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前回に続き、書架の地震対策をテーマに、
人の命と図書資料を守るためのノウハウを全3回のシリーズでお届けしています。
第2弾となる今回は、「– 対策.02 – 傾斜スライド棚で図書資料の落下を軽減する」です。
40年以上にわたり地震研究に取り組んできた、
保存と展示の専門店『筧-KAKEHI-』の運営元「金剛」。
そんな私たちが自信を持っておすすめする、イチオシの地震対策をご紹介します。
想定される地震被害
大規模な地震が発生した場合、
書架の転倒や図書の落下による人的被害、大切な資料の破損、
そして散乱した図書の復旧作業など、多岐にわたる被害が想定されます。
被害を最小限に抑えるためには、以下のステップを見据えた対策が不可欠です。
- 人の安全確保(転倒・落下による怪我を防ぐ)
- 避難通路の確保(散乱した図書で道を塞がない)
- 復旧作業の軽減(資料を整理し直す労力を減らす)

前回は、地震対策の土台となる「書架自体の固定」についてご紹介しました。
そこで今回は、図書の落下を食い止めるための画期的な対策製品「傾斜スライド棚」に焦点を当てます。
▼前回の記事、「- 対策.01 – 書架の転倒を防止する」はこちら
傾斜スライド棚とは?
傾斜スライド棚は、一定以上の震度の揺れで棚板がスライドして傾斜角度が大きくなり、
図書の重心が棚奥へと移動することで収納物の落下を軽減させる地震対策用の棚板です。
作動後の復旧も非常にスムーズです。
傾いた棚板の両端を手で押すだけで簡単に元に戻せるため、迅速な現状復帰が可能です。


▼仕組みや復旧方法を動画でチェック
斜スライド棚の仕組みや復旧方法、そして激しい揺れでの加振実験の様子を分かりやすく動画にしました。
ぜひ再生してその効果をお確かめください。
傾斜スライド棚の効果
以下の写真は、「耐震書架(下地がコンクリート+アンカー施工した書架)」の、
「傾斜スライド棚を搭載したタイプ」と、「搭載していないタイプ」の加振実験時の比較写真です。
傾斜スライド棚を搭載していない通常棚(右側)は多くの図書資料が落下しているのに比べ、
傾斜スライド棚を搭載した耐震書架(左側)は、図書資料がほとんど落下していないことがわかります。

実際に傾斜スライド棚を導入いただいた図書館では、地震時に傾斜スライド棚が作動し、図書の落下を最小限に抑えることができました。

傾斜スライド棚は、2018年度 九州地方発明表彰「中小企業庁長官賞」を受賞しました。
実際に効果を体感されたお客様からも高く評価いただいている製品です。
※ご注意 ・傾斜スライド棚の想定震度は震度5までとなります。
全ての図書資料の落下防止を完全に保証するものではありません。
地震の規模や建物の揺れ方(地盤・構造)によっては、効果が異なる場合があります。
傾斜スライド棚の取り付けについて
地震時、書架上段の図書資料の落下が多く確認されており、
その対策として書架高さ1500mm以上にある棚段を目安に傾斜スライド棚の取り付けをおすすめしています。
棚板1セットからご注文が可能なため手ごろな地震対策として人気な製品です。
設置条件が合致すれば他社製品を含む既存書架へのお取り付けも可能です。

木製傾斜スライド棚
木製の傾斜スライド棚もございます。
※木製の場合は既存棚への取り付けはできません。

納入事例
多くの図書館様にご採用いただいていますので、その一部をご紹介いたします。
▼玉名女子高等学校 図書室 さま
▼臼杵市立臼杵図書館 さま
▼東広島市立安芸津図書館 さま
今回は、「傾斜スライド棚」による図書資料の落下対策についてご紹介しました。
傾斜スライド棚を取り付けることで、図書資料の落下によるケガや、
避難経路の封鎖、図書の破損といった被害を軽減することができます。
次回は「– 対策.03- 免震書架で揺れを吸収し、被害を最小限にとどめる」を公開予定ですので、どうぞ楽しみにお待ちください。
書架の地震対策についてお問い合わせ・ご相談をご希望の方は、下記お問い合わせフォームよりご相談ください。







