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(注意)本記事は、金剛株式会社が1998年12月18日に発行した機関誌「PASSION VOL.23」の内容を、当時の記録として公開するものです。記事内の情報は発行当時のものであり、現在の状況とは異なる場合があります。また、当時の社会情勢や倫理観を反映した表現が含まれている可能性があり、現代の基準に照らし合わせると一部不適切と感じられる箇所もあるかもしれませんが、資料的価値を考慮し、原文のまま掲載しています。掲載されている商品やサービスは、既に販売・提供を終了している場合があります。
本記事は、著作権法上の引用の範囲内で掲載しています。当時の記録として、皆様に楽しんでいただけましたら幸いです。
イオン製薬株式会社(昭和49年創業)は、大阪府松原市に本社工場をおく。テレビCM・広告等でもお馴染みのイオン化粧品株式会社(本社~大阪府心斎橋)の製造部門にあたる。
生産拠点は本社工場と高知工場(高知県安芸郡)が稼働。 さらにイオン中央研究所を設け、「お客様第一主義、最高の品質提供」を目指している。本稿では、同社の出荷ラインの要となる部分にこのほど採用して頂いた「ラックロボシステム」について紹介する。
イオン製薬株式会社
会社名 | イオン製薬株式会社 |
所在地 | 大阪府松原市一津屋町6-3-1(本社工場) |
高知工場 | 高知県安芸郡芸西村西分1281 |
東京支店 | 東京都港区南麻布2-7-29 |
創業 | 昭和49年9月1日 |
代表者 | 坂本 勇雄 |
資本金 | 2,000万 |
従業員数 | 約100名 |
業務内容 | 化粧品及び医薬部外品・製造 |
グループ会社 | イオン化粧品株式会社 |

保管フロー概要
主要取扱品目は化粧品全般、アイテム数は約30種類を数える。日常の生産においては、原材料・設備稼働の平準化を図るべく、期間販売見通しのもとに10~20種類の製品を比較的小ロットで生産している。
製品の保管から出荷までの流れをもう少し詳しく眺めてみよう。
①各種製品を瓶やチューブ等に充填後、一個づつ包装を行ない、W1,040×D1,040×H950のメッシュ製ボックスパレットに個装状態で収納する。
②ボックスパレットを2段重ねにし、品質保持のため製品を空調で常温管理した保管スペースに一時的に保管する。
③出荷指示に従い、パレット単位でピッキングを行ない、2段重ねのままトラックに積み込む。 出荷先は販社(イオン化粧品株式会社)の配送センターである。
④最終的には、配送センターで商品を一時保管後、それぞれの注文に応じて、ピースピッキング→検品→荷造り等を行ない、全国各地の小売店及びエンドユーザーの手に商品が配送されるという流れ。

スペース不足がネック
従来、出荷場の一画に保管スペースを設け、パレット平置きの2段重ねで保管していた。ところが、事業拡大に伴い荷扱い量が増加し、次第にスペースが手狭になってきた。
そこで対策として、少し余裕があった2 3Fにも保管スペースを追加したが、下記の問題が新たに生じてきた。
ピッキング効率の低下
あちこちに分散保管したため、どこに何があるかなど管理するのが難しく、ピッキングに手間と時間を要するようになった。
人的負担の増大
パレットの搬送は人手で行なっているが、フロア間の移送回数が増え、人的負担(労力)が増大した。
先入れ先出しが困難
限られたスペースにより多く保管しようと、奥の方からパレットを詰めていくため、特に先入れ先出しが困難になった。
設備費,電気代等のアップ
品質保持上、温度管理が必要であるが、各保管スペースごとに空調が必要となり、電気代も増えた。さらには、フロア間移送により、エレベータの利用頻度が増加し、電気代及びメンテナンス費等がアップした。
解決の切り札 “ラックロボシステム”
平成6年5月、前記を解決するためのプロジェクトが動き出す。完全自動ピッキングが可能な大容量保管システムの導入計画である。条件は、建坪車等の制約上、設置有効スペースが100㎡程度しか確保できず、この範囲内に300~400p収容したいというものであった。 初期の提案では、一般的な自動倉庫案に対し、当社の集密保管型の自動倉庫“ラックロボシステム”がタタキ台として上がり、保管効率及びレイアウトの容易性・機能面など、様々な角度から検討が行われた。
最終的には、倉庫建坪率を抑えるために保管スペース効率を最優先し、既設製造ラインの物流フローを生かす、ということで、ラックロボシステムが採用された経緯がある。

を組み合わせた全く新しいタイプの自動倉庫

運用形態にマッチしたシステム
全体ゾーニングの考え方は、既設工場棟の隣に新たにラックロボシステムの専用棟を設け、入庫は2F製造ライン部から最短動線でラックロボへ。そして出庫は1F出荷場の中央付近に直結する配置としている。
各入出庫ステーションはいずれも棚の一部を利用し、建屋及び設備等との取り合いを緻密に行っている。
また、下記の特別仕様も加え、より運用形態にマッチしたシステムを構築している。
【使い易さを徹底追求した特別仕様の数々】
ラック本体、ピッキングクレーン:
・高さ約12.5mのハイラック仕様 ※重量タイプ
・2段重ねバレットの直接収納方式
・キャスター付パレットの直接収納方式
2F入庫ステーション: ※出庫も可能
・パレット積み重ね装置
・90°ターンテーブル
・操作盤(No.1)
・独自の在庫管理用パソコン及びソフト
1F出庫ステーション: ※入庫も可能
・搬送装置(リフター付)
・操作盤(No.2)

物流はモノが主役
設計上で一番の難題は、パレットの収納方式であった。収容物のボックスパレット下部には自在キャスターが付いており、これが不規則に回転してしまうと、荷詰まり・荷崩れの原因となることが懸念されたためである。
対策としては、棚部にキャスターの回転を制限する装置を検討し、実物のパレットを使用して幾度も妥当性確認を行ない改善を図った。「物流はモノが主役」ということも改めて強く認識した。
難題は多かったが当社開発スタッフのユニークなアイデア、地道な性能検証によって一つ一つクリアしていった。工程関係では、平成7年3月着工、ラックロボ棟と同時進行する形であったが、同年5月完成、無事引き渡しを完了した。

(2段重ね)を直接収納する方式
抜群の導入効果
同工場におけるシステム導入効果を下記にまとめてみた。


フェールセーフ機構により、安全性を
徹底的に追求している。

日報/週報/月報、棚卸し、先入れ出しの徹底が容易
おわりに
本稿で紹介したラックロボシステム(重量タイプ)は、電動移動棚と大型自動ピッキングクレーンを一体化した全く新しいタイプの自動倉庫である。
導入効果で述べたように、あくまで移動棚がベースとなっているため、一般の自動倉庫に比べ、不要な通路スペースを一切無くすことができ、限られたスペースに最大限の物品保管を実現。この効果は本事例にも見られるように建物を含めた総合建設コストの大幅削減と共に、他のフローとリンクし、物流及びライフコストの効率化を実現するシステムであることは理解して頂けたと思う。
高度情報化社会を迎え、各方面の物流合理化は、今後ますます増え続けると予想される。当社においても、省スペース集密保管をベースとして、社会の情報化進展に適合し得る物流システムの開発を今後とも進めていきたいと考えている。
(1998年12月18日刊行)