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本記事は、金剛株式会社が1999年02月26日に発行した機関誌「PASSION Vol.24」の内容を、当時の記録として公開するものです。
・ 記事内の情報は発行当時のものであり、現在の状況とは異なる場合があります。また、当時の社会情勢や倫理観を反映した表現が含まれている可能性があり、現代の基準に照らし合わせると一部不適切と感じられる箇所もあるかもしれませんが、資料的価値を考慮し、原文のまま掲載しています。
・ 掲載されている商品やサービスは、既に販売・提供を終了している場合があります。現行の製品については、改めて最新のカタログ等をご参照いただくか、弊社までお問い合わせください。
※ 本記事は、著作権法上の引用の範囲内で掲載しています。当時の記録として、皆様に楽しんでいただけましたら幸いです。

はじめに
スペースムーバーは、平成10年度Gデザイン教育部 門金賞を受賞した製品で、今までにないコンセプトを持った収納システムとして高い評価を受けた。
今回は、その製品概要・企画背景・製品コンセプト・ デザインのポイント等を中心に紹介してみたい。

製品概要
これまで「物を収める行為」収納は、合理性のみが求められて発展してきた。しかし現在、新しい時代 にふさわしい新たな基準の確立が必要となっている。
そこで、伝統と先見性が共存する北欧の文化資質と、デザインの確かさに注目。この製品は、我が国の収納技術をリードする当社の実用性、合理性に基づく収納対策、 環境に対する地震・健康・保存対策の数々と、北欧、デンマークロイヤルアカデミー:バーント・ピーターセン教授の提唱する「ユーザーフレンドリー」 (利用者本位)なデザインがひと
つに融合した製品で、空間と調和する美しさをテーマとする、これまでにない全く新しい収納システムである。21世紀における新しい空間環境への提案、スペースムーバーは、グローバルな提携に基づく理念と完成度は、日本のみならず、世界各地のあらゆる場所での空間環境の構築に貢献出来るものと考えている。人間の「収納」に対する考え方に大きな変革をもたらす新しい基準の提案として位置付ける。
企画背景
限られたスペースを最大限活用するための創意工夫こそ、長い間の歴史の中で私達が掲げてきた命題であり、取り組まなければならない課題である。特に我が国の場合、増大するメディアに対応する実用性と合理性、最新の地震対策、高温多湿な気候への対策、作業をする人々の健康への配慮など、時代のニーズに応える製品が求められてきた。そこから生まれたものが、5年に渡るデンマークの世界的図書館家具メーカーとの共同研究開発の末に生まれた。「LIVING LIBRARY」(生きた図書館)の思想である。
生きた図書館とは、常に利用者にとって最善であることを追求し、どんな環境にも適応する柔軟性があり、将来の環境の変化・収納物の変化にも充分対応することを可能とした、21世紀を見据えた空間のあるべき姿と考えた。中心となるシステムが大きな鍵を握る、収納における空間環境の改善。人がモノを収めるという行為に工業デザインの力がどれだけ効果を創り出すかを考え、洗練された機能美と伝統ある北欧家具の確かさ・温かさのデンマークデザインをシルエットに包み込み、そこに当社の収納技術の枠を融合させた、新しい時代のための製品として企画した。
▼デザインのポイント ▼
スペースムーバーが追求したものは、空間と調和する美しさ。人の動きひとつひとつと見事に調和し、 空間に共存するその他のものとの優れたバランス性を保つデザイン。ホワイトを基調に彩色された直方 体ボディは、タテとヨコのラインで構成されたモジュールバランスを持ち、そこから生まれるプレーンでシンプルなシルエットが特徴的である。その中にあって、カラーリングされたスポークレス丸ハンドル、センターロックボタンがアクセントとなり、 洗練さ
れた機能美と優しさを表現している。また、棚板には最良の視覚効果を考慮したカラーリ ングを採用。本体に内蔵されるビルトインシステム照明による隅々まで明るい照明効果を生かし、見せる部分の基調色をホワイト、隠す部分の基調色をダークグレーにすることで、鮮やかな光と影のコントラスト がさらなる調和を生み出している。

3年連続金賞は業界初

教育用品部門(選定率23.5% 1998年データ)の中で特に優れているもの1点に与えられる金賞を受賞した。過去に96~97年図書館用閲覧机「キャレルデスク」、97~98年、児童用組合せ家具「パズル」と、今回の98~ 99年図書館用収納システム「スペースムーバー」で連続3回の金賞受賞となった。3回連続の金賞受賞はTOTOと並んで日本初である。
●グッドデザイン賞の概要
グッドデザイン賞(Gマーク)制度は、昭和32年、通商産業省によって創設された、我が国唯一の公的な 工業商品総合評価デザイン表彰制度である。Gマークの特徴は、商品や施設の「デザインのよさ」を審査するという点にある。ここでいう「よいデザイン」とは、商品の外観はもちろん、機能、品質、安全性、コンセプトなど、あらゆる要素を含んだ商品全体の質の高さである。実際、Gマークの審査では、このような総合的視点から見て、商品として優れ、社会的価値があり、私達の生活をより豊かにするようにつくられているかを判断し、選定する制度である。

製品コンセプト
空間と調和した収納を実現させる様々なアイデアが 織り込まれたスペースムーパーのコンセプトは、「新しい環境空間の創造」である。
オールインワン構造・モジュール構造
全ての人々に開かれた場所で使われる存在だからこそ、限られたスペースを最大限活用するムダのない直方体ボディは、縦・横・高さに自由なレイアウト性に優れ、
利用するあらゆる人々に対応する。
使う人に優しい機能
①スポークレス丸ハンドルの採用:
メイン通路に突起しない当社独自のスポークレス円形ハンドルでフローコンセプトから考案されたもの。子供からお年寄り・ハンディキャップをお持ちの方にも自分の使い易い位置から操作することができる。
②センターロック方式:スポークレス丸ハンドルの中心部に大きなボタンとして採用。デザイン的にアクセントとなり、握りやすく使いやすい形にしている。

③本体ビルトインシステム照明:従来、収納システムの照明は真上からの照光であったため、作業者の影が棚内収納部に落ち、蔵書等の背表紙が見難い状態になっていた。これに対し、本体ビルトインシステム照明は通路の両方向から斜めに照光するため、作業者の影を打ち消し合い、最下段の棚にまで確実に照らされ、これまでの問題点を一挙に解決した。

免震構造
震度5以上の揺れを感じると、車輪のロックが自動的に解除され、免震性能を発揮。地震から人を守り、収納物の落下や収納システムの倒壊を防ぐ。免震構造は、当社が25年前から取り組み、先の阪神大震災で阪神地区に納入した当社免震製品は、我が国で初めてその効果を実証された構造で、お客様から高い信頼と評価をいただいている。
健康環境・保存環境対策
静菌・除菌・抗菌の3機能をフルに発揮して棚内部納物の劣化を防ぐと同時に、作業者や利用者の健康維持にも貢献。この技術は、当社が独自に行っているユ ーザー環境調査の結果を基に開発したもので、お客様の声から生まれたものである。なお、書籍だけでなく、博物やマイクロフィルム・CD-ROM・MO等の保管/ 保存を可能としている。
エコロジーマインド推進
100%リサイクル可能を目指して環境にも優しい安全素材を使用。
最後に
今回の開発はデザインをしかも北欧デザインと当社の収納技術を融合させるというテーマで開発が進んだが、その過程の中でデザインを担当されたパーント教授の
「デザインはチームワーク」という言葉が一番心に残ったし励ましになった 。
今後とも、コンセプトを大事にし、収納環境、空間環境への製品開発を進めていきたい 。
(1999年2月26日刊行)
