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特集 少子化時代・情報時代の大学図書館

亜細亜大学図書館/市立高崎経済大学附属図書館/学習院大学法学部・経済学部図書センター

注意発行当時の記述について

本記事は、金剛株式会社が1994年11月30日に発行した機関誌「PASSION Vol.15」の内容を、当時の記録として公開するものです。

記事内の情報は発行当時のものであり、現在の状況とは異なる場合があります。また、当時の社会情勢や倫理観を反映した表現が含まれている可能性があり、現代の基準に照らし合わせると一部不適切と感じられる箇所もあるかもしれませんが、資料的価値を考慮し、原文のまま掲載しています。

掲載されている商品やサービスは、既に販売・提供を終了している場合があります。現行の製品については、改めて最新のカタログ等をご参照いただくか、弊社までお問い合わせください。


※ 本記事は、著作権法上の引用の範囲内で掲載しています。当時の記録として、皆様に楽しんでいただけましたら幸いです。

亜細亜大学図書館

建築名太田耕造記念館(亜細亜大学・短期大学部図書館)
所在地東京都武蔵野市境
設計監理(株)東急設計コンサルタント
施工東急建設(株)・青木建設(株)JV
構造地下2階、地上8階鉄筋コンクリート造
延面積6,888.2㎡
工期平成4年6月1日~平成6年3月28日
開館平成6年4月1日
蔵書能力376,700冊
OPAC 30台 CD-ROM 20台
マイクロローダー 13台

21世紀に生き残る情報図書館

 亜細亜大学初代学長である太田耕造氏の記念館が建設され、その2階を除く1~8階に大学図書館が入居し、高層図書館として平成6年4月1日に開館した。
「21世紀に生き残れる図書館作り」をコンセプトに、資料の3極化に対応した未来型図書館として、内外の話題を集めている。

太田耕造記念館
亜細亜大学図書館が入居する太田耕造記念館正面。

デザインも機能もこだわって

 図書館職員・インテリアコーディネーター等からなるサイン計画検討委員会などを開き、メーカー側に細かく要望を伝え、随所に職員の長年培ったノウハウを生かした。それらの工夫は実に的を得ており、図書館のユニークさの一因になっている。インテリアコーディネーターの選択したヨーロピアンな家具や内装は、非常に大胆な色遣いとデザイン。しかし、決して奇をてらった訳ではなく、機能を重視した選択が図らずも生んだ効果でもある。例えば閲覧椅子一つとっても、機能性・耐久性などの条件に合うものが日本製では見つからず、最終的にイタリア製に落ち着いた経緯を持つ。

トータルコーディネート
1階ロビー。照明、カーペット、家具のトータルコーディネートが美しい。
電源、情報端末源のあるキャレルデスクとイタリア製の椅子
電源、情報端末源のあるキャレルデスクとイタリア製の椅子。どんな姿勢の読書にも耐え、座面の広さにより居住性も高いという。
新聞閲覧コーナーのソファ
新聞閲覧コーナーのソファ。

図書館資料と環境の変化

 21世紀の図書館資料を考えると、大きく①紙形態②マイクロフィルム形態③電子媒体利用(磁気を含む)の3種類に分けられるという。
今後②③の利用がり広がり、図書館に対して設備面・人材面の両方から、急激な変化が望まれるだろうと大学では考えた。

今回の計画の際、特にハード面の整備に主眼を置き、AV設備、マイクロリーダー、検索端末等を充実させた。更にこれらの設備を十分に活用できるよう、利用者教育ルームを設置し、学生に対して、マルチメディア機器の使い方や、図書館内の情報活用方法などの指導を行なっている。

情報図書館の試み

 当館の特色は、何と言っても紙形態資料以外の設備の多さ。AVフロアには74席もの視聴覚設備が置かれ、棚からとりだしたビデオなどAV資料等を自由に視聴できる。また、各自が持ち込んだAV資料が視聴できるリスニングルームも用意されている。

 開架キャビネットに保管されたマイクロフィルムも自由に閲覧でき、プリペイドカードにより、コピーと同様各自プリントできる、全国でも類を見ないユニークなシステム。

各主題フロアごとに分散配置され、集中管理方式を取っていない。このマイクロフィルムのプリントアウトシステムは、当校とコピー委託業者、マイクロ業者の共同開発。1台当り約50万円の開発費は、金銭監理や複写業務などの人件費より安いという。
 3F・5Fを中心に閲覧席には電源の他に、情報端末用コンセントも整備され、個人のモービルパソコンを利用し、蔵書検索や情報にアクセス可能となっている。

専門的図書館職員の養成

 コピー・マイクロプリントの自動化の他、各フロアに自動貸借機も導入し、周辺業務で大きく省力化を図った当館の次のステップは、職員の専門性の向上である。職員に対する要求は、情報処理知識・レファレンス知識を持ったスペシャリストとしての

役割にシフトすると言われている。いろいろな面で十分な機能性の発揮を10年後に設定した亜細亜大学図書館の姿勢は、少子化時代・情報時代に対する回答の一つと言えるだろう。

学会誌のコーナー
学会誌のコーナー。特注の名差し付ブックエンドを利用し、分類している。
ハンドル式集密書架
日本古来の色使いが大胆なハンドル式集密書架と、同色のキャレルデスク。

市立高崎経済大学附属図書館

建築名高崎市立高崎経済大学附属図書館
所在地群馬県高崎市上並榎町
設計監理(株)教育施設研究所
施工戸田建設(株)・(株)研屋JV
構造地下1階、地上4階鉄筋コンクリート造
延面積4,950㎡
工期平成元年6月~平成3年4月
開館平成3年6月
蔵書能力約29万冊(将来計画約41万冊)
図書館正面
図書館正面

大学のシンボルとして

 高崎経済大学の正門から入ると、豊かな木立に囲まれた4階建ての図書館が正面に見える。文化系大学では、文献・資料の質が学習・研究活動を左右するといっても過言ではない。
 図書館建築時に、正門の位置が真正面にくるように移動したほど、当館に対する「大学の中心」としての期待は熱い。

1Fロビー
1Fロビーを望む。
スチール書架
将来上部の拡張を考慮したスチール書架と、落ち着いた配色の閲覧スペース。

全面開架方式で自由閲覧

 当館の特色は、1~4Fの全フロアを全面開架とし、全ての資料の自由閲覧を実現した点。検索端末を操作しなくても、ほとんどの資料を簡単に探し出すことができ、どんな資料でも、実際に手にとって見ることもできる。書名などの正確なデータが判らない場合や、強い目的を持たず、ふらっと本を探したい時、また広い範囲の本を一度に眺め、ピックアップしたい研究者などの利用に非常に適した、資料活用の幅を広げる開放的なシステムとして注目される。実際に、検索端末の順番待ちの列は全く見られず、資料活用度のアップにとても効果的だと、職員も満足しているという。

閲覧テーブル
閲覧テーブル。室内に飾られた多くのグリーンはリースで、常に美しく保たれているという。
移動棚
抜群の保管力の移動棚を開架として利用。比較的利用頻度の低い各大学からの学会誌などを収蔵している。
高崎経済大学附属図書館木金書架
同色系にまとめた控えめな家具が、周囲の緑にも調和。

市民にも開放されたゆとりの空間

 当大学の前身である市立短期大学が高崎城址に開学したのは昭和27年。設立当初からの「市民の文化・教養の充実に奉仕する」方針は今も受け継がれ、附属図書館も市民・県民に広く開放されている。
 レイアウトの際は、「ゆとりのあるスペース作り」を心掛けた。余裕のある通路幅、高めの天井と大きな窓 から見える四季折々の景色が広々とした空間を縁取る。暖かい色調の木製家具を中心に、重厚感のある木金書架、将来の拡張計画を盛りこんだ機能的なスチール書架、収容能力抜群の移動式書架等の開架書架群があり、室内に数多く置かれた

種々の観葉植物や、見易く好感の持てるサインなどが、ゆったりした雰囲気を構成している。
 コンピュータ室には30台ほどのパソコンが設置され、利用者は使い方の指導を受けたり、外部データバンクへのアクセスもできる。市民は特別閲覧室を利用でき、当館を訪れれば、必ず何らかの形で情報が得られるよう、万全の受け入れ態勢を整えてあり、もっと活用を促進させたい部分であろう。
 今後は更に、利用者のため、全ての情報を提供できる図書館を目指し、資料の充実を図っていく計画だという。

学習院大学法学部・経済学部図書センター

建築名学習院大学東2号館 法学部・経済学部教育研究棟(3~7階 図書センター)
所在地東京都豊島区目白
設計監理(株)菊竹清訓建築設計事務所
施工鹿島建設(株)
構造地上13階 鉄筋コンクリート造
延面積図書センター6,361㎡(全体15,717㎡)
工期平成3年10月28日~平成5年3月31日
開館平成5年9月20日(棟平成5年4月1日)
蔵書能力46万2千冊(将来計画66万4千冊)
法学部・経済学部教育研究棟全景
通称ピラミッド (中央教室) の横にある 法学部・経済学部教育研究棟全景。
5~7階に図書センターがある。

静かな研究環境を提供する学部図書館

 学習院大学の法学部・経済学部図書センターは、13階建の教育研究棟内の3~7Fを占めている。1Fはラウンジ・自習室など、2Fは大学院研究室・視聴覚室、8~13Fには両学部の教員の個人・共同研究室、大小会議室が配置されている。
 図書館入口は 5Fだけであるが、これは BDS(ブック・ディテクション・システム)の関係。上下階への移動は階段を使用する。メインホールは5~7F の吹き抜けになっており、6・7階から眺めると、フィッシュボーンの模様が浮かび上がってみえるフローリングの床、世界地図をモチーフにしたレリーフが目を楽しませ、アーチ型の大きな天窓を望むこともできる。閲覧スペースはモノトーンで統一され、研究・調べ物等の利用が多い学部図書館にぴったりである。

メインフロアーのロビー
メインフロアーのロビー。 レリーフとカーペットが魅力的。

カラーコーディネートと家具の選択の効果

 当館のポイントは、コンクリート打ちっぱなし仕上げの柱。そのグレーを基調に、5Fはフローリングの美しい木目を生かした木製の書架と家具が置かれ、6・7Fでは黒・白・ブルーを組み合わせたスチール書架、テーブルや椅子がゆったりと並べられている。スチール書架は書庫内の電動式移動棚の仕様に合わせ、細かい所まで統一されている。サインも、この移動棚の仕様から、色・サイズが決定され、全館同じものが使用されている。木製家具は、板厚が厚い、どっしりとした重厚感を持つ高級品を採用し、内容を表示する文字も大きく、機能美を感じさせる。

木製家具・書架
木製家具・書架。
木製書架
棚板の厚さやトータルバランスの良さが重厚感を生み好評だという。

豊富な蔵書数を誇る書庫スペース

 3・4Fの書庫スペースは教職員・大学院生利用エリアになっており、一般学生はカウンターに利用を請求する。フロアには利用者の研究作業用の木製キャレルデスクやテーブル、閲覧椅子が36人分用意されている。国内外の法令・判例集のほか、法律や経済に関する様々な図書、雑誌、マイクロ資料など視聴覚資料が保管されている。その蔵書冊数は実に 33万冊。スペース効率アップのため、雑誌類を中心に電動式移動棚に保存した。

マイクロラック
電動式移動棚に搭載されたマイクロラック。従来の引き出 し型のマイクロキャビネットより使い易いと職員の方の意見。

控えめな良質さが、かえって「ユニークさ」を際立たせる

 メインフロア 5F にある事務室の床も木のフローリング仕上げで、とても明るいイメージである。壁面収納や書架類も多く、スペースもたっぷりのなかなかの環境という。

 きちんと計算されたコンセプト通りの、落ち着いた色調、決して強すぎるアピールを前面に出さなかったデザイン、余裕を持たせたレイアウトにより、上品で静粛な空気が醸し出され、学部図書館にふさわしい雰囲気になっている。さりげなく配置された家具類は、どれも精度の高い高級品だが、決して華美ではなく、静寂の演出に成功していると言えるだろう。

スチール書架
書庫内のスチール書架。色、デザインやサイン計画への対応が柔軟で、価格もリーズナブルな点で根強い支持がある。
雑誌開架スペース
雑誌開架スペース。雑誌架にも新しい工夫を入れたという。

(1994年11月30日刊行)