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1981年KONGO 34年/昭和 56 年共栄会・親栄会が発足、宮﨑邦雄が入社
取引先を組織化した共栄会・親栄会が相次いで発足。創業35周年のダイナミックセールには3日間で1万2458人が詰めかけた。
◆ 金剛の歩み
- 1月26日コンゴー共栄会・コンゴー親栄会が発足
- 3月1日宮﨑邦雄氏トヨタ自動車販売株式会社より入社。取締役社長室部長に
- 3月15日社団法人熊本産業貿易振興協会が発足。会長に谷脇社長が就任
- 5月13日在庫管理システム「コンゴーICシステムコンポ」発売を開始
- 10月1日北陸営業所を開設。初代所長に安田勲就任
- 10月17日〜19日創業35周年記念の「コンゴーダイナミックセール」を開催
◆ 日本・世界の動き
- 1月ユニードと九州ダイエーが合併
- 4月米国がスペースシャトル打ち上げ成功
- 11月熊本市役所の新庁舎が落成
- 10月福井謙一京大教授にノーベル化学賞
コンゴー共栄会・親栄会が発足

1月26日にコンゴー共栄会、27日にコンゴー親栄会の発会式が、ホテルサンルート熊本で開かれた。両会は金剛に商品や生産資材、部品を納入している商社やメーカー、協力工場などを組織化したもので、信頼と親睦を深め、緊密な情報交換を行って相互の一層の繁栄を目指したものである。共栄会は商社や営業取引き関係31社、親栄会は生産資材関係企業30社が発足当初のメンバー。
発会式には社側から谷脇社長、ユミ子副社長、喜多専務が、共栄会には会員企業31社の代表と竹永第一営業部長、塩崎第二営業部長、田代購買課長らが、親栄会には会員企業の30社の代表と倉重製造部長、谷脇資材課長、沼田製品管理課長、藤本生産管理課長らが出席。森本社長室課長の司会で和やかな雰囲気のうちに発会の議事を進め、祝宴に移った。
7月28日には両会の役員会が、谷脇社長はじめ金剛幹部も出席して開かれ、持ち寄った各種の企業情報について話し合ったほか、会員相互の親睦を深めるためソフトボール大会の開催、会員企業の研鑽向上を図るため各種の勉強会を開くことなどを決めた。発足時の役員企業は次の通り。
- 共栄会 ── コトブキ、プラス、登川工業所、熊本リコー販売、サンケイ九州、富士スチール、文化黒板製作所
- 親栄会 ── チクシ鋼板加工、暁機工、田中塗料商事、安達梱包運輸、熊本酸素、佐藤商事、日本ピローブロック販売、早川プレス工業所、城南貨物
ICシステムコンポを発売

金剛は5月13日から16日まで東京・晴海の国際貿易センターで開かれた「東京ビジネスショー」に、新たに開発した「コンゴー電動ラックICシステムコンポ」を出品した。
電動ラックをコンピューターのキー操作だけで簡単に動かせるうえに、正確な在庫管理の記録も可能。作業能率の飛躍的向上を狙って開発されたシステム機器で、豊富なアプリケーションソフトウエアの選択によって、だれにでもあらゆる収納品のスピーディーで正確なピッキングや管理ができる製品である。
熊本産業貿易振興協会の会長に

中国大陸や東南アジアに近いという地理的条件の優位性を生かすとともに、地場産業の高度化を図って外国との貿易拡大を進めようと、3月15日に社団法人熊本産業貿易振興協会が発足した。協会には県内の地場企業および進出企業30社が参加し、谷脇源資社長が会長に就任した。
同会は地場産業の振興のための事業として、①産業振興に有益な情報の収集②地場企業が生産する製品や技術の紹介のため、熊本市産業文化会館5階に常設展示場を設置し、その管理運営を行う③展示場は地場企業が生産する製品の展示および地場企業が開発した新技術、新デザインの発表会の開催、地場産業振興のための研修会を開催する④地場企業製品および技術の国内、国外への紹介ならびに受・発注の斡旋を目標に掲げた。
地場企業が国内外に販路を広げる場合、情報不足やPR活動面の制約などの壁があるため、共同でこうした問題点を解消していこうという狙いである。進出企業と地場企業との“交流対話の場”としても役立つことが期待されている。協会発足当初のメンバーは35社。
創業35周年記念のダイナミックセール

10月17日から3日間、熊本市の興南会館で一足早く金剛の創業35周年を記念した「コンゴーダイナミックセール」が華々しく開かれた。
金剛グループ10社および取り引き関係の企業115社が出品、展示しての大即売会には3日間で1万2458人が来場、会館始まって以来の記録的な賑わいだった。
宮﨑邦雄氏が金剛に入社
この年3月1日、宮﨑邦雄氏が取締役社長室部長として金剛に入社した。
宮﨑氏は谷脇源資社長の娘婿で、これまでトヨタ自動車販売(現トヨタ自動車)でトヨタ自動車販売労組副委員長、全トヨタ労連中央執行委員兼調査局長、トヨタ自動車販売車両第三部カローラ店課長(補)、企画調査部企画課長(補)などのポストで腕を奮っていた。
原本 P.92〜93
1982年KONGO 35年/昭和 57 年「KONGO」のロゴ決定、金剛大学が始まる
漢字の「金剛」とカタカナの「コンゴー」が混在していた時代に終止符。世界に通用する5文字のロゴが生まれた“教育元年”。
◆ 金剛の歩み
- 1月13日「金剛大学」始まる
- 2月18日創業35周年記念式典挙行
- 3月KONGOのロゴが決まる
- 5月12日病歴検索システム「KONAC-E」、プッシュ式IC金庫を開発発売
- 10月1日金剛電子研究所が発足
◆ 日本・世界の動き
- 2月ホテルニュージャパン火災
- 2月福岡発の日航DC8が羽田空港で、滑走路手前の海に墜落、乗員乗客174人のうち24人が死亡
- 4月フォークランド紛争勃発
- 6月第2回国連軍縮特別総会。反核運動高まる
- 7月早大3年生の大貫映子さんが日本人初のドーバー海峡水泳横断に成功
- 9月大分市の不燃物投棄場で麻袋34個に詰められたニセ5000円札約10億円分が発見された
「金剛大学」が始まる
従来の社員教育に加えて、この年から「金剛大学」を開き、管理職も含めたより本格的な社員の質の向上に取り組むことになった。いわば昭和57年は金剛の“教育元年”。1月13日に管理職クラスを対象に、九州東海大学の高橋鵬教授(当時)のセミナーが開かれた。
新しいロゴマーク決定

KONGOのロゴが生まれたのはこの年の3月ごろである。当時企画課にいた川上継徳はロゴ誕生のいきさつを次のように記録している。
「当時、製造本部長だった宮﨑邦雄取締役(現社長)はまだ30代の後半で若く、いつも遅くまで残って仕事をしておられた。ある時、ふと『英文のロゴマークを新たにつくろうじゃないか』と言われ、二人で何日か遅くまで残って、ああでもない…こうでもない…と話し合いながら取り組んだ。
宮﨑本部長は昭和40年代初めのころ、トヨタでCI(コーポレートアイデンティティー。企業の特質・全体像を一般に認知させること。そのための表現)作りを担当した経験の持ち主だった。産みの苦しみを体験されたそうで、思いもよらぬ角度から検討したこともあったという。
ロゴないしロゴマークはCIに盛り込まれた精神的な要素を表すのに最もふさわしい字体やマークとして選定されるのだから、これもあらゆる角度からの検討が必要だ。工場はそのころはバラック同然の建て屋で、当時、社名は漢字で『金剛』と書いたが、赤い字や青い字もあえば、片仮名の『コンゴー』も混じっていて、無秩序で雑然とした使われ方であった。カタログなどでもローマ字の『KONGO』など、字体に意識を払うでもなく、異なる字体のロゴが二つ並んで使われていても、おかしいと思わなかったのが、当時の実情だった。宮﨑本部長は『これからはソニーやトヨタのように、世界に通用するロゴであるために英字で統一した字体にすべきではないか。これからの若者は、英文字に国際性や先進性、知性、ファッション性を感じるように思う』と言われた。ホンダよりHONDAの方が、本田技研工業株式会社より親しみを感じるし、ソニーよりもSONYの方が世界のメーカーという感じがした。
そこで各社の英文字のロゴを集めて並べてみると、SONYもHONDAもやや横広い字で、縦方向を肉太にして力強さを感じさせる字体と分かった。そこでこの種の字体を基本にして、“棚のイメージ”を出すために、KやNやGの横棒の部分を少し目立たせることにした。表記の仕方によっては、KONGOHとしたり、Oの上にーを引いたりすることがあるが、煩わしいので『KONGO』の5文字と決め、5文字を並べたときの縦と横の長さの比率、文字間隔を決定した。周囲を囲う枠の大きさも、KONGOを白抜きの字にした時にうまく納まるように配慮して決定した。
最後は字の色が問題になった。結局シアン(青)100%と決めた。色褪せするリスクもあったが、色選びが容易であるし、すがすがしさや清流のクリーンなイメージ、無限の可能性を示す大空の広がりなどイメージできる色としてシアンに落ちついた」。
英文字の「KONGO」は、企業の最も基本的な財産である信用・人格・誠意・人の和を象徴する円(O、Gの文字)と金庫・鉄扉・棚を表す角型(K、Nの文字・字体)をうまく融合させたロゴと言ってよいだろう。
病歴検索システムを開発
金剛は「病歴検索システムKONAC-E」を5月12日発売した。56年5月の東京ビジネスショーで発売した「密集保管検索システム・ICシステムコンポ」をベースに一段と機能を強化したもの。面倒な病院のカルテの出納・管理・保管をスピーディーに処理できる画期的な性能が業界から注目されている。
ちょっと大きな病院に行くと、患者受け付けの業務が複雑でまごまごしたり時間が掛かり過ぎてくたびれ、診察どころではなくなったりすることがある。こうした煩雑な病院の受け付け事務の合理化とスピードアップは、病院経営効率化の上で非常に大きな問題になってきている。診断カルテなど記録資料の保管の面でもスペースの確保にコストがかかり、その記録の探索を日常業務の中で行うにはかなりの努力と時間とを要するようになっている。KONAC-Eはこうした問題を、組み込まれた機能で簡単に手際よく処理できる画期的性能を持つシステムである。
このシステム第1号を導入した愛媛県立中央病院(松山市)は、「カルテ検索業務のスピードアップおよび正確化ならびに収納効率・スペース効率が飛躍的に上がった」と絶賛している。
CDブースを発売

スライド鉄扉の技術と、高度なステンレス加工技術を生かして、この年7月、現金自動支払機を組み込んだ「コンゴーCDブース」を新しく発売した。
ブースは自動現金支払い機(CD)の外部をホコリや熱、湿気から保護し、CD利用のお客様の安全と秘密を守るボックス。内部にはCD本機、非常ベル、電動シャッターなど防盗、防火機能の機器が組み込まれている。
社内に電子研究所を創設
このころになると、金剛で生産する移動棚・書架・金庫・鉄扉でも急速に電子化、無人化が進んできた。生産方法やシステムの合理化も強く求められ、電子技術に依存する比重が非常に高くなっていた。
金剛はこれに対応して、10月1日、製造部内に電子研究所を設置した。数年前から製品企画部門で電子技術者の養成を進めていたが、独立した機関として研究所を設け、より充実した技術者の養成と研究の強化を図ることにしたのである。
当面の開発テーマは①電子技術を応用した新製品の開発、②ロボットも含む生産の自動化に関する開発、③製品のソフト化に対応する開発、④事務合理化に対応する開発の四つだった。
研究所の陣容は岡本辰美所長のほかに、主任研究員、研究員合わせて7人。岡本所長は名古屋大学出身で戦前は川崎航空機で試作戦闘機の研究に従事、戦後第一高周波工業㈱に入社、取締役・技師長、社長などを経て九州共立大学工学部教授となり、昭和53年から金剛の技術顧問だった。今回、所長に就任した。鉄道レールの高周波焼き入れ技術の考案者として知られ、37年第8回大河内記念技術賞を受賞している。
原本 P.94〜95
1983年KONGO 36年/昭和 58 年ヒートパイプ、夜間金庫、ライブラシリーズ
NASAの技術をベースにした独自のヒートパイプは製品化に至らず。一方で図書館用書架やフラットボードZなど、後の主力が次々に生まれた年。
◆ 金剛の歩み
- 4月笠井恵氏入社
- 5月12日金剛電子研究所で特許ヒートパイプを開発、自動レシータ発券機付き夜間金庫を発売
- 5月16日図書館用書架ライブラシリーズを発売
- 5月24日〜28日リモコンEHを国際物流機械展に出品
- 12月フラットボードZ(移動フロア)を発売
◆ 日本・世界の動き
- 2月老人保健法施行
- 5月日本海中部地震。津波などで死者104人
- 7月熊本地裁八代支部が免田栄さんに無罪判決。死刑囚に対して裁判史上初の再審無罪判決
- 9月大韓航空機をソ連が撃墜
- 10月米軍などがグラナダへ侵攻
独自のヒートパイプの製品化に壁
金剛電子研究所は5月12日、アメリカ航空宇宙局NASAの技術をベースに独自の技術で高性能の熱伝導素子「ヒートパイプ」を開発した。
これは銅やステンレス製の真空状態のパイプ内に蒸発性の媒体(水、フロン、水銀など)を封入したもの。真空中では水は25℃で沸騰し始めるので、パイプの一端で蒸気にし、もう一方の端で熱を取り出して水に戻すようにすると、熱を移動させることができる原理を利用したものだ。同研究所のヒートパイプは、内部に金網を詰めてあり、毛細管現象を利用して熱を放出した水を元の場所に戻し、繰り返し熱を送り続けるようになっている。そのため、各種装置の冷却や廃熱の回収など幅広い用途が考えられ、応用次第で、画期的な商品に育てることができると見られていた。
また、このパイプは筑波大学でも評価されたほど高い性能を持っていた。しかし、当製品の主な部分が銅パイプであり、銅パイプ企業が製品化に乗り出せば太刀打ちできないことが分かり、金剛としては、商品化を断念せざるを得なかった。
発券機付き夜間金庫

閉店後や休日の取引先へのサービスとして、銀行に夜間投入金庫が登場したのは、随分前のことだが、金剛もこの分野では斬新な製品を出してきている。その一つがこの年8月に発売した「マイコンレシータ搭載の自動レシータ発券機付き夜間投入金庫」である。
自動レシータ発券機は、金剛電子研究所が開発した。この種の金庫で必要なことは、まず第一に盗難を完全にシャットアウトすること、第二は投入された鞄をどの会社のものか正しく検知識別して受け入れ、さらに受け取った日時を記録してレシーター(受付票)を発行することである。
夜間金庫はこれらの作業を自動的に正確にこなした上に、故障や間違いがまず皆無であることが求められ、金融機関側の要求水準も非常に厳しく高い。同金庫は多くの金融機関で採用されており、金剛の研究スタッフと製品の水準の高さを示していると言ってよいだろう。
図書館用書架「ライブラシリーズ」

明るくてセンスにあふれ、開放的で書籍に親しみを感じさせる書架、読書にふさわしい雰囲気を醸しだす机・イスといった具合に、最近の図書館は、内部の書棚・器材・インテリアにまで新しい時代にマッチした感覚の色調やデザイン、形が求められている。
金剛は、「スリムで知的な都会派のシルエット」をコンセプトに、デザイン・色調を総合的にコーディネートして、時代感覚にマッチした「図書館用書架・ライブラシリーズLM型」をこの年5月に発売した。書架の側面に木の板を使ってスチールの冷たさを和らげ落ち着いた雰囲気を漂わせた、開放書架などにぴったりの製品である。
フラットボードZ発売
直積みの欠点を見事に克服、生産性は一気に12倍にもなる画期的な物流機器、フラットボードZを開発、12月に発売した。
フラットボードZは簡単に言えば、倉庫床面に数本のレールを敷き、その上に丸ハンドル式の移動フロアを載せて、これに物品を積んで保管・管理するようにしたものである。
これによって①フォークリフトの通る1本の通路スペースだけを残して、残りのスペースは100%倉庫として利用でき、従来の3倍もスペースを有効に生かせる②直積みの短所である先入れ・先出しの作業性の悪さを完全に避けて、直積みの長所だけを生かして在庫管理に格段の威力を発揮できる③1セットの導入で、人員は3分の1、スピード・数量ともに3倍に作業効果が上がり、作業時間は3分の1から4分の1に短かめることに成功した。いわば、生産性を12倍も向上させている。
このほかフラットボードは70tもの物品を載せていても、ハンドル操作だけで軽々と動かせるし、電力を使わないからランニングコストはゼロ、というメリットがある。
リモコンEHを発売

金剛は、重量物品用の移動棚として新しく開発したリモコンEHを、5月24日から28日まで東京・晴海の国際貿易センターで開かれた'83国際物流機械展に出品した。
同展は最新のメカトロニクスを駆使した製品・装置を中心に展示され、延べ8万人もの入場者があり、なかでも金剛のリモコンEHは、多大の関心を集めた。
このラックの特徴は、フォークリフトに乗ったままで、赤外線操作によるリモートコントロールができるようになっていることで、操作性・作業性が飛躍的に向上、倉庫の生産性アップに威力を発揮すると注目された。
原本 P.96〜97
1984年KONGO 37年/昭和 59 年グッド・デザイン賞ほか、受賞が相次ぐ
ライブラシリーズLM型がGマーク、スライド鉄扉が発明奨励賞、フラットボードZが日本MH協会賞。熊本県初の受賞が続いた一年。
◆ 金剛の歩み
- 5月22日㈱アスカを設立
- 10月1日移動棚Zにセンターロック方式を採用
- 10月31日図書館用書架ライブラシリーズLM型でグッド・デザイン賞を受賞
- 11月28日丸ハンドル式移動フロア「フラットボードZ」が日本MH協会優良物流機器賞を受賞
- スライド鉄扉が59年度日本発明協会発明奨励賞を受賞
◆ 日本・世界の動き
- 2月熊本市と周辺15町村の市内局番が3ケタに。市外局番も096に統一
- 3月グリコの江崎社長が誘拐される
- 4月熊本市八景水谷公園の自噴池が枯れる
- 8月柔道の山下泰裕選手がロサンゼルス五輪で優勝、金メダル
移動棚Zをモデルチェンジ

省スペース・省エネルギー機器として発売以来全国で圧倒的なシェアを誇った「移動棚Z」だったが、その初めてのモデルチェンジ製品を、9月14日から開催の東京パックショーに出品、10月1日から発売した。
今回モデルチェンジした型式KZは、①旧型ではハンドル脇にあった棚固定用のロックを、ハンドルの中心軸に組み込んだセンターロック方式に改め、安全性と機能性を高めた、②B5判、B4判の高さの収納品をよりぴったり経済的に収納できるよう棚板のピッチを改めた。③オフィスのなかで周囲とよくマッチし、落ち着きを与えるような時代感覚の色彩を採用した。
ソフト開発手掛けるアスカを設立

大手メーカー、リコーや日本電気のオフコン、OA機器などの販売とソフト開発などを行う新会社㈱アスカが、この5月22日熊本の経営者などの共同出資で設立された。社長には梅元昭東梅元税理士事務所長が、代表取締役会長に金剛の宮﨑邦雄取締役製造部長が就任した。
アスカは本社を熊本市新南部町前畑に置き資本金2000万円。マイコン、パソコン、ワープロ、ファクシミリなどのほかソフトの販売が業務。8月31日には、日本IBM販売(本社・東京)と特約店契約を結び、同社のパソコンおよびオフコンの熊本県内における販売も担当することになった。社長・会長以外の発足当初の役員は次の各氏。
△取締役=中山義崇熊本工業大学学長、与縄薫熊本トヨタ自動車社長、△監査役=都四郎熊本缶詰専務、栗山一明熊本ヤクルト社長
金剛製品、各種受賞相次ぐ

昭和59年は、金剛の製品が優れたデザインあるいは機能や安全性の優秀性を評価されて、相次いで受賞するという記念すべき年になった。
前年に発売されたコンゴーライブラシリーズLM型が、59年度の通産省選定のグッド・デザイン賞(Gマーク賞)に選定された。チョコレートブラウンの落ちついた色調の書棚の両側面に木目のある木製パネルを使ってスチールの硬さを和らげ、知的なセンスにあふれているのが評価された。
Gマークは通産省が商品の使いやすさや、デザインの向上を目的に昭和32年度に創設した制度。これまで熊本県の受賞実績はゼロだったが、59年度は金剛のライブラシリーズLM型が家具・インテリア部門で受賞したほかに、教育用品部門で㈱藤井のステンレスハサミ、住宅・エクステリア部門で畑中建設工業所のワンタッチ水切り化粧棚が受賞した。
谷脇社長は、日ごろから工業デザインの必要性を強調し、県工業試験場などにデザイン部門の新設を要望していただけに受賞の喜びも大きかった。
スライド鉄扉で発明奨励賞

世界で初めて金剛が生産した金庫室用スライド鉄扉が、昭和59年度の日本発明協会発明奨励賞を受賞した。
金剛の技術陣が、金庫室用金庫の扉は普通引き開け式になっているが、横にスライドして開けるようにしたらどうなるだろうーと、55年に開発した製品だった。
素朴にしてユニークな発想で、金庫室前のデッドスペースが要らなくなり、小型店舗展開を進めていた各金融機関で、接客スペースが広く取られると好評を博した。これが評価されての受賞となった。
日本MH協会優良物流機器賞

「丸ハンドル式移動フロア・コンゴーフラットボードZ」は、容積の大きい商品のストック方法としてユニークで合理的であると高く評価され、日本MH協会の優良物流機器賞を受賞した。
フラットボードZは、ユーザーの提案がもとになって開発された。棚がないフロアだけの、野積みのような物流システムは、全く社員の発想にはなく、顧客の提案で初めて気づいた。これは倉庫の床面に動くフロアを設け、フロアの上に物品を積載収納し、物品の出し入れにはフロアを動かして通路分だけのスペースを開ける。すると品物がどこに収納してあっても自由に運び出すことができる。これによって先入れ先出しが簡単にでき、直積みの欠点が見事に克服される。その画期的な物流機能が受賞理由だった。
原本 P.98〜99
1985年KONGO 38年/昭和 60 年総投資21億5000万円、新工場の建設に着手
FA新工場の起工式。同じ年、移動棚Zの納入個所は全国1万2000カ所を突破した。
◆ 金剛の歩み
- 2月19日熊本本社でFA新工場および本社新社屋建設の起工式。61年9月完成
- 5月1日東京本社内に㈱金剛電子研究所を設立
- 5月新入社員研修用に「会社学入門」を発行。他社でも人気、購入相次ぐ
- 5月防盗用金庫が破壊力試験をパス
- 10月ボルトレスタイプのKMラックを発売
- 12月移動棚Zの納入設置が全国で1万2000カ所に達する
◆ 日本・世界の動き
- 5月天皇陛下を迎え「阿蘇みんなの森」で第36回全国植樹祭開く
- 8月日航ジャンボ機が群馬県の御巣鷹山に墜落、520人死亡
- 10月プロ野球セ・リーグで阪神優勝。トラ・フィーバー
新工場の建設に着手

金剛は2月19日、上熊本3丁目の本社工場の全面建て替え工事に着手した。起工式が同日本社で行われ、谷脇社長ほか本社役員、経済界関係者など約70人が出席した。
新工場には搬送ロボットや塗装用NC(数値制御)機械、NC工作機械など最新鋭設備を導入、自動化、省人化を図った。
当時の計画によると社屋、工場を順次建て替えて総敷地3万㎡に鉄骨スレート葺き3階建ての新工場1万8311㎡(総延床面積その他部分含む)を建設。新工場1階の1万1200㎡が省人化工場部門で、製品や部品の自動搬送、加工などを行うロボット、塗装ラインにはNC工作機械を数台に増やして、CAD(コンピューター支援の設計システム)なども新しく導入した。
フル稼働すれば、移動棚・書架などの生産能力は建て替え前の2倍以上になるという規模。土地取得費、設備投資を含めた総投資額は21億5000万円という計画であった。
全面建て替えに当たっては、本社前を通っている県道上熊本―鈴麦線の拡幅工事で敷地が狭くなることから、当初は上益城郡益城町古閑の熊本産業団地への全面移転を計画したが、建設予定地約4万㎡のうち、中央部3000㎡が地権者の都合などで折り合わず進出を断念した。このため本社隣接地2000㎡を買収し、工場および本社社屋の建て替え拡張となった。
金庫破壊試験にパス
金剛が製造する中型防盗用金庫「777(スリーセブン)」が、通産省外郭機関の建材試験センター(東京)でこの5月に実施された超破壊力試験(TRTL-2、テスト時間は50分)に見事に合格、金庫シリーズに新しいスターが加わった。
金融機関の週休2日制実施後、企業などでは資金が事務所内に滞留するようになり、盗難防止用の金庫を導入するところが増えてきた。こうしたケースに対応するため開発されたのが「777」で、耐火性とともに防盗性を重視して開発された。建材試験センターでは電気ドリル、ガス溶断機などによる破壊テストなどの試験を行ったが、同金庫は十分それに耐える性能を発揮した。
新入社員に「会社学」

金剛では、この年の新入社員の研修用に「会社学入門 ビジネスマナー・PART1」(B5判64ページ)を発行した。これが、取引先などで評判を呼んで引っ張りだこ、あわてて増刷したほどだった。
本の内容は、名刺交換の仕方から電話での応対の仕方、上役の呼び方、経理やQC(品質管理)のあらましまで、学校では習えそうにないビジネスマンの“基本常識”を8章195項目にわたって収録している。市販のビジネスマナーの本は「帯に短したすきに長し」と判断して、企画課の紫垣純子社員が中心になって編纂した労作だった。
ボルトレス型KMラック

部材を差し込むだけで、ボルトを全く使わないで簡単に組み立てられる中量物品用棚を開発、10月に発売した。
ボルトを使わないため、だれにでもスピーディーに簡単に組み立てられるのが特徴だが、構造的には極めて強く、地震などの揺れ防止に効果のある特殊ガセットを使用、耐震型安全ピンで非常事態に備える二重の安全対策を講じている。
組み立てが簡単なため棚の移設が楽にでき、棚板の種類も豊富なので物品に応じて棚の組み替えも簡単にできるメリットがある。
移動棚Z納入、1万2000カ所突破

金剛が金庫とともに力を入れてきたのは移動棚の開発だった。昭和49年のオイルショック直後の不況の最中に、もうこれ以上の製品はないと、絶対の自信をもって発売を始めたのが「コンゴー移動棚Z」である。発売以来、ユニークな省スペース・省力機器として業界はもちろん、全国ユーザーの注目を浴び、金剛の「移動棚Z」は、たちまち全国シェアNO.1(※当時の実績です)の製品となった。昭和60年年末で、全国の移動棚Zの納入個所は1万2000カ所を超えるという快挙を達成した。ちなみに平成10年4月の納入個所は、およそ5万カ所にのぼっている。
原本 P.100〜101
1986年KONGO 39年/昭和 61 年FA・FMSの新工場が完成、百人研修制度スタート
総工費21億5000万円の新工場が9月完成。生産力は1年前の2.5倍、年産額200億円にも対応できる体制になった。
◆ 金剛の歩み
- 4月1日「百人研修制度」がスタート
- 7月1日新型防盗金庫4機種16タイプを発売
- 8月移動棚Zスポット溶接を自動化
- 9月全員参加のチャレンジ提案制度が10周年を迎える
- 9月新工場完成。大幅にFA(ファクトリーオートメーション=生産設備の自動化)化を進め、FMS(フレキシブル生産システム=多品種少量生産に対応)も導入
◆ 日本・世界の動き
- 4月ソ連チェルノブイリ原発事故
- 4月昭和天皇ご在位60年記念式
- 5月英国皇太子夫妻が初来日
- 9月中野浩一が世界自転車選手権でV10達成
- 11月熊本テクノポリスセンター完成
- 11月伊豆大島の三原山が爆発
自動化とフレキシブル生産化を推進

前年2月から本社内で進められていた新工場の建設は、この年9月末に完成。総工費は事務棟を含め21億5000万円であった。
新工場の建設は操業をしながら古い工場を少しずつ改造する、スクラップアンドビルドの形で進行。新しい製造設備なども新建屋ができ上がったところから順次導入を進め、最新の生産ラインを組み上げた。
この新工場建設は、急激に進む円高に対応してコストダウンを図り、さらに製品の高度化多様化を実現して、競争力を強化することに大きな狙いがあった。
このため新工場では、製造工程のほとんどの部門でFA(自動化)とFMS(フレキシブル生産システム化)が導入された。鉄板を曲げたり切断したりする部門では、完全無人化ラインを2ライン設置、将来はさらに増設できるように設計された。これらの設備によって、多品種少量生産にも柔軟に対応できることになった。
塗装部門でも、県内では大企業の進出工場でもあまり見かけない電着塗装ラインを導入した。完全無人化で、電流の強さで塗装被膜の厚さを調節できることから、一挙に製品の均質化と高度化を図ることができる。
これと同時に、従来のスプレーガンによる吹き付け静電塗装ラインでも、センサーが被塗装物の大きさや形を計測、自動的に吹き付けができるようになった。また塗料の色を自動的に変えられるカラーチェンジャー装置も入った。このほか溶接部門では、金剛が独自に開発した溶接ロボットを採用、梱包ラインや移動棚の台枠組み立てラインも自動化した。
これによって生産力は1年前の旧工場時代に比べ、一挙に2.5倍の年産額200億円にも対応できるようになった。
百人研修制度がスタート
「企業は人である」と言われる。人材がいるかいないかで、企業の盛衰は決まる。目まぐるしく変化する社会に企業が対応していくためには、それだけの力量のある人を社内で育てていかねばならない。多くの企業が、人材の育成に並々ならぬ力を入れるのは、そうした社員の育成は、一朝一夕にはいかないからである。
金剛でも、社業の拡大に伴って、より多くの人材を育成する必要性が、近年特に高まっていた。こうしたなかでこの年から始まったのが「百人研修制度」である。
この制度は大量の社員を比較的短いサイクルで定期的に研修することを企図しており、中小企業大学校や熊本テクノ大学、海外などへ派遣して研修させるもの。宮﨑邦雄常務取締役(昭和60年12月に取締役から昇格)は当時こう語っている。
以前の社員教育は、一人ひとりをピックアップして2カ月とか半年とか期間を区切って研修施設へ派遣していた。しかし、教育を終えた人が職場に復帰して、何か画期的なことをやろうとしても、周囲が変わっていないので実現できないケースが多々あった。ある時、中国の指導者毛沢東が10億の民を動かすのに5%の5000万人の指導者がいればいいと書いているのを読んで、当社なら400人の社員の5%ではなくて更に多い、例えば25%にすればもっと迅速な変化を期待できるのではないか、と思って“百人研修”を始めた── 宮﨑邦雄常務取締役(当時)
研修にはできる限り多くの人を一緒に参加させるのが大事という、この発想は今も脈々と受け継がれ、大きな成果を上げている。百人研修による社員全体のレベルの底上げが、金剛の新しい展開を生み出す背景となっている。
社員提案制度10年目に

この年、全員参加の「チャレンジ提案制度」が10年目を迎えた。企業が生き残っていくには“技術革新”しかない。社員の創意工夫を結集して、生産性の向上と作業の合理化を図ろうと、昭和51年8月に誕生した制度である。この9年間の総提案件数は7700件にも上り、工程の効率化や新製品開発に役立ってきた。
総提案件数のうち入賞件数は2100件、約3割が何らかの形で社業に貢献している。これを59年の実績でみると、件数は前年比で75%だが、入賞件数では131%と増え、しかも内容的にも充実したものが増えている。これは従来からの個人提案制度とQC(品質管理)の活動をタイアップさせ、一人で考えるより複数の人が協力し合う、グループ提案が本格化しているからだと思われる。グループで、より具体的な内容に煮詰めて提案するやり方は、今後も一層の充実が見込まれる。
宮﨑邦雄取締役製造本部長(当時)は、「入賞者を表彰するだけでなく、入賞しなかった提案にも必ず理由を説明して、次への提案意欲を失わせないよう気配りをしていることも提案制度定着の要因になっている」と語る。
原本 P.102〜103
1987年KONGO 40年/昭和 62 年創業40周年、地域社会貢献賞・発明大賞を受賞
谷脇社長が地域社会貢献者賞、移動棚Zが第12回発明大賞・松原発明功労賞。創業40周年と新工場の稼働を祝う年となった。
◆ 金剛の歩み
- 1月29日谷脇源資社長が日刊工業新聞社の地域社会貢献者賞を受賞
- 2月17日台湾の鉄工メーカー春源鋼鉄工業公司と技術提携
- 2月18日創業40周年の記念式典を挙行
- 2月19日移動棚Zが発明大賞・松原発明功労賞を受賞
- 6月技術情報誌「PASSION」を創刊
- 6月1日ピカ・ピカ・コンゴー5S運動を展開
◆ 日本・世界の動き
- 2月熊本第2空港線が全線開通
- 10月利根川進教授にノーベル医学生理学賞決まる
- 11月竹下登内閣が発足
- 12月水俣湾のヘドロ処理が10年ぶり終了
地域社会貢献賞、発明大賞など受賞相次ぐ

谷脇源資社長が、日刊工業新聞社が制定している優秀経営者顕彰制度の「地域社会貢献者賞」の受賞者に選ばれ、ほかの受賞者(11人)とともに1月29日、東京の同新聞社で表彰楯と副賞を贈られた。
谷脇社長は、全国に市場を持つ数少ない九州のメカトロニクス製品メーカーの経営を通じて、地域経済の振興に貢献する傍ら、熊本の産業、貿易、流通、人材育成などの分野で組織・団体のリーダーとして幅広い活動を行い、地域の振興に大きく貢献していることが高く評価された。また九州有数のビッグプロジェクトであった熊本流通団地建設に際して同組合の理事長として、優れた指導力を発揮したことも受賞理由となった。
一方、金剛の「コンゴー移動棚Z」は2月19日、日本発明振興協会および日刊工業新聞社共催による第12回発明大賞・松原発明功労賞を受賞した。
棚の移動方式としてハンドルを用い、これと書架の下の車輪との間にスプロケットとチェーンによる減速機構を設け、棚の移動に要する力を大幅に減少させ、動かしやすくしているのが受賞理由になった。
春源鋼鉄公司と技術提携

金剛は、熊本を訪問中であった台湾の鉄工メーカー春源鋼鉄工業公司(台北市)の鄭春生社長ほかと2月17日、金剛本社で、移動棚を中心とする物流機器の製造で技術提携契約を結んだ。
設計技術、工程図を春源公司に提供し、現地に社員を派遣して生産を指導、製品販売額の一部をロイヤリティー(技術指導料)として受け取る内容で、世界マーケット構想の一貫として、コンゴーブランドのイメージ浸透、業務拡大が狙い。
春源は1965年の創立で資本金8億3000万新台湾ドル(約40億円)、年間売上高40億3000万新台湾ドル(約200億円)の台湾の有力メーカーである。
創業40周年記念式典を挙行

2月18日、熊本市上熊本の本社に来賓や関係者約400人を招いて、創業40周年ならびに新工場竣工を祝う記念式典を開いた。
宮﨑邦雄専務の開会の辞の後を受けて登壇した谷脇源資社長は、昭和22年の創業以来の金剛の歩みに触れ「風雪の40年だったが、試練に遭いながらも順調に発展してこれたのは、皆様の支援のお陰げです。念願のFA・FMSの新工場も完成しました。さらに飛躍を目指し、地域社会のためにも尽くしたい」と挨拶した。
細川護熙熊本県知事はじめ同社長の出身地・徳島県の三木申三知事、田尻靖幹熊本市長などの来賓祝辞があり、リコーグループ三愛会の三善信一会長の音頭で創業40周年と新工場の稼働とを祝って乾杯、谷脇ユミ子副社長が謝辞を述べた。
ピカピカコンゴー5S運動
金剛の本社・工場さらに全国の支店・営業所などでは、日本全国『5S運動』に協賛、時期は定かではないが、各セクションで昭和61年6月ごろから、この運動を展開している。
5Sの1番目のSは「整理」。ときどき机上の不要なものは処分しよう。2番目のSは「整頓」。書類や工具はきちんと並んでいても、必要なときにすぐ取り出せないことが多い。まずはファイリングの思想で使いやすさを第1に整頓を。3番目のSは「清掃」。汚れ、ゴミをなくし、きれいな職場環境にしよう。そうすれば4番目のS、「清潔」も自然と備わってくる。
5番目のSは「しつけ」。金剛では毎朝朝礼で「ハイオアシス」を全員で唱和している。「オアシス」の心掛けだけでなく、朝から大きな声を出すと、気持ち良く1日のスタートが切れ、けじめも節度も付いてくるという趣旨である。
技術情報誌「PASSION」を創刊

カタログや製品紹介のパンフレットなどと少し趣きの違った技術情報誌が、この年6月に創刊された。「PASSION」と名付けられた。
ユーザーサイドで専門技術的な情報や新製品の動向など、幅広い専門情報を求めるようになってきた。こうした顧客要望に応えて生まれた。
この「PASSION」は、現在でも顧客と金剛の橋渡しとして発行されている。
原本 P.104〜105
1988年KONGO 41年/昭和 63 年科学技術庁長官賞、紫綬褒章、そして金剛十文字膳
谷脇社長に科学技術庁長官賞、岡本辰美最高顧問に紫綬褒章。CAD/CAMが動き出し、世界初の自動移動棚「金剛十文字膳」が生まれた。
◆ 金剛の歩み
- 4月20日谷脇源資社長が科学技術庁長官賞を受賞
- 4月29日岡本辰美製造部最高顧問が紫綬褒章を受章
- 6月設計から生産まで一貫した工場の自動化を推進
- 9月1日シンガポール事務所開設。初代所長に高津英文就任
- 9月梁井道雄氏入社
- 9月16日金剛十文字膳(世界初の自動移動棚=移動棚+自動ピッキング)を開発
- 11月18日シンガポール大学博物館に密封式の移動棚を大量納入
- 12月2日谷脇社長が財日本発明振興協会に賛助金を寄贈
- 12月12〜16日清水建設技術研究所で移動棚の免震装置および免震台の実験を実施
◆ 日本・世界の動き
- 6月リクルート疑惑が発覚
谷脇社長に科学技術庁長官賞

金剛の谷脇源資社長は科学技術振興の功績が大きいと認められ、4月20日東京の虎の門パストラルで科学技術庁から科学技術庁長官賞を贈られた。
多年にわたってさまざまな製品の開発・改良を行い、特に独創的な移動棚の開発を手掛け、生産性・品質の向上、省力化による経費の節減など、業界の発展に大きく貢献したことが高く評価された。
谷脇社長は「これで、わが社の技術も少しは世間に認めていただけるところまできた。しかし、戦いは始まったばかりである。これを契機に一層新技術へのチャレンジを強めていこうではないか」と、社員に呼びかけた。
岡本辰美顧問に紫綬褒章

金剛電子研究所所長で最高顧問の岡本辰美工学博士は4月29日、可変誘導加熱方式による軌条焼き入れ強化技術(金属の表面を高周波で硬くする手法)開発の功績が認められ紫綬褒章を受章した。
岡本最高顧問は、戦時中の酷使で脆弱化していた鉄道線路を使用に耐える状態に戻すために、高周波電流を使って線路に焼き入れをする技術を考案。耐久性を3〜5倍に高めることに成功した。戦後第一高周波工業の技師長、社長を経て昭和57年10月1日に金剛に顧問として招かれた。
CAD/CAMシステムを導入
金剛ではこの1〜2年をメドに、設計から生産まで一貫した工場の自動化(FA化)を推進することになった。
CAD(コンピューターを利用した設計)システムの部門では、6月ごろからソフトウェアの開発に着手しており、秋ごろから一部のCAD/CAM(コンピューターを利用した設計・製造)が実働に移った。
生産ラインの自動化については、既にNC(数値)制御工作機械を5台増設していたが、「総合的にみて効果的な生産コスト削減を図るには、人手に頼っている設計部門までを含めたFA化がどうしても欠かせない」(宮﨑邦雄専務)と考え、4月からCAD/CAMシステムの開発に取りかかっていた。
CADのソフトウェアが完成すれば、移動棚、収納庫、金庫など主力商品の基本図面が入力されているので、顧客のニーズに合わせて寸法を打ち込むだけで、これまで設計書を手書きする以外に方法がなかった特注品でも、自動的に設計図が描けることになる。
金剛十文字膳を開発

金剛はタテ型移動棚にオートピッキング装置を組み合わせた世界でも初めての自動移動棚「金剛十文字膳」を開発、9月16日から東京・晴海の国際見本市会場で開かれた'88東京国際物流展で発表、発売を開始した。
「十文字膳」は荷物を保管する移動棚と荷物を出し入れするピッキング装置をパソコン制御で自動化。パソコンに棚の位置を指示すると、棚が荷物を出し入れしやすい位置へ自動的に移動、同時にオートピッキング装置のクレーンが棚の到達地点まで動いて、荷物を出し入れする。パソコンには在庫管理や入出庫伝票の自動作成機能があり、従来の自動倉庫に比べ、荷物の出し入れが数倍スピードアップされ、作業性が格段に良くなっている。
また必要に応じてフォークリフトによる出し入れもでき、目視棚卸も容易になっている。従来の自動倉庫が細長いスペースに適していたのに対しこの移動棚は、正方形に近い場所でも設置できるなどの特徴がある。金剛ではこの商品に「金剛十文字膳」と名付け販売に力を入れることになった。
シンガポールに事務所開設
9月1日、シンガポール事務所を開設した。同事務所はアメリカ、タイ、台湾に次ぐ4番目の海外拠点。マレーシア、ブルネイを中心としたASEAN地域に移動棚などを売り込む一方、ビジネスやデザイン関係情報の収集拠点となる。
11月18日には、国立シンガポール大学博物館から受注した標本保管用の密封式移動棚の建設を完了した。ホルマリンなど化学物質で処理された動物標本を保管するため、臭気が外部にもれないように密封式になっており、国内の移動棚のシェア60%を誇る金剛(※当時の実績です)でも初めての製品。
シンガポール大学博物館で行われた落成式には近隣諸国の博物館関係者に加え、本社の宮﨑邦雄専務も招かれて出席した。宮﨑専務は「今後は博物館などで密封式の移動棚に関心が向いてくるかもしれない。トップメーカーとして自負を持って困難な新製品にもチャレンジしていきたい」と語った。
発明振興協会に賛助金を贈呈
金剛の谷脇源資社長は12月2日、財日本発明振興協会(福田孝会長)に賛助金を寄贈した。
これは谷脇社長がこの年4月、科学技術庁長官賞を受賞した際に、多くの人から祝福を受けたことに応えるとともに「科学技術の振興に役立ててほしい」と、贈ったもの。当日は東京の都ホテル東京で第25回東日本コンゴースーパー会総会が開かれており、賛助金はその席で発明振興協会の大元常務理事に手渡された。
原本 P.106〜107
1989年KONGO 42年/平成 元 年“不況でも売れる製品”=免震技術の開発に着手
バブルの絶頂で、宮﨑専務は「やがてくる反動への心構え」を説いた。社内から集まった25項目の不況対応策——そこから免震技術が動き出す。
◆ 金剛の歩み
- 5月Z-Eレール寸法のモジュール化決まる
- 4月N社の貴重品庫へ免震保管システム納入
- 5月社内で募った25項目の「不況でも売れる製品」として免震技術の開発に着手
- 11月4日福岡(現九州)セーフ・ファニチュア協同組合(発起人=谷脇源資社長)発足
- 免震装置(KZ、AE)第1号をN社情報処理センターに納入
- 12月8日英・テトラッド社と提携
◆ 日本・世界の動き
- 1月昭和天皇崩御。昭和から平成へ
- 4月3%の消費税が導入される
- 7月参院選で社会党当選議員倍増。土井委員長「山が動いた」と勝利宣言
- 12月米ソ首脳が冷戦終結を宣言
福岡(現九州)セーフファニチュア協同組合が発足

新年の始まりに合わせるように、1月7日、日本は平成の新元号のもとに動きだした。
この年11月14日、福岡地区のスチール家具のメーカーと卸し店、小売り店を結集した「福岡セーフ・ファニチュア協同組合」が発足、発起人代表の谷脇源資金剛社長が、組合理事長に就任した。
同組合は、急速に進んでいるオフィスオートメーション化やインテリジェント化に、業界として的確に対応して、ユーザーのニーズに合った家具の制作・販売に乗り出すもので、事務局は金剛福岡支店に設けられた。
新任の弁で谷脇理事長は「とりあえず、最も進んだ市場のある福岡を中心に結成したが、将来は九州全域を網羅した組織に拡大したい」と語っている。
イギリス・テトラッド社と開発輸入提携

12月8日には、英国の高級皮革製イスメーカーのテトラッド社(ランカシャー州プレストン、ボブ・クーパー会長)と開発輸入契約を結んだ。
国内でも、オフィスの高級化が予想されるところから、金剛はエグゼクティブ(高級役職員)用の家具の開発も必要と判断し、欧米のメーカーとの提携を計画していた。一方、テトラッド社は家庭用高級皮製ソファーやイスのトップメーカーとして欧州では定評があり、日本を有望市場とみて、わが国の企業に提携先を求めていた。金剛の宮﨑邦雄専務が、この年の春、同社の工場を訪問して、開発輸入提携の交渉が急進展、契約締結に至った。
開発輸入の第1弾は日本人向けに設計されたエグゼクティブ用高級皮革製イス「マーキス(侯爵)」だった。
CPU制御の物流システム誕生

九州大手の医薬品卸・吉井株式会社(現・鶴原吉井㈱)は、熊本市流通団地内の物流センターに最新の入庫・出庫管理システムの導入を計画、金剛がその開発依頼を受けていた。以来、1年ほどかけて両社が意見を出し合い、5月23日に建設契約の調印を行った。
鉄骨2階建て延面積2679㎡の建て屋に固定棚、移動棚、流動棚、コンベアシステムを組み合わせて導入、商品の入出庫はコンピューターで完全制御し、計画的で効率の高い保管システム、きめの細かい在庫管理の実現を期した。
このシステムの特徴は、バーコードで品名・入出庫数・在庫数・ゾーン区分などを瞬時に読み取って各ラインの自動仕分けができる点にある。従ってベテランでなくても、だれでも簡単に素早く商品のチェックができ、注文―出荷―納品のスピードアップ、サービス向上に寄与するものと期待された。
“不況でも売れる製品”の開発に着手

「不況に備え何をなすべきか。みんなアイデアを持ち寄ってくれ。景気には山と谷がある。好景気の山が高ければ高いほど、これからやってくる不景気は深刻だ。不況に備えておくのは今のうちだ」。バブル経済でオフィスビルの建設が急増し、主力商品の移動棚Zが飛ぶように売れていた平成元年の10月、宮﨑邦雄専務は幹部を集めた恒例の集まりでこう述べ、やがてくる反動への心構えを社員に説いた。
こうして各職場から出してもらった不況対応策が25項目にしぼられた。その中から、まずは既に社内にあってまだ製品化されていないアイデアや技術を有効に活用しよう、ということになった。その一つが“免震技術”だった。
「耐震」と「免震」には大きな違いがある。耐震は例えば移動棚に、地震エネルギーに耐える強度を持たせるもので、部材の強度を高めたり、構造そのものを強くしたりすることが必要だ。金剛のラック製品などでは、ガセットプレートという特殊な部材を開発することで画期的な成果を上げてきている。
しかし、構造や部材を強化し、耐震性を強めるだけでは地震被害は防ぎきれない。「ヤナギに風折れなし」の例えのように、地震エネルギーに柔軟に対応することでエネルギーを吸収して、棚の揺れ、収容物の震動を減衰させることも必要である。「免震」はこうした考え方に立って、建物と地盤とのあいだ、あるいは収納物と床の間に特殊な装置をつけ、地震エネルギーをできるだけ吸収して、移動棚に地震エネルギーが直接及ばないようにするのが基本になる。この技術が製品化できれば、地震の多い日本で大きな需要が望めると考えられたのである。
こうして生まれた不況でも売れる製品として、免震移動棚Z、電子電動棚AEXといった製品が産ぶ声を上げるのである。しかし、免震技術を本格的な製品に結晶させるには、なお4年余りの苦難の年月が必要だった。
原本 P.108〜109
1990年KONGO 43年/平成 2 年谷脇社長に黄綬褒章。エスコート制度が発足
永年にわたる移動棚の開発・研究が評価され黄綬褒章。社内では新人を支えるエスコート制度と、退職した女性技術者を再雇用するパーソナル・オフィス制度が始まった。
◆ 金剛の歩み
- 1月21日コンゴー移動棚Zの発売納入2万カ所を記念して香港海外研修ツアー
- 2月12日名古屋支店新社屋が竣工
- 4月29日谷脇源資社長に黄綬褒章
- 6月1日新入社員のよろず相談、指導・アドバイスに当たるエスコート制度および結婚退職した女性社員の活用を図るパーソナルオフィス制度がスタート
- 8月17日松江出張所開設。初代所長に井上安廣が就任
- 9月26〜30日国際オフィス環境展に「視・触・感システムオフィス」を展示
◆ 日本・世界の動き
- 9月自民党の金丸信氏と社会党の田辺誠氏が金日成主席との会談で日本の過去の植民地支配への「償い」に同意、国交正常化への共同宣言に調印した
谷脇社長に黄綬褒章の栄誉

平成2年春の褒章で、金剛の谷脇源資社長が黄綬褒章受章の栄誉に輝いた。黄綬褒章は仕事に精通し他の模範となる人に与えられるもので、谷脇社長は永年にわたる移動棚の開発・研究の功績が高い評価を受けた。
5月15、16日に東京で行われた伝達式には夫妻そろって出席、ともに宮中に参内して天皇陛下に拝謁を賜った。6月7日には受章を祝う会が、熊本市のニュースカイホテルで開かれ、県内外から約600人が出席した。
三善信一リコー三愛会長が発起人を代表してあいさつ、細川熊本県知事、田尻熊本市長から「熊本県を代表する企業の経営者であり、リードオフマンとして県経済に貢献されるとともに、いち早く海外に拠点を設け、グローバルな企業活動を展開された慧眼を讃えたい」との祝辞が贈られ、谷脇社長は参会者に対し心を尽くした謝辞を述べた。
新人教育、女性の再雇用をめざして
6月1日に金剛で二つの新しい制度が発足した。エスコート制度とパーソナル・オフィス制度である。
エスコートはベテランの社員が新入社員に対するアドバイザーとして、相談に乗ったり指導に当たったりするもので、新人たちと社員のコミュニケーションを円滑にし、金剛社員としての自覚と自負を育てていこうというねらい。期間は1年間とし、エスコート役は新入社員からの相談などを「エスコート報告書」にまとめ、総務部長に報告する義務がある。
パーソナル・オフィスは結婚で退職した女性の元社員(技術者)を対象に、採用条件などを本人と打ち合せのうえ再雇用して、技能を持つ退職者の人材活用を図ろうとする制度。結婚してからも働こうという女性が増えている時代でもあり、金剛も時代に応じた制度を取り入れた。
視・触・感システムオフィス展示

9月26日から29日まで、東京の日本コンベンションセンター幕張メッセで開かれた、国際オフィス環境展・「インテリジェントビル'90」に、金剛は新しいコンセプトに基づいたオフィスシステム機器を出展した。
高級壁面収納家具「マイフェイス」は事務所の壁や窓下に配置でき、収納物のサイズを選ばないので、あらゆる資料やデータを入れることができる。間仕切りと収納家具、受付カウンターと収納家具の組み合わせなどオフィスのレイアウトが自由自在にできるのが特徴。
集約家具「忍者部屋」はボタン操作ひとつで必要な部屋のスペース(例えば女性用ロッカールーム)が現れる仕組みで、狭いスペースが有効に使える。同展には英国テトラッド社の高級皮製イスも出品された。
松江出張所を開設、名古屋支店新社屋完成

広島支店広島営業所の松江出張所(島根県松江市)が8月17日に新しく店開きした。これまで島根県と鳥取県は広島・岡山各営業所から対応していたが、出張所の開設によって敏速なフォローができるようになった。初代所長は井上安廣。
12月12日には、待望の名古屋支店新事務所が竣工した。1階は物流メーカーのオフィスらしく、移動棚ZHで在庫管理する倉庫になっており、2〜3階に経理部、ミーティングスペース、応接室、営業部、会議室のほか接客スペースを備えた支店長席などで、支店全体が活気にあふれたアクションスペースになっている。
原本 P.110〜111
1991年KONGO 44年/平成 3 年東京都庁に大量納入。新社長に宮﨑邦雄が就任
新都庁にマイフェイス約1000本、移動棚Z250台。そして10月、創業者からのバトンタッチ——「人づくり大宣言」で新体制が始まった。
◆ 金剛の歩み
- 4月1日東京新都庁に耐震型高級壁面収納家具マイフェイス、移動棚Zを大量納入
- 4月最新鋭のFMS(フレキシブル・マニファクチャリング・システム)ラインが完成。工場の無人化さらに進む
- 10月1日新社長に宮﨑邦雄が就任。新体制へ「人づくり大宣言」
- 11月11日水曜会(幹部全員)の工場巡回スタート。安全確認と5S運動の改善・改良を目指す
- 10月北九州営業所が新築移転
◆ 日本・世界の動き
- 1月湾岸戦争始まる
- 2月熊本市と飽託4町が合併
- 6月普賢岳で大火砕流、死者43人
- 11月海部俊樹内閣総辞職、宮沢喜一内閣発足
- 12月ソビエト連邦消滅、69年の歴史に幕
東京都庁に大量納入

金剛はこの年4月1日にオープンした東京都新庁舎(新宿区)に高級壁面収納家具マイフェイスならびに移動棚Zを大量に納入した。マイフェイスが約1000本、窓下収納家具がおよそ200本、移動棚Zが250台のかつてない規模。
納入したマイフェイスはノックダウン方式(現場組み立て)で両開き戸(B4判6段)を基本型としており、安全性・美観の面からトレー、引出し、ロッカーなども開き戸内に内蔵し、耐震装置付きが基本になっている。また戸の開閉の音を和らげるために側面はすべてハニカム構造を採用、表面にスポット溶接跡が残らないように丁寧な仕上げをしている。移動棚Zは、第1、第2各庁舎と議会棟の各階に資料・書籍の集密保管のために導入された。
金剛は前年の平成2年にも、都庁中央合同庁舎6号館に耐震型高級壁面収納家具マイフェイス(ノックダウン式)を納入しており、2年連続の納入になった。金剛の耐震型収納家具への信頼性が極めて高いことが認められた結果だと考えられる。
最新鋭のFMSライン導入

金剛は本社上熊本工場に自動化FMS(フレキシブル・マニファクチャリング・システム)ラインの導入・建設を進めていたが、4月5日に完成、公開した。
完成したFMSラインには、組み込んだ金型どおりに曲げ加工ができるサルバニーニ社(イタリア)の最新鋭機械など導入。主力製品の移動棚、壁面収納家具の基礎材料を板金加工する「切断・穴開け」「反転」「曲げ加工」の3工程がコンピューターの一貫自動制御でできることになり、多品種、少量生産への即応力が一段と強化された。この一貫制御で生産能力は5割アップ、無人化率は45%程度に上昇した。FMSラインの投資額は総額5億円に上った。
金剛はこれによって「業界随一の最高の生産システムを保有することになり、生産基盤の一層の地固めが進み、将来の人手不足に対しても自信ができた」と、新しい時代の生産体制が整ったことを強調している。
新社長に宮﨑専務が就任

金剛は9月17日、10月1日付で創業者の谷脇源資社長(当時66歳)が代表取締役会長に就任、宮﨑邦雄専務(当時47歳)が代表取締役社長に昇格すると発表した。宮﨑氏は谷脇氏の娘婿。「バトンタッチの時期と判断した」理由について谷脇氏は、①金剛は翌年2月に創業45周年の節目を迎える②後継者(宮﨑氏)が育った③これからの社業発展には新しい発想が必要ーなどを挙げた。
一方、宮﨑専務は「景気が厳しくなっている時期での社長就任は、親獅子から谷に落とされる子獅子の気持ちだ。跡目を継ぐ者という意識ではなく、創業者の気構えで乗り切りたい」と後継者としての自分の役割を冷静に受け止めている。
さらに「谷脇社長の“最大より最良”という経営モットーに、“ボリューム”を加えたい。現在200億円突破に向けて物流部門とオフィス部門を強化しているが、カギになるのは2部門に次ぐ新たな柱作り。それを何にするかが、これからの課題である」とシャープに現状を分析している。
その課題を果たすには全社的な質の向上が必要として、「21世紀を生き残って課題を達成していくには、社員教育とTQC(品質管理)の徹底が欠かせない」と人づくりの重要性を強調。社内システムのあり方についても「常に現状に満足せず、昨年とはどこかが新しく変わっているというような組織作りを進める」と意欲をみなぎらせている。
宮﨑社長は社長就任の10月1日、「人づくりこそ私に課せられた最大の課題と考えている」旨のコメントを発表した。それが「人づくり大宣言」である。
本日より新しく社長に就任しました。お客様、ご販売店様、社員の皆様の絶大なるご支援を得て、仕事が全うできますよう心から念じております。
さて、これからどのような会社をめざすかは大きな課題でありますが、私は基本的には、会社は人と人とで成り立つ人間組織集団であると考えます。であるとすれば、すべての根幹を為すものは人であると言えます。したがって、“人づくり”こそもっとも力を注がねばならない使命であります。
私はこれまで“百人研修”と称して大いに全社的教育の推進を図ってきましたが、すでに昨年は延年間二百五十人以上が研修訓練を受けました。
これから、もっと必要となってくるのは、一層体系的な番組を編成し、知識、経験、実務処理力、方針策定力、人間としての慈愛豊かな人格などが自然に身につくようにせねばなりません。当社、ならびにグループが二十一世紀に生き残る道はこれしかないのです。
集まりきたる沢山の凡人を、いかに非凡につくりあげるか——ここに、歴史の一時期に身をおくわれら企業人としての大いなる夢とロマンを感じるのではないかと思います。
何十年かの後、地域の為、日本の為、社会の為に大いに貢献する沢山の傑人が誕生していくのを夢とするのであります。── 金剛株式会社社長 宮﨑邦雄「人づくり大宣言」
北九州営業所が新築移転
北九州地区における金剛のイメージアップと営業およびサービスの拡充を図るため、北九州市小倉北区井堀1丁目に北九州営業所を新築移転、10月、新営業所を店開きした。
同営業所は昭和38年5月に開設され、北九州市をはじめ中間、行橋、豊前、田川、下関などを対象に営業を展開していたが、小倉北区中井の社屋が手狭になったことや「ニューオフィスシステム」などの展示が必要になったため、ショールームを併設した店舗を新築した。
水曜会の工場巡回が始まる

毎週月曜の朝礼後、工場の幹部全員(水曜会メンバー)が工場を巡回する「水曜会の工場巡回」が、11月11日より始まった。平成10年の現在も続いている。
「安全確認」「5Sの推進」「改善・改良のタネを探す」ことを目的に始まったのだが、沿道の植え込みから毎回ゴミ袋いっぱいの空き缶が回収されるなど、副産物もある。もちろん狙い目の改善・改良のタネがたくさん見つかり、整理・整頓・清潔など5Sの成果も上がっている。
コンゴートピックス ── 三題縁起話 金剛・スチール家具・三菱重工長崎造船所
金剛がスチール家具メーカーに進出したのは1957(昭和32)年。同年に三菱重工業長崎造船所は、スチール家具の生産を停止している。これだけでも、金剛は長崎造船所と何かつながりがありそうな感じがしないでもない。ところが「金剛」という名前を介してもう一つのつながりがある、となるとなにやら因縁の深いものが感じられる。
日本で初めてスチール家具を製造したのは、三菱重工業長崎造船所で、1911年のことである。そして、英国のバロー市で建造された日本海軍の巡洋艦「金剛」は、この年に艤装のために英国から長崎に回航されて同造船所のドックで、艦内にスチール家具が取り付けられている。
それまで艦内の家具はほとんど木製で、戦闘の際には燃えやすいため、スチール製に変えられたという。日本海海戦の経験に学んだのだろうか。
話はこれだけに終わらない。歴史のこぼれ話のような縁起が現代につながる。
1963(昭和38)年金剛がスチール家具を生産の主力にしていた時期。業界もそうであったが、金剛もまだ日の出の勢いはなく苦しかった。そこへ三菱重工業長崎造船所から1200台を超えるロッカーの注文をいただいたのである。お陰でちょっと楽になった。
金剛の社名とスチール家具と巡洋艦「金剛」と三菱重工業長崎造船所と、何か縁の糸で結ばれているのではないかーと思いたくなってくる。
原本 P.112〜114
1992年KONGO 45年/平成 4 年移動棚自動ピッキングシステムを発表
電動棚に自動ピッキングを組み合わせた「ラックロボ」が登場。社内では趣味とスポーツで結ぶTELコミュニケーションが発足した。
◆ 金剛の歩み
- 6月11日NTT九州移動通信(本社福岡市)と提携し、携帯電話など販売開始
- 8月10日スポーツ施設向けロッカーシステム「テンキークロゼット」を発売
- 9月健全な趣味・スポーツを通じて社員のコミュニケーション育成を図る「TEL, COMMUNICATION」スタート
- 10月16日移動棚自動ピッキングシステムAS/RSラックロボシステム発売
◆ 日本・世界の動き
- 1月ブッシュ米国大統領来日、8日の晩餐会で倒れ騒然となる
- 5月細川護熙氏が日本新党を結成
- 7月バルセロナ五輪開幕。日本は水泳の岩崎恭子らが金メダル3個を獲得
- 10月天皇、皇后が初めて中国ご訪問
- 10月米国で日本人留学生が訪問先を間違えて射殺される
移動棚自動ピッキングシステム

金剛は10月16日から20日まで千葉の幕張メッセで開かれた'92東京国際物流展で「移動棚自動ピッキングシステムAS/RSラックロボ」を発表、売り出した。これは電動棚に自動ピッキングシステムを組み合わせて、入出庫作業を自動化したものである。
金剛は昭和63年に、フォークリフトを使わないで重量物を入出庫できる移動棚「金剛十文字膳」を開発している。「ラックロボ」はそれに続くもので、中軽量物タイプの移動棚にピッキング装置を組み合わせた。特徴の一つは新しく開発したベルト方式のピッキング装置で、従来の棚板上のダンボールケースをそのままの状態で直接出し入れすることができる。このシステムは自動倉庫に比べ、保管スペースは約2分の1から3分の1で済み、価格も割安になるのでトランクルームなど、ピッキング頻度の少ない業界に適している。
また走行クレーン式オートピッキングを採用すれば、高層保管が可能になり、収容能力は2倍以上に、入出庫作業の自動化により、作業の効率化・省人化を高めることができる。特に高所での人手作業をなくせるので、より高い安全性を確保できる利点がある。
金剛は物流システムの省力化で、作業のスピード化を図り、同時に狭いスペースを有効に生かすことでコスト低下を図るなど、お客さまの要望にマッチした製品開発を目指しているが、このラックロボは、そうした線に沿って開発された強力な新製品である。
NTT九州移動通信と販売提携
金剛は6月11日、NTT九州移動通信㈱(本社=福岡市・相良兼助社長)と携帯電話の販売提携を結び、代理店契約書に調印した。
当時、物流システムや、ニューオフィスシステムなどでも、通信メディアを駆使したものが増えていた。従ってそうした分野でも直接通信分野に関連する作業が増えており、通信メディアにかかわることは、通信の短縮やスピードアップなどメリットがあると考えられる。
同社はこれまで県下で、100店ほどの取次ぎ店を有していたが、販売店では金剛が第1号の代理店契約となった。
スポーツ施設向けロッカーを発売

金剛はスポーツ施設向けのロッカーシステム「コンゴーテンキークロゼット」を開発、8月10日発売した。
クロゼットの特徴は表面仕上げが高級な木目調になっており、壁面はハニカム・ペーパーコア入りにして質感を出し、開閉時にポンと重量感のある快い音がするようにしてある。
システムとしては、テンキー操作により安全性の高い電子錠の施錠、開錠ができるほか、4桁の暗唱数字を使って電子錠をセットできるワンタイム機能が付いている。また、部外者が何回も異なるテンキーナンバーを押した場合やロッカーをこじ開けようとした場合は警報を発し、カウンターへその状況を知らせる安全予防機能もある。
TELコミュニケーションが発足

社員福祉制度の一環として「TEL, Communication制度」が、9月に発足した。
TELはTry・Enjoy・Lifeの略語で、健全な趣味、スポーツなどを通して社員がコミュニケーションを深めるとともに、健康および教養の向上に努めて、ゆとりのある豊かな生活設計を支援していこうというのが、基本的なねらい。
これに該当する団体になるには、クラブ設立申請書を総務部に出し認定を受ける必要があるが、活動内容はスポーツや趣味などなんでもよい。10人以上のメンバー登録と、顧問に課長代理以上の就任を要件としている。
社内報「ひまわり」(1993年3月号 No.37)によると、バドミントン、サッカー、フィットネスクラブ(いずれも熊本本社)、野球クラブ(名古屋)、ボウリングクラブ(東京)などが、まず名乗りを上げた。
原本 P.115〜116
1993年KONGO 46年/平成 5 年移動棚の免震装置をシステム化、日本初・世界初へ
15年におよぶ研究の末、ロック解除・ESC装置・リリース機能の三つを組み込んだ免震機構が完成。8月から売り出された。
◆ 金剛の歩み
- 1月東京本社に営業推進課を設置
- 2月サイン波加振の「大型加振装置」を開発、研究棟に設置
- 4月1日三井ホームと合弁で熊本中央ホーム㈱を設立
- 5月移動棚の免震装置(3点セット)を正式に発表
- 8月業界で初めて「免震装置」付きの移動棚を開発、発売
- 11月5日〜6日販売力強化へ「コンゴーツーデイセミナー」を全国で開講
- 11月社屋リニューアルが完成
◆ 日本・世界の動き
- 3月金丸信前自民党副総裁を脱税容疑で逮捕
- 6月皇太子さまと小和田雅子さんご結婚
- 8月宮沢喜一内閣総辞職。9日細川護熙連立内閣が発足。55年体制が崩壊
三井ホームと合同で熊本中央ホームを設立

金剛は4月1日、三井ホーム㈱(本社・東京新宿、赤井士郎社長)と合弁会社「熊本中央ホーム㈱」を設立し、三井ホームの高級住宅・ツーバイフォー住宅を、熊本県内一円に施工販売することになった。
金剛グループには、在来工法で注文住宅を施工している㈱コンゴーハウスがあるが、ツーバイフォー住宅はこれに競合しないとして、6年前から三井ホーム住宅を取り扱ってきた。ごく近年は、都会的な生活感覚の浸透に伴い、ツーバイフォー住宅市場が急速に拡大している三井ホームとの合弁に踏み切った。
熊本中央ホームは本社を熊本市花畑町1の1にある三井生命ビルに置き、金剛の宮﨑邦雄社長が中央ホーム社長に就任した。
コンゴーツーデイセミナーを開催

この年初めて「コンゴーツーデイセミナー」が全国5地区(東京、名古屋、大阪、広島、熊本)で開催された。全国の販売店の営業マンを中心に金剛製品全般についてはもちろんのこと、主力製品について専門的な特徴をよく勉強してもらい、販売力のレベルアップを図ろうというもの。
九州地区の営業マンは、ベテラン・新人を問わず11月5、6日の両日、熊本の金剛本社で開かれたセミナーで2日間を過ごしたが、講習の内容はかなり高度で充実していた。
熊本会場では初日、宮﨑社長が「ダウンサイジングについて」、上野豊次長が「これからの電気製品の取り組みのポイント」、特別講師として招かれたツインドームシティ副社長・ダイエー顧問の滝本憲二氏が「スペースワールドからツインドームシティへ」と題してそれぞれ講演した。
2日目は「耐震・免震をどうセールスに生かすか」(上野次長)、「これからのロジスティックス製品の展開」(小森部長)、「分かり易いファイリングシステムとファシリティマネジメントについて」(同)のセミナーと、ギッシリ詰まった日程だった。
移動棚の免震装置をシステム化
金剛は、地震に際して移動棚の被害を最少限に食い止めるにはどうすればいいか、この15年の間、鋭意研究に努めてきたが、これまで研究開発して製品化してきた耐震機構に加えて、新しい考え方に基づく「免震装置」を組み込んだ移動棚を完成、この8月から売り出した。
移動棚は底部の車輪がレールの上に載っていて自由に動くようになっている。ところが実験の結果では、レールの上を自由に動くようにした移動棚は、床が激しく揺れても車輪がエネルギーを吸収して、ほとんど動かない性質を持っていることが分かり、この性質に着目して開発が行われた。
その結果、まず、通常の移動棚の使用の際は、利用者の安全を確保するため棚が動かないよう「ロック機能」が付いているのを、震度5以上の揺れに対しては、自動的にロックが解除される装置を取り付けることにした。
また、仮に移動棚が地震の揺れで動いた時は、レールの両端のエンドストッパーに激突、反動で棚の倒壊の原因にもなる。そこでストッパーの近くまで動いたら、自動的に棚が止まる仕組み「ESC装置」も開発した。
さらに移動棚には後輪駆動方式(当社の特許)を採用した。この方式には地震エネルギーを受けると、棚がエンドストッパーに接近しないように、内側へゆっくりと移動する特性リリース機能があり、この機能は震度5以上の揺れが発生すると顕著に現れることも明らかになった。
そこで、移動棚の地震の被害は、①ロック解除装置②ESC装置③リリース機能ーの三つを組み込めば、防止できるのではないかとの見通しが得られた。こうした研究が基になって、免震移動棚にはこの三つの装置・機能が相互にうまくかみ合って作動するように組み込まれ、地震の場合に移動棚と収容物の安全を確保できるようにした。
免震機構は、昭和53年の宮城沖地震で移動棚倒壊の事例があったことから、同地震直後から研究・実験を開始、ほぼ15年をかけて技術を確立した。移動棚における「免震装置」の開発は日本の業界で初めて、おそらく世界でも初めてのことだった。
社屋・工場をリニューアル

この年、上熊本の本社・社屋および工場は、総工費1億5000万円をかけてリニューアル(模様替え)を行った。財熊本県雇用環境整備協会の助成を受けた、働きやすい職場づくりを目指す「金剛ニューファクトリープラン」の一環。
プロジェクトの進行には製造本部企画管理の植木課長代理をはじめ企画課、総務課、CTC事業部から選ばれた運営委員が当たった。
工場内に運動器具を備えたフィットネスルームや図書資料室、クラブミーティングルームを設置。食堂には北欧から輸入した机とイスを入れ、イベントなどにも利用できる多目的ホールに改装した。社屋、工場とも禁煙にして喫煙は所内の9カ所の喫煙室に限定、女子専用の休憩室も新たに設置され、見違えるほど環境が改善された。
宮﨑社長は「リニューアルはわが社のニューファクトリープランのごく一部に過ぎないが、魅力ある企業、有望な人材の確保を目指す第一歩である」と語っている。
原本 P.117〜118
1994年KONGO 47年/平成 6 年九州・山口経営者賞、ニューフロンティア優秀賞
谷脇会長が第21回経営者賞、免震移動棚Zがニューフロンティア賞優秀賞。「金剛やる気塾」も始まり、新免震プロジェクトが完成した。
◆ 金剛の歩み
- 3月4日熊本中央ホーム㈱が西嶋三井ビルに事務所を移転
- 4月20日谷脇源資会長が九州・山口経営者賞を受賞
- 7月5日免震移動棚Zがニューフロンティア賞優秀賞を受賞
- 10月1日神戸営業所を開設。初代所長に松永英孝が就任
- 10月21日「金剛やる気塾」がスタート
- 11月3日長年の修学旅行生受け入れに対し徳島県穴吹町から、谷脇会長に感謝状が贈られる
- 12月3日「新免震プロジェクト」が完成
- 12月百人研修制度の一環として能力向上支援の通信教育の奨励に乗り出す
◆ 日本・世界の動き
- 4月細川護熙内閣退陣へ
- 6月村山富市3党連立内閣が誕生
- 6月史上初の1ドル90円台の円高
- 10月大江健三郎氏ノーベル文学賞
谷脇会長に九州・山口経営者賞

谷脇源資会長は、地域経済発展に優れた業績を挙げた経営者として九州・山口地域経済貢献者顕彰財団(理事長=四島司福岡シティ銀行頭取)の第21回経営者賞の対象者に選ばれ、4月20日、福岡市の西鉄グランドホテルで表彰を受けた。
金剛がオイルショック直後に発売した省スペース・省エネルギー機器「丸ハンドル式移動棚Zシリーズ」が国立国会図書館や東京都庁などに大量に採用され、科学技術庁長官賞および発明大賞松原発明功労賞を受賞するなど、地域経済の興隆に多大の貢献をしたと評価された。
谷脇会長は「創業以来ここまで発展できたのは私を支えてくれた社員のおかげ。この賞は全社員に対する顕彰と思っている」と語っている。
ニューフロンティア優秀賞を受賞

この年10月7日、時代を先取りした技術開発に優れているとして日本工業新聞社のニューフロンティア賞優秀賞を受賞した。
この賞は同新聞社が創刊1万5000号を記念して設定したもので、活力あふれる経営で時代の先端をいく新技術・新製品の開発や活動を展開している企業を表彰している。金剛が開発した世界初の地震対応型移動棚「コンゴー免震移動棚Z」の技術が高く評価された。九州からの受賞は金剛一社だけだった。
「金剛やる気塾」スタート

管理職層のレベルアップと将来の経営幹部の育成を視野に入れた「金剛やる気塾」が10月から始まった。
金剛の社会的な評価の高まりに伴い、優秀な人材が数多く入社するようになってきた。これまでできるだけ多くの社員を社外研修に送り出す方式で、育成に力を入れてきた。しかし、これからの課題として、金剛独自の教育コンセプトを育て経営の要となる管理職層を育成すべき時代がきているとの着想に基く。
こうした発想から、「金剛やる気塾」では金剛独自の「社学」の育成も視野に置きながら、将来の経営幹部育成をめざし、独自の教育プログラムに基づく講座が組まれた。
プログラムは次の七つが主な内容である。
- ①形成方針翻訳コース
- ②実践目標管理コース
- ③組織的行動啓発コース
- ④管理職マネジメント基礎コース
- ⑤業務のスピードアップと効率化コース
- ⑥問題解決手法実践コース
- ⑦OJT実践コース
百人研修に能力向上支援制度
金剛では、資質の向上を目指してできるだけ多くの社員が研修の機会に恵まれるように、「百人研修制度」を設けて(発足は昭和61年)運営してきたが、この年の12月から新たに「能力向上支援制度」が仲間入りした。自分が興味のあることや好きなことを学んでもらおうというもので、商業簿記検定コースや情報処理技術者試験コースなどが含まれた通信教育講座になっている。ニックネームは「やる気人のための通信講座」。
百人研修制度が、会社が指示した研修(業務研修)の受講に限るのに対して、能力向上支援は、自分で積極的に自己啓発をしていこうとする社員に対して受講費用の援助(半額)をする。
参考までに、これまでの百人研修受講者数の足取りを見ると、既に昭和63年から“100人”を突破、平成になってからはほぼ毎年200人を超える人が参加している。
修学旅行生受け入れに感謝状
毎年5月に、谷脇源資会長の出身地・徳島県穴吹町を含む穴吹、三島、口山の3中学の合同修学旅行団が、上熊本本社・工場を見学にやってくる。昭和30年代後半から30年以上も続いている。
生徒と引率の先生が工場内のコンピューター制御の生産ラインで、鉄板が自動的に加工され製品ができあがり、梱包されていく様子などを見学。谷脇会長は12歳で町を出て現在に至るまでの体験などを話し、生徒たちに感銘を与えている。
穴吹町では、こうした谷脇会長の長年の修学旅行生に対する温かい思いやりに感謝して、11月3日に開かれた穴吹町合併40周年記念の式典で、谷脇会長に感謝状を贈った。
免震プロジェクト完成
金剛では平成5年8月からの「新免震プロジェクト」の研究がまとまり、12月3日に本社で完成報告会を開いた。プロジェクトは熊本工業大学の岩原教授が顧問、上野CTC事業部次長(当時)がリーダーとなって行っていた。この研究から免震システムの開発が図られ、地震災害における人的、物的被害の防止に威力を発揮すると期待が高まっている。
原本 P.119〜120
1995年KONGO 48年/平成 7 年阪神大震災。“免震の金剛”として脚光を浴びる
神戸市役所2号館6階、床を支えていたのは直下に納入されていた移動棚Zだった。阪神地区32カ所の免震対応の棚は、いずれも無事だった。
◆ 金剛の歩み
- 1月17日阪神大震災。阪神地区32カ所に納入の免震移動棚Zが全て無事。“免震の金剛”の評価が一挙に高まる
- 2月15日免震移動棚が日本発明振興協会の発明大賞・発明功労賞を受賞
- 3月10日自己診断・調整、監視機能を強めた次世代電子電動棚AEXを発売
- 3月24日熊本県環境保全協議会発足。会長に宮﨑邦雄社長を選出
- 6月1日7月からの製造物責任法実施を控えて、品質保証室を設置
- 6月26日㈱コンゴー測器、熊本市馬渡1丁目に本社新社屋を建設
- 7月1日東京本社、東京都港区高輪2丁目ポーラ高輪ビルへ移転
- 7月3日免震推進室を設置
◆ 日本・世界の動き
- 1月M7.2の阪神大震災発生、死者約6000人という戦後最大の被害に
“免震の金剛”として脚光を浴びる

平成7年1月17日、未曾有の直下型大地震が阪神地方を襲った。堅牢優美に見える現代建築も大自然の力の前に脆さすら露呈した。この地震で、金剛は一躍脚光を浴びることになった。
神戸市役所2号館の6階部分も今にも床が崩れ落ちそうになっていた。その崩壊をかろうじて食い止めていたのは、直下に納入されていた移動棚Zだった。書架が天井部分を支えていたのである。
金剛は阪神地区では32カ所に免震対応の棚を納入していたが、この大地震の中でも、いずれの棚もそれ自体が無事だったばかりか、収納物の落下もほとんどなかった。それだけに「金剛の免震棚は地震に強い」という話は顧客の間でいち早く評判になった。震災後2カ月間で契約数は、早くも前年の1年分に達するという状況であった。阪神大震災は、金剛の技術の確かさを証明し、販路を伸長する好機となったのである。
例えば、D社は「阪神大震災でビル壁面の棚や収納家具は吹っ飛んでいたのに、テープや資料、データ保管の免震移動棚Zだけがシーンと立っていた」と言っており、またK刑務所では免震移動棚Zを導入直後に大震災を受けたが全く無傷で、収納物の資料も棚に整然と載っていたという。免震移動棚Zで美術品などを保管していたN社からは「この棚のお陰で、世界に二つとない美術品が助かった。金剛さんは世界の文化を守ったようなものだ」と丁寧なお礼が届いた。
免震移動棚に発明功労賞
金剛の「移動棚の地震時の転倒防止と免震機構に関する発明」は、極めてユニークであるとして、「移動棚の自動ロック解除装置」が財日本発明振興協会と日刊工業新聞社共催の第20回発明大賞・発明功労賞を受賞、表彰式が4月15日、東京虎ノ門のパストラルで行われた。
日本発明振興協会は、表彰の理由に「今まで棚構造の剛性の向上など耐震性の強化は図られてきたが、地震エネルギーを吸収することで揺れを小さくする発想はなかった。同社が、地震の揺れを感知すると移動棚のロックを解除して、車輪が回転するようにして、地震の揺れを吸収するようにした考案はユニークである」ことを挙げ、その技術開発力を高く評価した。
次世代電子電動棚AEX発売

金剛は次世代の電動棚として「コンゴー電子電動棚AEX」を3月10日より発売した。
AEXの主な特徴は①ヘルプ機能=操作方法などを液晶ディスプレイのメッセージで分かりやすく表示②監視機能=作動状況を常に監視し、トラブルが起きたときには、その場所や内容を液晶に表示、メンテナンスをやりやすくした③自己診断調整機能=モーターの出力変更および各センサーを自己診断して調整する④作動パターンの変更機能(通路数選択・集束・分散機能)=単通路、多通路から集束・均等分散まで自由に作動パターンを変更できるーなど。より安全性を高めるために、棚通路進入センサー、接触すると棚が停止する台枠安全バー、モーター過負荷センサーなどの安全装置も装備している。
この年7月より製造物責任法(PL法)の施行で、より一層の安全性が製品に求められることとなったが、AEXの諸機能は、こうした時代の要求にも沿うものだった。
品質保証室を開設
7月1日から施行される製造物責任法(PL法)に対応するため、6月1日付けで顧客サービスの窓口となる品質保証室を発足させた。
PL法施行に対応するとともに、①全社的な品質保証業務の総括②PL法関係の対応。(a)顧客からの苦情への対応(b)苦情処理のためのルールづくり(c)各営業よりの苦情処理③品質改善の社内標準化を推進④品質保証のための品番管理⑤受け入れ検査・出荷検査などの検査業務⑥JIS、JQAなどの検査への対応⑦アフターサービスのルールおよび方針づくり⑧その他の諸項目、の諸点から顧客が十分満足する品質と信頼を確保していく道を探ることになった。
東京本社を高輪に移転
7月1日、金剛は東京本社を東京都港区高輪2丁目ポーラ高輪ビルに移転した。業務の拡大にともないこれまでの事務所が手狭になったのに加え、積極的に推進しているOA化に対応するため近代的ニューオフィスが必要となったため。東京本社は昭和39年に開設され、現在、関東・甲信越以北の東日本地区を営業地域としている。宮﨑社長は「東京本社のオフィス環境が一段と整備され、先端的事務所として機能していくことは、全社的効率化に一段と弾みがつく」と語っている。
免震プロジェクト推進室を設置
7月3日、社内に免震推進室を設置した。1月の阪神大震災で、同地域に金剛が納入した32カ所の免震移動棚が全く無傷で、美術品やコンピューターテープなどの収納物にも損傷が全然なかったことから、引き合いが急増したのに対応するもの。
同震災以来、免震や制震機能を持つ建物に関心が高まっている。しかし、建物の免震性の強化は仕組みが大仕掛けになり、コストもかかるので簡単には進められないのが実情。ところが、建物の中の設備や備品は、建物に比べて役所の認可などは不要でコストも格段に安いことから、建設省はじめ主要官庁、美術館、博物館、ゼネコン、大手設計事務所などから問い合わせや発注が相次いだ。
こうした市場の動向に合わせて、金剛の優れた免震技術を、広く一般に理解・認識してもらい、免震移動棚の拡販につなげていこうという狙いである。免震推進室は熊本本社に本部を置き、担当者は東京・大阪はじめ全国に16人を配置した。
※免震移動棚の取り組みは、読売新聞(1995年3月16日付朝刊)および日刊工業新聞(1995年5月3日付朝刊)でも取り上げられた。
原本 P.121〜123
1996年KONGO 49年/平成 8 年グッド・デザイン金賞受賞、全国展開が完成
BCI社と共同開発した図書館用木製閲覧机がGマーク金賞。北海道営業所の開設で、沖縄から北海道までのネットワークが完成した。
◆ 金剛の歩み
- 3月19日くまもとデザイン道場最優秀賞を受賞
- 5月23日鹿島建設技術研究所で免震移動棚、免震台の3次元振動実験を公開
- 6月9日夏目漱石の在熊第一の家があった金剛ビルの入り口に「若き日の漱石」のレリーフ完成
- 10月27日旧制五高(現熊本大)の五高記念館前に「漱石のブロンズ像」を寄贈
- 11月9日上熊本駅に漱石来熊100年を記念して建てられた銅像に協賛
- 10月1日デンマークのBCI社と共同開発した図書館用木製閲覧机が通産省のグッド・デザイン賞金賞を受賞。北海道営業所を開設、これで全国展開が完成
- 10月22日〜26日「バーチャル物流保管システム」を千葉・幕張メッセの'96国際物流総合展に出展
- 10月1日創業50周年を記念して製造本部社員の制服デザインを一新
- 11月18日環境科学室を新設
※原本では、この年の「日本・世界の動き」欄は掲載されていません。
グッド・デザイン金賞受賞

図書館用木製閲覧机が平成8年度の通産省選定グッド・デザイン賞教育用品部門で最高のグッド・デザイン賞金賞を獲得、10月に表彰された。金剛の持つノウハウと、世界有数の図書館家具専門メーカーであるデンマークBCI社との共同開発商品で、BCI社と連名の受賞となった。金賞の受賞は県内では初めて、九州でもTOTOについで2番目という、極めて評価の高い賞である。
かねて、生きた図書館づくりのコンセプトのもと、利用者の目的に応じた多様な機能美を追求してきた。特に今回の製品は、日本の事情に則して人間工学の面からも、BCI社との綿密な共同開発作業を行った。利用者サイドに立ってのサービスが求められる、これからの図書館にマッチした点が認められたと思われる。
受賞の閲覧机は三角形を基本ユニットとしており、組み合わせ次第で直線や並列に配置ができるのみならず、六角形あるいは半六角形のブロックが形成でき、部屋の中心部に配置して会議や共同学習などにも使える。
また組み立て、分解が簡単にできるためレイアウトに柔軟性がある。仕切り板、サイドスクリーン、パソコン用キーボードテーブルや照明装置といった付属品の充実により、パソコン使用にも対応できるーなど、隠れた長所も持っている。
宮﨑邦雄社長は「最近の図書館はコミュニティセンターや生涯学習センター的な機能を強めており、多種多様な目的を持った人が集まる場となっている。こうした動きは、図書館の家具や備品の機能、デザインのあり方にも影響を与えてきている。今回の金賞受賞を励みに、一層お役に立てるよう努力したい」と語っている。
バーチャル物流保管システム

10月22日から26日まで千葉の幕張メッセで開かれた'96国際物流総合展に、無線で操作ができる電子電動棚「ニューリモコンEH」を主体にした「バーチャル物流保管システム」を出展した。
このバーチャル物流保管システムは、通信ネットワークを介してリアルタイムに棚の遠隔管理をするもので、「CALS」(コンピューター利用による管理)などのグローバルな物流ネットワークへ発展させることも可能である。
システムの中核になっているのは、新開発の「ニューリモコンEH」で、A・I(人工知能)搭載の制御システムを採用し、①無線で操作できるほか②ペーパーレス入出庫指示システム③バーコードシステム④EHセキュリティシステム⑤モニタリングーなどの機能も持っている。
さらにモデムを接続すると通信回路を通して、遠隔地の移動棚も操作できるので、工場、港、消費地などの広い範囲に散在する小規模倉庫を、1台のコンピューターで在庫・入出庫などを簡単に一括管理することも可能。
本社工場ネオン点灯式社長挨拶

毎日毎日 日夜分たぬ業務精励に心からお礼申し上げます。
本日は都合良く雨交りの空で、この午後6時半にはいつもより随分暗くなり、濡れた地面にネオンが映え点灯式には最高の贈り物です。
実は約10年前この工場ができた時にネオンを考えましたが、円高不況のさ中余裕もなく諦めました。
そして昨年夏、熊大工学部建築の北野教授との雑談の中で都市にはシンボルが要るという話になりハッと想い出したのがKONGOのネオンでした。
博多から熊本へ来る時、工大の山を通るといよいよ上熊本です。夜ですとKONGOの青いネオンを見ればホッとして降り仕度をする乗客も段々増えてくるのではと思います。
かつて昭和20年代の終わり頃でしたか、大洋デパートが建ち屋上に大きな大きなネオン塔が建ちました。赤い星、青い星がチラチラと輝き、子供心に心を弾ませました。宇土の方からも見えたとの事でした。
そのようにいつの間にか青いKONGOのネオンはいろいろな人の心に残るのではと思います。
新幹線もなかなかきませんが、新幹線を心待ちにしていますよというシグナルでもあります。
来年は当社も創業50年です。ひと区切りのシンボルの意味も込めました。
末永く皆さんに愛していただきたいものです。── 2月29日 社長 宮﨑邦雄
阪神大震災規模の振動をクリア

5月には、これまでに重ねてきた移動棚の振動実験の集大成として、国内で唯一、3方向同時加振によって阪神大震災クラスの実大波を再現できる設備を有する鹿島建設㈱技術研究所で、公開実験を含めて1週間にわたる「移動棚三次元振動実験」を行った。
実験は震度7レベルの振動波形を再現する振動を加え、移動棚の挙動や収納物の動きなどを観察、各種の貴重なデータを得ることができた。
特に公開実験では、各界の関係者が見守るなかで阪神大震災実大波(神戸海洋気象台観測波)による振動実験が行われたが、免震装置付きの移動棚では、棚の暴走や転倒は全くなく、収容物の落下も見られなかった。加振終了後、移動棚はすべての機能が正常に作動することが確認され、大地震に対する免震移動棚の安全性が改めて実証された。
北海道営業所を開設
10月1日、札幌市西区山の手五条4-1-41に北海道営業所を新設した。所長は宮本秀治。30カ所目の営業拠点。沖縄から北海道までビジネスネットワークが完成した。
北海道は釧路沖地震などの発生もあって地震対策への関心が高く、金剛の免震移動棚や免震台などに引き合いも多かった。また地元でも出店を望む声が高まっていた。宮﨑邦雄社長は「これで道内のお客様の細かい要望にも応えられる。また懸案だった全国ネットが完成することで、国内外での企業イメージの向上にもつなげたい」と語った。
創業50周年で製造本部制服を一新

明年の創業50周年を控えて、製造本部社員の制服デザインが10年ぶりに新しくなった。上着は全体がクリーム色で胸元とポケットに黒のアクセントがあるジッパー付き。アースグリーン色のズボンとの取り合わせがキリッとしたイメージを誘って好評だった。
胸のKONGOの字を大きくしたり、安全面からズボンのポケットをなくすなどの工夫もした。
漱石来熊100周年記念事業に協賛

翌平成9年は金剛の創業(昭和22年2月)から始まる50年目になるため、50周年記念事業の一環として、県と熊本市が大々的に取り組んだ「明治の文豪、夏目漱石来熊100周年記念事業'96くまもと漱石博」に積極的に協賛した。
まず6月9日、ホテルサンルート熊本(金剛ビル)の銀座通り入り口壁面に埋め込まれた“若き日の漱石”レリーフが披露され、福島譲二県知事、漱石の孫の娘婿で作家の半藤一利さん(元文藝春秋編集長)、森野能昌熊本大学長、三浦洋一県文化協会長、谷脇源資会長らが除幕した。これはこの地が金剛の創業の地であると同時に、来熊した漱石が仮寓ののち初めて定住した「光琳寺の家」の土地でもあった縁によるもの。また6月9日は光琳寺の家で漱石が貴族院書記官長だった中根重一の長女鏡子を迎え、結婚式を挙げた100年目の記念日に当たっていた。
“若き日の漱石”レリーフは熊本出身の気鋭の彫刻家・鷹尾俊一氏(当社鷹尾元常務の子息)の作になるもので、台座には「すずしさや 裏は鉦打つ 光琳寺」の漱石の句が安永蕗子さんの書で刻まれている。

10月27日には熊本大学構内の五高記念館前に“青年漱石 こころざし”ブロンズ座像(台座含め高さ190cm)が、金剛から同大学に寄贈された。ロンドン留学前の希望と気負いに満ちた漱石をモチーフにした像で、同じく鷹尾俊一氏の作。像の脇には漱石が飛躍を期する心境を詠んだ「秋はふみ 吾に天下の 志」の句碑が置かれている。除幕式には福島譲二県知事、森野能昌熊本大学長、三浦洋一県文化協会長、谷脇源資会長らが出席。森野学長から「大学の歴史と将来を想うモニュメントとしたい」と謝辞があった。また'96漱石博推進100人委員会が100年前に漱石が降り立ったJR上熊本駅前に、漱石の等身大の立像を建立したが、金剛もこれに協賛。11月9日に除幕式が行われた。
CTC事業部に環境科学室を開設
暮らしや職場内に広がった清潔志向の風潮は移動棚で保存する収納品にも及び、微生物による劣化や変質、湿害、細菌汚染などにも対抗できるような保存環境のサニタリー(衛生)志向が求められてきた。
そこで収納物を微生物や湿気、細菌などから守る保存環境を備えた移動棚その他の製品づくりに向けてこうした製品の開発、研究、マーケティングを調査する目的でこの年11月、CTC事業部に環境科学室が設置された。
原本 P.124〜127
1997年KONGO 50年/平成 9 年創業50周年。地域活性化貢献企業賞、2年連続Gマーク金賞
「50周年記念の式典は単なる節目の祝典ではなく、今後さらに50年、100年と発展し続ける未来への一里塚である」——半世紀の風雪を越えて。
◆ 金剛の歩み
- 2月17日創業50周年記念式典を開催
- 3月21日県内では初めて、国土庁の「地域活性化貢献企業賞」を受賞
- 4月17日宮﨑邦雄社長が「科学技術庁長官賞」を受賞
- 6月3日建設省より免震床構法技術評価
- 6月20日〜25日創業50周年記念事業でオーストラリア研修ツアー
- 9月2日デンマーク図書館家具メーカーBCI社と共同事業契約を結ぶ
- 10月1日児童用学習遊具「パズル」が通産省のグッド・デザイン賞金賞。業界初の2年連続金賞
◆ 日本・世界の動き
- 3月荒尾・大牟田両市の三井石炭鉱業三池鉱業所が閉山。124年の歴史に幕
- 4月消費税が3%から5%へ
- 4月ペルー日本大使公邸に特殊部隊突入、人質が127日ぶりに解放される
- 7月香港が156年ぶりに中国に返還
創業50周年記念式典を挙行

平成9年、創業50周年の輝かしい年を迎えた金剛は、創業記念日前日の2月17日に、幹部・社員が出席して熊本本社で記念式典を開いた。
開式の辞のあと、まず昭和22年2月18日の創業以来50年の歴史の中で、在職中に不幸にも病に倒れた諸先輩社員の冥福を祈って、全員起立して黙祷を捧げた。続いて宮﨑邦雄社長が挨拶に立ち「わが社は50年前、谷脇源資会長によりこの熊本において創業。以来あまたの方々の情熱と知恵と汗によって苦難の歳月を越えてきた。50周年記念の式典は単なる節目の祝典ではなく、今後さらに50年、100年と発展し続ける未来への一里塚である」と振り返るとともに未来へ向けて次のように決意を語った。
明治維新で近代化のスタートを切った日本は50年前の敗戦により、かつてない大変革を経験した。そして戦後さらに50年、日本は第3の大転換点に差しかかっている。今や技術革新の勢いは、想像を絶する速さと拡がりをもって、ハードの分野だけでなくソフトの領域にも押し寄せている。マルチ化やデジタル化にそれが象徴されている。いずれにしても、この技術革新の新しい波に乗って時代を切り開かなければ、埋没してしまうほかない。大転換点への激流の真っただなかにあるいま、新技術と創造的発想へのチャレンジを忘れることなく、次の時代を切り開いていきたい── 宮﨑邦雄社長 創業50周年記念式典
続いてあいさつに立った創業者の谷脇源資会長は「ありがとうの気持ちでいっぱいである。創業50周年を一つの転換点としてさらに前進を続け、知恵と力で大きく羽ばたいてもらいたい」と、社会と社員への感謝の言葉を述べた。
また、金剛が日本における総代理店を務めているデンマークのBCI社から、はるばる式典に駆けつけたポール・イェンセン取締役は「金剛株式会社はこれまでの半世紀に、移動棚をはじめ諸々の製品で大成功を収められた。次の半世紀も明るい将来であることを確信している」と祝辞を述べた。BCI社は、金剛と共同でグッド・デザイン金賞を受賞した図書館用閲覧机を開発したことで知られている。
万歳三唱の音頭をとった谷脇ユミ子相談役も創業の時代の苦労をしのびながら「これからは、社員一人ひとりの質が問われる。宮﨑社長を軸に清新で強固な基礎を積み重ねていくことを祈念しています」と述べた。
式典では永年勤続者の表彰も行われ、式後には工場裏の敷地の“水神さん”の前で記念植樹があり、玄関受け付け横で谷脇会長の胸像(鷹尾俊一氏作)の除幕式もあった。
地域活性化貢献企業賞を受賞
金剛は、国土庁と日本経済新聞社が共催で選定している'97年度の地域活性化貢献企業賞に選ばれ、3月21日東京都千代田区麹町の東条会館で表彰を受けた。
産業活動などを通じて、地域振興や各種中枢機能の地方分散などに貢献した企業に贈られるもので、熊本県下で初の受賞となった。
宮﨑社長に科学技術庁長官賞

金剛が長年にわたって研究開発を行ってきた地震波遮断(免震)システムは、そのシステム技術の育成と普及によって、わが国の科学技術の広い分野にわたって、多大の貢献をしていると高く評価され、宮﨑邦雄社長が科学技術振興功績者として、科学技術庁より科学技術庁長官賞を受賞した。表彰式は4月17日東京虎の門のパストラルで行われた。
金剛の免震システムは、2年前の阪神大震災の際に、美術品やコンピューターのデータなど貴重品の安全保護・保管に画期的な性能を発揮し、わが社の免震システムを取り入れた移動棚の優秀性を改めて実証した。宮﨑社長は「今回の栄誉に浴したのを機に、さらに一段と技術力の向上に力を入れたい」と語っている。
免震床工法に技術評価書
金剛が開発した「免震床構法」に対して建設省は、平成9年度の建設技術評価書を交付した。
これは同省が行政ニーズに基づく開発課題を民間企業に投げかけ、取り組んだ実績を評価する制度。免震床工法では同時に大手ゼネコンなど30社がその技術を認められたが、家具・物流システム業界では、金剛のみが評価された。
金剛の技術は床面(フロア)に免震機能を持たせたのが特徴で、新築だけでなく既存の建物でも容易に免震効果が得られ、フロアの特定部分への施工も可能。この免震システムは、阪神大震災でも阪神地区32カ所の納入先でいずれも、美術品・コンピューターデータなどの保管物の安全、保護に画期的性能を発揮し、技術の優秀性を実証していた。
BCI社と共同事業契約提携

図書館設備メーカーでもある金剛は、図書館家具備品メーカーとして著名なデンマークのBCI社(アズボーン・トムセン社長)と共同事業に関して合意、9月2日、デンマークのコペンハーゲンで開かれていた「IFLA'97(世界図書館大会)」(8月31日〜9月5日)の会場で契約に調印した。
契約の内容は①共同で世界マーケティング戦略の実施②共同での図書館設備、家具備品の開発③将来において図書館設備および家具備品の相互生産支援。この契約で金剛はBCI社の図書館家具備品の国内総代理店となり、BCI社は金剛の図書館設備の販売ができることになった。
両社はこれに先行してマレーシアなど第3国での共同マーケティングを既に進めているほか、共同で開発した図書館用閲覧机が96年度のGマーク金賞を獲得するなど、大きな“共同”の成果を挙げている。
宮﨑邦雄社長はBCI社との共同事業契約について次のように語っている。
木製品を中心にレイアウト、デザインなどソフトウェアを得意とする欧州のトップクラスの図書館家具メーカーのBCI社と、免震技術や収納技術などシステム技術を得意とする金剛との共同事業展開により、最新の図書館づくりができるようになった。また共同販売戦線の構築で両社のシェアアップをめざす新しい道が開けよう。わが国の製造業は低コストを求めた海外移転などで、空洞化現象が見られるが、海外移転よりむしろ海外メーカーと共同してマーケティングを展開することが重要ではないか。販売先行型の今回のような展開は中堅企業の新しい事業展開のモデルになるのではないか── 宮﨑邦雄社長
業界初の2年連続Gマーク金賞

金剛は、平成9年度通産省選定のグッド・デザイン賞の審査で、前年度の図書館用閲覧机に引きつづき、児童用学習遊具「パズル」がグッド・デザイン金賞を受賞した。2年連続の金賞受賞は業界初の快挙。
受賞した「パズル」は、子供たちに幼いうちから遊びながら考える力を養ってもらおうというコンセプトで開発された、文字通り「パズル」のような児童用組み合わせ家具。①子供たちに親しみやすい円形をベースに、「動く」ことをデザインの中心に置いて日本の分銅型をモチーフにしたシンプルで耐久性のある構造②机やイスを大きな積木のように重ねたり組み合わせたり並べたりしながら、子供たち自身の手で自由な造形ができる形状③人間に優しい北欧家具の中心素材であるブナを使い、特に木目を生かして自然な雰囲気を出すと同時に豊富なカラーバリエーションにも対応する、などの考えでデザインされている。
この製品はデンマークBCI社と共同で開発したもので、同社とは9月に共同事業契約に調印したばかり。それだけに受賞は両社の共同マーケティング戦略に大きな朗報となった。
宮﨑邦雄社長は「机やイスを一つの目的だけに使うのではなく、児童の遊びの対象になるようにした柔軟な発想が高い評価につながったのではないか。幼児期から図書館や本に親しむことの教育効果は大きい。そこにこの分野への参入の意義もある。また今回の受賞作品は図書館のみならず、保育園・幼稚園など子供の市場へ広がっていく可能性を開いた。これでBCI社との共同開発商品が2年連続して大きな賞をいただいたことになり、今後のBCI社との連携活動に大きな弾みとなる」と語っている。
秋の豪州へ研修ツアー

創業50周年謝恩キャンペーンで金剛製品の販売に功績のあった全国コンゴースーパー会会員店を対象に、総勢100人の「オーストラリア研修ツアー」が、6月20日から25日まで6日間にわたって行われた。今回は、特に半世紀のお礼をこめて各会員店のトップ夫妻に参加してもらってのツアーとなった。
出発時に、台風来襲のハプニングがあったが、1人も欠けることなく出発。メルボルン、シドニーにそれぞれ2泊のゆったりした日程で、参加者は“秋のオーストラリア”を心ゆくまで堪能した。さよならパーティーのカーゾンホールは、1890年代に建てられた格式ある旧家の建物で、弦楽四重奏の演奏や中世騎士の出演、楽しい抽選会など思い出深いイベントとして、大変好評であった。
原本 P.128〜131