COMPANY

自治体様の防災備蓄倉庫整備に携わる中で実感するのは、「同じ備蓄倉庫は一つとしてない」ということです。備蓄物の種類、運用ルール、想定人数——自治体の規模や被災経験、周辺自治体との連携体制によって、必要な設備は一つひとつ異なります。
この記事では、そうした多様なご要望に対して、私たちがこれまでご提案してきた棚選びの考え方と、実際の組み合わせ事例をご紹介します。
※本記事の内容は【2026年7月】時点の情報です。備蓄基準・関連制度は改定されることがあるため、最新情報は必ず各省庁・自治体の公式発表でご確認ください。
👉こんな人におすすめ
- 防災・危機管理を担当されていて棚選びを迷っている方
- 同様の備蓄・保管ニーズを持つ企業・団体のご担当者
- 規模や運用に応じた棚の使い分け方を知りたい方
目次
なぜ今、備蓄倉庫整備が求められているのか
大規模災害の発生時、被災地域外からの支援が届くまでには一定の時間がかかることが想定されています。そのため、各自治体では地域防災計画や被害想定に基づき、備蓄・供給体制の整備が進められています。
また、内閣府では各家庭での備蓄を推奨しており、企業においてもBCP(事業継続計画)の観点から、従業員向けの備蓄を進める動きが広がっています。
住民や従業員の安全に直結する取り組みであると同時に、「なぜこの量を、どのような考え方で備蓄しているのか」を説明できる状態にしておくことも欠かせません。備蓄倉庫の整備は、防災対策の実効性を高めるとともに、計画的な備蓄・管理体制を支える重要な基盤といえるでしょう。
備蓄量の目安と、行政施設ならではの考え方

目安は最低「3日分」、できれば「1週間分」も
災害時に備え、内閣府では、各家庭において最低3日分、できれば7日分程度の食料や飲料水、生活必需品を備蓄することを推奨しています。飲料水は1人1日当たり3リットルを目安とし、これに加えて、加熱せずに食べられる食品や携帯トイレ、常備薬、衛生用品なども準備しておくことが望ましいとされています。
また、自治体においては、地域防災計画や被害想定、指定避難所の収容人数等を踏まえ、必要な物資を計画的に備蓄するとともに、民間事業者との物資供給協定や広域的な物流体制を活用し、災害時に迅速な物資供給が行える体制を整備することが求められています。
近年では、南海トラフ地震や首都直下地震などの大規模災害を想定し、発災後1週間程度は物流機能の停滞や支援物資の到着に時間を要する可能性を踏まえ、家庭備蓄に加え、自治体備蓄や民間事業者との協定、広域的な支援を組み合わせて避難生活を支える体制の整備が進められています。
参考:
想定人数の考え方は「施設単位」で
行政施設では、庁舎職員のほか、指定避難所の想定収容人数や地域防災計画に基づく避難者数を考慮して、備蓄量や保管スペースを計画する必要があります。
また、防災基本計画では、自治体は備蓄だけでなく、民間事業者との物資供給協定や広域物流体制も活用し、災害時に必要な物資を安定的に供給できる体制を整備することが求められています。
【試算例】100人が3日間避難生活を送る場合(発災直後の初動対応を想定)
| 品目 | 算出根拠 | 必要数量 | ケース数(例) | 段ボールサイズ(目安) |
| 飲料水(500mL×24本入り) | 1人1日3L | 900L(1,800本) | 約75ケース | 約420×270×210mm |
| レトルト食品(200g・50食入り) | 1人1日3食 | 900食 | 約18ケース | 約343×333×180mm |
| 難燃性備蓄用毛布(10枚入り) | 1人1枚 | 100枚 | 約10ケース | 約750×300×560mm |
| 合計 | 約103ケース |
100人が3日間避難生活を送ることを想定した場合、飲料水、食料、毛布などを合わせて約103ケースの備蓄が必要となります。
これは、一般的な中量棚(W1,800×D450×H1,800mm)で約6台分の収納量に相当します。実際の備蓄では、このほかにも簡易トイレ、衛生用品、発電機、照明器具などの資機材を保管する必要があるため、倉庫の保管スペースには十分な余裕を見込んだ計画が重要です。
※ラックの収納量は棚板数、耐荷重、収納方法および製品寸法によって変動します。
※本試算は、内閣府が推奨する「1人1日当たり飲料水3L」「最低3日分、できれば7日分の備蓄」を基に、一般的な500mL×24本入りの飲料水、200g・50食入りのレトルト食品、10枚入りの備蓄用毛布を用いて算出した一例です。実際の必要数量は、地域防災計画、想定避難者数、備蓄方針および採用製品の仕様に応じて異なります。

備蓄倉庫での棚選びの基準
備蓄倉庫に必要な規模や運用ルールは、自治体の人口、過去の被災経験、今後想定されるリスク、周辺自治体との連携体制によって大きく異なります。
だからこそ私たちは、中量棚・移動棚・パレットラック・積層棚、そして運搬用具までを組み合わせ、それぞれの現場に合ったソリューションをご提案してきました。
ここでは、実際の提案の中で見えてきた、棚選びの判断基準をご紹介します。
予算・仕様の柔軟性を重視するなら「中量棚」

金剛のご相談・納入実績の中でも、特に多いのが中量棚です。
理由は、段数やレイアウトを柔軟に変更でき、小規模な備蓄からスタートして、被害想定の見直しや人口動態の変化にあわせて段階的に拡張していける点にあります。
単年度予算での整備が前提になりやすい行政の進め方や、移動棚や積層棚の設置が難しい床の荷重条件でも導入しやすいことも、幅広い規模の自治体で選ばれている理由です。
💡ポイント
・備蓄物のサイズに合わせて段数やレイアウト変更も容易
・移動棚・積層棚と比較して低コスト
・落下防止バーなどのオプションも豊富
▼製品ページはこちら
省スペースかつ操作性を重視するなら「移動棚」

自立式の棚と比べて約半分のスペースで同じ容量を収納できるのが移動棚の特長です。
電気を使わない丸ハンドル式であれば、停電時でも、担当外の方でも直感的に操作できます。
水に濡れても使用できるため、浸水を伴う災害でも安心材料になります。
ランニングコストがほぼかからない点も、長期運用を前提とする施設との相性が良い理由です。
💡ポイント
・スペースの有効活用
・停電時にも対応
・ハンドルを回すだけで力の弱い方でも簡単に操作可能
▼製品ページはこちら
パレット単位での搬入・搬出を想定するなら「パレットラック」

重量のある備蓄品をまとめて管理したい場合は、パレットラックが適しています。
フォークリフトでの搬入・搬出がしやすく、1段あたり最大1000kgまで対応可能です(仕様により1500〜3000kg対応も)。
備蓄倉庫を物流拠点や集積所と兼用する自治体施設では、特に検討されるケースが多い棚です。
💡ポイント
・移動棚や中量棚に積載できない重量物にも対応
・パレットごと収納できるため、搬入・搬出が容易
・フォークリフト作業員不在の想定で、免許不要なパワーリフターやウォキーも想定すると◎
▼製品ページはこちら
天井の高い倉庫を活かすなら「積層棚」

体育館や既存倉庫を備蓄拠点として転用する場合など、天井高のある施設では積層棚が有効です。
限られた床面積でも収納量を大きく増やせます。
ただし建築基準法・消防法等の規制対象となる場合があるため、導入前に必ず設置自治体内の建築担当部局へご確認ください。

シューター・ベルトコンベアや小荷物専用昇降機などの設置も可能です。
💡ポイント
・天井の高い倉庫等におすすめ
・建築床面から天井までの空間を有効活用できる
▼製品ページはこちら
棚だけでなく「運搬用具」も仕様に組み込む

自治体の備蓄倉庫では、実際に災害が起きた際、防災担当者以外の職員や、応援に駆けつけた住民・ボランティアが搬出作業にあたることも想定されます。
そのため、棚だけでなく「運搬用具」もセットで考えておくのがスマートです。
カゴ車は運搬・保管の両方に使え、L字に折り畳めるため保管時も場所を取りません。
台車やメッシュパレットも積み重ね・折り畳みが可能で、平時のスペース確保にも役立ちます。
また、オストラックは収納物を保管するだけでなく、運搬棚としてそのまま使用できます。
「誰が扱っても安全か」という視点を、備蓄品と運搬手段の両方に持たせておくことが重要です。
▼製品ページはこちら
棚×運搬用具のおすすめの組み合わせ
①中量棚×台車

小規模な備蓄からスタートする場合は、中量棚と台車の組み合わせをご提案することが多くあります。
中量棚は必要な分だけ段数・レイアウトを組めるため、備蓄量の見直しに合わせて後から拡張しやすいのが特長です。台車をセットにしておけば、限られた人員でも搬出作業がスムーズに行えます。まずは庁舎の一室や既存倉庫の一角からでも始めやすい組み合わせです。
▼納入事例ページはこちら
①ハンドル式移動棚×パワーリフター(またはフォークリフト)

備蓄量が増え、保管スペースの効率化が課題になってきた段階では、電気を使わないハンドル式移動棚とパワーリフターの組み合わせをご提案することが多くあります。
停電時でも稼働でき、水濡れにも強く、ランニングコストはほぼゼロ。
整理整頓しながら大量収納できるため、備蓄品の管理・点検作業もしやすくなります。
電動式移動棚を選ぶ場合は、定期メンテナンス体制の確保が前提になる点はあらかじめご留意ください。
▼納入事例ページはこちら
②パレットラック×電動フォークリフト

大規模な地域防災拠点として整備する場合は、パレットラック+電動フォークリフトの組み合わせが効率的です。
棚板はパレット対応のデッキチャンネル仕様のほか、グレーチングや穴あき鋼板タイプもご用意できるため、既存設備や運用方法にあわせた仕様書への落とし込みが可能です。
▼納入事例ページはこちら
備えを万全にする、充実のオプション

金剛のラックは、単なる物置きではありません。
私たちが大切にしているのは、災害現場でも職員やボランティアの皆様が「平時と変わらない安心感」で使えること。
頑丈さはもちろん、有事の混乱を防ぐ細やかな工夫をオプションに込めています。
優れた免震性と耐震性
・移動棚の地震対策
金剛の免震装置は、棚を建物から切り離して水平にスライドさせ、揺れを「いなす」仕組みです。衝撃を吸収して備蓄品の飛び出しを抑え、行政の確実な業務継続(BCP)を足元から支えます。
さらに、棚本体の変形やレールの脱線も軽減するため、地震が収まった後すぐに搬出・配給業務を再開できます。一刻を争う災害初期の現場でこそ、その効果を発揮します。
▼金剛の免震移動棚についてはこちら
・中軽量棚・中量棚の地震対策
中軽量棚・中量棚は、設置場所に合わせて壁固定・床固定を行います。中置きの場合は、天ツナギ(オプション)で確実に固定します。
豊富なオプション
行政施設で特に重視される「安全性」を高めるオプションを豊富に揃えています。
・揺れによる物資の飛び出しを防ぐ「落下防止バー」や「落下防止ベルト」
・サイズがバラバラな箱を綺麗に自立させる「仕切り板」
「災害時に備えて、棚にこういった機能が欲しいんだけれど…」といったご相談もお受けしておりますので、まずはご相談ください。
▼地震対策についてはこちら

まとめ
自治体の備蓄倉庫整備は、「災害時に確実に機能すること」と「必要な整備として市民へ説明できること」の両方が求められる取り組みです。
移動棚・パレットラック・中量棚・積層棚など、施設の広さ・荷重条件・予算・仕様書上の説明のしやすさに応じて、最適な棚は変わってきます。
ここでご紹介した内容は、多様な備蓄・保管ニーズをお持ちの企業・団体様にも参考にしていただけるかと思います。
詳細な仕様や導入シミュレーションなど、企業や自治体ならではのご相談も承っております。まずはお気軽にお問い合わせください。
※本記事に記載の数値や制度内容は、2026年7月時点の情報に基づいています。最新の基準・制度については、各公式サイトでの確認をおすすめします。












