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はじめに:限られたスペースを最大限に活かす新しい選択肢
目まぐるしく変わるビジネス環境により、スピーディーな適応が求められる昨今、
オフィスや現場には、高い機動性と柔軟性が不可欠な時代に突入しつつあります。
こうした時代のニーズと、お客様からのご要望・期待に応えるために開発されたのが、「手引式レールレス移動棚」です。
床面を完全にフラットに保つことで、台車での移動をスムーズにし、つまずきのない安全な職場環境を実現します。
さらに、溝がないため日常のお手入れも簡単で、将来のレイアウト変更にも柔軟に対応可能です。
本記事では開発担当者より、床を傷つけず、誰でも安全・快適に使える環境を追求したこだわりの機能と、レールレスを実現した独自の工夫についてお話しします。

開発の原点:なぜ「レールレス」に挑戦したのか
試行錯誤の連続!開発現場の苦労と改善点
検証を進めていく中で、最も苦労したのが移動棚を可動させる際に利用者に負担が最もかかる「始動力(動き出しの軽さ)」を計測することでした。これは床の仕様とキャスターの材質の組み合わせ次第で軽くもなり、重くもなるため時間と労力を非常に要しました。
<検証の様子>
床の条件を①コンクリート等の硬い床 ②長尺シートやフロアマット等の柔らかいまたは凹凸や傾斜等の不安定な床 の2パターンを想定していました。
様々な素材の中、キャスターは耐久性や走行性が良い硬度の高いナイロン素材、衛生環境下で多く使われる耐久性等に優れたウレタン素材の2種類にて検証を行いました。
<始動力テストの結果>
- 理想的な組み合わせ
コンクリート等の硬い床において「ナイロンキャスター」を使用した場合、積載荷重1000kgの状態でも始動力は10kg以下と非常に軽く、驚くほどスムーズに動きます。
- 「誰でも動かせる」基準の検証
社内の女性社員による操作検証も実施しました。一般的な成人1人が無理なく動かせる基準を「始動力15kgまで」に設定。
ナイロンキャスター: 600kg積載まで 運用可能。
ウレタンキャスター: 動きが重くなりやすいため、実用的な積載荷重は200kgまでが目安となります
- キャスター沈みこみ防止プレートによる床への負担軽減及び軽操作性の確保
長尺シートやフロアマットなどの柔らかい床材では、棚の重みでキャスターが床を押し潰し、凹みや潰れが発生してしまい、床が劣化するとともに始動力も重くなってしまうという課題を解決するため、ステンレス製キャスター沈みこみ防止プレートを走行面に採用しました。
始動力以外にも様々な課題が検証の過程で見つかり、お客様が使いやすいことを目的に開発を実施しました。

<その他の開発ポイント>
- ガイドレールのたわみ対策と始動力への影響
全長約6mの長尺ガイドレールの場合、中央部で最大10mm程度のたわみが発生しました。検証の結果、このわずかなたわみが原因で、可動棚が中央を通過する際にガイドローラーと接触し、始動力が増加することが判明。これに対し、施工時に取合いを調整することで接触を回避し、可動棚を軽快に動かせます。
- 安全性の向上と省スペース化
走行時や地震発生時の安全性を担保するため、「転倒防止金具」を設けました。これにより、可動する棚が転倒する危険性を軽減しています。
- ガイドレールの配置
移動棚の走行を制動させる上部ガイドレールを棚の上部かつ内側へ配置することで、側面からの突き出しを抑えたスリムな形状にしました。効率良くレイアウトを決めやすく、使用時の見た目も邪魔になりません。

他社製品・従来品との違いと「おすすめポイント」
<コストパフォーマンス> ※弊社調べ
一般的なレールレス移動棚(手引式)の積載荷重は、1台あたり約300~450kgが限界です。しかし『金剛 レールレス移動棚 RLS』は、同等の価格帯・設置の手軽さを維持しながら、約1.5~2倍の「600kg」という中量クラスの積載を実現。
「安価な手引式を選びたいが、強度が不安」「もっと効率よく詰め込みたい」という現場のニーズに、軽量クラスの価格帯でありながら、中量クラスの積載性能で応えます。

<導入のしやすさと柔軟性>
基本はアンカー固定を推奨していますが、賃貸物件などで床を傷つけたくない場合、固定棚に200kg以上の積載があればアンカーレスでの運用も検討可能です。
《豊富なオプション》

利用する際に手に取りやすい位置である床面から1m程度の最適な高さに設置。支柱を掴まずに楽な姿勢で操作可能です。

床の傾斜による「自走」を防ぎ、安全性をさらに高めます。

収納物の飛び出しを物理的にガードします。
おわりに:これからの収納管理を助けるアイテムとして
「手引式レールレス移動棚」の開発には、単に製品を形にするだけでなく、お客様が現場で直面する「使いやすさ」「清潔さ」「手軽さ」を叶えたいという想いを込めています。
床工事を最小限に抑えつつ、移動棚のメリットである「高密度収納」を実現するこの製品は、今後のスペース活用における1つの解決策としていかがでしょうか。


執筆 金剛株式会社
製造本部開発グループ開発チーム チームリーダー 山下 史剛
製造本部設計グループ製品設計チーム 手嶋 亮太
製造本部開発グループ開発チーム 松尾 拓海
※所属・役職は当時のものです。
(執筆日:2026年5月11日)

