[鎌田]ネット上で検索してみると個人の方がTwitterやFacebookで、プレイスについてのコメントや写真をたくさん投稿されています。利用者や来館者の感動がSNSの場で情報発信されており、むしろ私たちが折れそうになったときは、こういった情報をよく見る様にしています(笑)。
 
 
[木本]最後に、今後の活動に関する展望をお伺いします。
 
[前田]プレイス全体が、いかに付加価値のついた情報をさらに発信していくかがポイントです。組織的な連携を密にし機能や人を融合しながら、市民サービスの向上に繋げていきたいと思います。なお図書館としての課題としては、いかに電子情報や電子書籍と共存していくかです。これまでの紙媒体と今後増加するであろう電子媒体との住み分けの問題が顕在化していくのではないかと思います。
 
 さらには、生活に密着した利用者や市民に役立つ課題解決型図書館としての強化です。これまで以上に図書館の敷居を低くし、様々な情報を集約して利用者に応じたサービスを提供することを目指したいと思います。対面でしっかりと、人でしかできないことをサービスへ注力できるよう、業務の見直しも行っていきます。

PHOTO GALLERY

武蔵野プレイス,

マガジンラック・カフェ(1F)

武蔵野プレイス,

新着・返却資料棚(1F)

武蔵野プレイス,開架エリア

テーマライブラリー(2F)

武蔵野プレイス,

こどもライブラリー(2F)

武蔵野プレイス,閲覧コーナー

ワークラウンジ(3F)

武蔵野市立ひと・まち・情報 創造館 武蔵野プレイス

所在地:武蔵野市境南町2−3−18
Tel:0422-30-1905
開館時間: 9:30~22:00
休館日:水曜日、第3金曜日(第3金曜日の属する週の水曜日は開館)、年末年始、図書館特別整理日
URL:http://www.musashino.or.jp/place.html
設計:kw+hgアーキテクツ

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