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本記事は、金剛株式会社が1997年07月31日に発行した機関誌「PASSION Vol.20」の内容を、当時の記録として公開するものです。
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※Living Library:生きている図書館、活気ある図書館
個性的な北欧の図書館
国土の一部が北極圏に位置し、夏の白夜で知られる北欧。冬は日照時間の短い地域であるために図書館がシステムとして充実している。首都にあっても、地方にあっても全く同じサービスが受けられる。うらやましい限りである。特にデンマークは、現存する世界最古の図書館コペンハーゲン大学図書館(1482年設立)を有し、世界で初めて図書館法を制定(1920年)し、世界中の国々が手本とする図書館先進国である。九州とほぼ同じ面積に、人口は500万人。図書館数は800を数える。貸し出し冊数にも差がある。「読書」という行為が、伝統的に生活の中に溶け込んでいる。

日本にも図書館専門職として、「司書」の制度がある。レファレンスの達人であるが、充分な人数を確保している図書館は少ないようである。
デンマークの図書館には、充分な人数の司書がいる。司書という立場が社会的に確立しており、誇りを持った職業である。
その司書を中心に、それぞれの図書館が個性的に運営されている。


広々としてカウンターまわりは、いつも人であふれている。
世界屈指の図書館専門メーカー
その図書館先進国デンマークにあり、国内で70%のシェアを誇るBCT社は、国の機関である図書館局を前身とする世界屈指の図書館専門メーカーである。利用者本位(ユーザーフレンドリー)の、伝統ある北欧家具の確かさ、温かさを兼ね備えた味わいのあるデザイン。それでいて本を目立たせる控えめさをも併せ持つ。

使いやすいデザイン。高さも自由自在。
開架スペース

明るく広々とした開架コーナー。斜めに配置された書架がたくさんの木を見せて並び、その間にさりげなく閲覧席が設けてある。本に囲まれた喫茶店と云う、ゆったりと落ち着いた雰囲気の中で読書を楽しむことができる。書架の間を歩きまわり本を探すのも楽しいが、コンピュータでの目録検索も普及している。目当ての本がなければインターネットを通して全世界の図書館の目録を検索し、取り寄せてもらうことができる。これは、日本の図書館の目指す方向でもあろう。


ちょっと成人コーナーの視察。書架に組み込まれた展示パネルの使い方も見事。

今やコンピューターは検索以外にもかかせない。使い方に合わせて自由に高さ調整が可能。
児童コーナー
デンマークは、世界的な童話作家アンデルセンの国である。
広くとった児童コーナーは楽しく飾り付けられ、遊び道具も置かれている。独立したカウンターにはいつも司書がいて、子供たちの質問に答えてくれる。
表紙を見せて並べた絵本の展示が効果的であり、絵本を読ませる、というより、子供が自ら見たい絵本を手に取る雰囲気をうまく作り出している。伝統である「読書の習慣」はここから始まり、育まれてゆく。子供の目線に合わせた居心地の良いスペースとなっている。

子供たちの想像力に訴えかける家具や絵本
BCI社とのパートナーシップ
「想像から創造へ」 BCI社と金剛㈱との共同開発により生まれた児童用机 “PUZZLE”。
大きな積み木で遊ぶように重ね並べ組み合わせるとまるで子供たちだけの秘密の隠れ家。子供たちに楽しく本を読んでほしい、机の上でも椅子にでも寝ころんで・座ってドキドキ・ワクワクしながら文化に触れてほしい。そんな情熱が創り出した夢いっぱいの児童用図書館家具である。

組み合わせ自在の幾何学的な曲線がおもしろい。
日本では図書館の家具に、「木」が好まれる。暖かみ、木目の美しさは他のものには代え難い。
昨年、BCI社と共同開発したキャレルデスクと閲覧椅子に96年度グッドデザイン賞を、キャレルデスクについてはその部門で最高の金賞をいただいた。
また、地震の多い我が国で、地震の揺れから利用者や本をいかに守るかも大きな課題である。こちらも共同研究進んでいる。
今後もパートナーである、BCI社との共同開発を進め、より使いやすく、丈夫で、美しく、安全な、機能美の光る家具を提供していくことで、進化する図書館に貢献していくことが使命であると感じる。

96年度グッドデザイン賞金賞を受賞した。
ブナ材の加工は芸術品。
(1997年7月31日刊行)
