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(注意)本記事は、金剛株式会社が1992年5月14日に発行した機関誌「PASSION VOL.10」の内容を、当時の記録として公開するものです。記事内の情報は発行当時のものであり、現在の状況とは異なる場合があります。また、当時の社会情勢や倫理観を反映した表現が含まれている可能性があり、現代の基準に照らし合わせると一部不適切と感じられる箇所もあるかもしれませんが、資料的価値を考慮し、原文のまま掲載しています。掲載されている商品やサービスは、既に販売・提供を終了している場合があります。
本記事は、著作権法上の引用の範囲内で掲載しています。当時の記録として、皆様に楽しんでいただけましたら幸いです。
1.採用戦線異常あり!!
就職先として製造業(メーカー)を希望する若者が減少しているという。特に、いわゆる生産現場を望む数の減少は、一部では危機迫るものさえあるようだ。汚れない仕事をしたい、幅広い分野で活躍したい、カッコ良く見られる仕事がいい…という気持ちもわかる。以前は、油にまみれ、額に汗して働く姿が「男らしさ」であったが、今や男性化粧品がはやり、さわやかな青年がモテる時代だとマスコミは囃し立てている。そういう男性像を求めた女性が悪いのか、男性自身が変わったのか、とにかくこの傾向が逆戻りする可能性は小さいだろう。
しかし、本当に若者達は製造業(メーカー)の将来性を見限ったのだろうか?ある就職情報誌のエディターは言う。「確かにサービス業や商社への希望者は多いが、それは長い間かかってイメージ向上に努めたからです。それだけの努力を、製造業は正直言ってしていない。基幹産業という身分に、あぐらをかいているからではないでしょうか。」 昔ながらの方法で、時間をかけて作り上げたモノと技術を、戦後の経済成長は排除する方に傾いていた。そのツケが今、回ってきているような気がする。更に、マスコミの扇動によって、必要以上に「3K」の欠点が強調されている感が無きにしも非ずである。
2.経営者の精神革命こそが現状を打破できる
製造業(メーカー)の経営者は現在、魅力度UPに真剣に取り組まなければならない崖っぷちに立たされている。
このターニングポイントを乗りきれなければ、製造業(メーカー)の将来、ひいては日本の産業界・経済界の未来に禍根を残すことになりかねない。
製造業(メーカー)が全ての若者を魅了するのは無理かもしれないが、少なくとも努力の余地は十分にに残っているだろう。
製造業(メーカー)の魅力度UPのための方策
- モノを作り上げる素晴らしさ、充実感 (=やり甲斐UP)
- よりよい環境で安全に楽に働ける (直接の労働環境UP)
- 厚生施設の整備 (=プラスアルファの環境UP)
これからのコンセプトは、「人間」重視の考えである。表面の取り繕い、最低の基準は満たしているという自己満足、見て見ぬふりなどは、するどく見抜かれてしまう。経営者とワーカーの永遠の課題である労使問題に深く係わるだけに微妙なところだが、あえて理想を述べれば、経営者は根本的に経営方針を改める必要があるだろう。そこまでしなければならない状況だと理解していただきたい。実際、平成3年夏の労働省の調査では、オフィスワーカーの2/3が職場環境を「快適」と評価しているのに比べ、工場勤務者の実に半数が職場環境は「不快」だとしているのである。
今やワーカー達は働く環境に対する評価を堂々と口にする。よりよい環境こそが、人間的な生産性を上げ、仕事に対する充実感を生む第一条件だと認識し始めたのである。 現実には、機械化・無人化の方がまだ優先事項かもしれないが、隣接するオフィス、アスレチックスペース、食堂やラウンジなどの厚生施設の整備は、将来必須項目になるだろう。
今号では、それらの環境の改善・レベルアップの例を紹介し、製造業(メーカー)の将来性を考察したい。
(1992年5月14日刊行)