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防爆技術資料

金剛株式会社

注意発行当時の記述について

本記事は、金剛株式会社が1989年05月31日に発行した機関誌「PASSION Vol.5」の内容を、当時の記録として公開するものです。

・ 記事内の情報は発行当時のものであり、現在の状況とは異なる場合があります。また、当時の社会情勢や倫理観を反映した表現が含まれている可能性があり、現代の基準に照らし合わせると一部不適切と感じられる箇所もあるかもしれませんが、資料的価値を考慮し、原文のまま掲載しています。

・ 掲載されている商品やサービスは、既に販売・提供を終了している場合があります。現行の製品については、改めて最新のカタログ等をご参照いただくか、弊社までお問い合わせください。


※ 本記事は、著作権法上の引用の範囲内で掲載しています。当時の記録として、皆様に楽しんでいただけましたら幸いです。

 工場、事業場では、どんな所でも電気機器や配線が使用されていますが、これらの機器や配線は、使用中に火花を発生したり、温度がきわめて高くなるものがあります。可燃性ガスや引火性液体が取り扱われている場所では、電気機器や配線から発生する火花や熱が点火源となって爆発事故を生ずるおそれがあります。しかし、電気設備を使用しなければ工場としての機能が失われてしまうので、点火源とならないように特別の工夫をこらして安全に使用するようにします。これが防爆電気機器とか、防爆電気配線といわれるもので、一般のものとは異なった仕様となっています。

危険場所の区分  

 危険場所とは工場や事業場において、爆発性ガスを取り扱っているために防爆電気設備を使用しなければ危険である場所をいいます。

● 危険場所の種別と区分内容
危険場所の種別区分の内容
0種場所正常状態において、爆発性雰囲気が連続し、または長時間、生成される
1種場所正常状態において、爆発的雰囲気が周期的に、または時々、生成される
2種場所異常状態において、爆発的雰囲気が生成される

引火性液体の引火点と蒸気の発生  

 引火性液体は、その温度をある限度以下に冷却すると大気中に蒸気となって出てこないので、液面近くに小さな炎(点火源)を近づけても燃焼や爆発を生じない。しかし、徐々に液体の温度を上げてみると、ある温度において蒸気を発し、小さな炎によって点火する。このように空気中において引火性液体が蒸気を発し、点火源を近づけたときに、点火を生ずるときの液体の最低温度を引火点といいます。

爆発性雰囲気の生成

爆発性雰囲気の生成と爆発限界  

 可燃性ガスと引火性液体の蒸気を総称して、爆発性ガスといいます。また、爆発性ガスと空気とが混合し、点火源により爆発を生ずる濃度となっている状態のものを爆発性雰囲気といいます。

● 爆発性ガスと爆発性雰囲気の違い

爆発性ガスと爆発性雰囲気の違い

● 発火温度による爆発性ガスの分類と防爆電気機器の温度等級との対応

 爆発性ガスはその発火温度により6等級に分類される。防爆電気機器の温度等級との対応も示している。

発生温度による
爆発性ガスの分類
450℃超過300℃を超え
450℃以下
200℃を超え
300℃以下
135℃を超え
200℃以下
100℃を超え
135℃以下
85℃を超え
100℃以下
防爆電機機器の
温度等級
T1T2T3T4T5T6

● 防爆電機機器の選定例

◯:適するもの △:なるべく避けたいもの ✕:適さないもの
– :構造上実在しないもの 空欄:実用的でないか、または一般的でないもの
電気機器危険場所0種場所1種場所2種場所
防爆構造本質安全本質安全耐 圧内 圧油 入安全増本質安全耐 圧内 圧油 入安全増
白熱燈定着燈––◯––✕–◯––◯
白熱燈移動燈––△––––◯–––
けい光燈定着燈––◯––✕–◯––◯
高圧水銀燈定着燈––◯––✕–◯––◯
電池付携帯電燈––◯––––◯–––
表示燈類––◯––✕–◯––◯
気中開閉器
(自動開路しないもの)
(低圧)––◯–––◯––
(高圧)––✕–––△––
気中開閉器
(自動開路するもの)
(低圧)––△–––◯––
(高圧)––✕✕–––△––
気中しゃ断器(低圧)––△–––◯––
(高圧)––✕✕–––△––
気中形ヒューズ(低圧)––△–––◯––
(高圧)––✕✕–––△––
操作用小形開閉器(低圧)◯◯◯◯–◯◯◯–
操作盤(高圧)––◯◯–––◯◯––
制御盤(低圧)––△△–––◯◯––
(高圧)––✕✕–––△△––
分電盤(低圧)––△–––◯––
(高圧)––✕–––◯––
差込接続器––◯––––◯–––
接続箱––◯–✕–◯–◯

防爆構造の分類

 現在危険場所で使用する電気機器には、各種の防爆構造のものがあり、大別すると次の3種に要約できます。

(1)点火源の実質的隔離
 電機機器の点火源となるおそれがある部分を周囲の爆発性ガスから隔離して接触させないようにするために、電気機器を密閉構造にする方法が考えられる。この場合パッキン類を用いた密閉構造では恒久的な信頼性が低いので、これに代るものとして各種の手法が考えられており、耐圧防爆、内圧防爆、油入防爆などがあります。 

(2)無火花電気機器の安全度の増強  
 通常の状態においては、点火源となるような電気火花部や高湯部が存在しない電気機器について、特に安全度を増加して故障を起こりにくくしたもので、安全増防爆構造が該当します。  

(3)点火能力の本質的抑制  
 弱電流回路の電気機器において、通常の状態のみでなく事故時に発生する電気火花及び高温部についても、爆発性ガスに点火するおそれがないことを試験その他によって十分に確認されたもので本質安全防爆構造が該当します。

防爆電気機器の表示と記号

表示項目記 号記号の意味
防爆構造Ex防爆構造のシンボル
防爆構造の種類d耐圧防爆構造
P内圧防爆構造
e安全増防爆構造
ia または ib本質安全防爆構造
o油入防爆構造
s特殊防爆構造
防爆電気機器のグループⅡ工場・事業場用のもの
耐圧防爆構造および
本質安全防爆構造の
電気機器の分類されたグループ
ⅡA工場・事業場用のものであって分類Aの爆発性ガスに適用できる
ⅡB工場・事業場用のものであって分類Bの爆発性ガスに適用できる
ⅡC工場・事業場用のものであって分類Cの爆発性ガスに適用できるもの
防爆電気機器の温度等級T1最高表面温度の許容値が450℃であること
T2最高表面温度の許容値が300℃であること
T3最高表面温度の許容値が200℃であること
T4最高表面温度の許容値が135℃であること
T5最高表面温度の許容値が100℃であること
T6最高表面温度の許容値が 85℃であること

防爆電気機器の選定

0種場所1種場所2種場所
本質安全防爆構造(ia)本質安全防爆構造(ia および ib)
耐圧防爆構造
内圧防爆構造
油入防爆構造
安全増防爆構造
同左のものおよび
2種場所用と表示された構造のもの

防爆電気配線の選定

0種場所1種場所2種場所
本質安全回路の配線本質安全回路の配線
耐圧防爆金属管配線
ケーブル配線(低圧)
ケーブル配線(高圧)
同左のものおよび
増防爆金属配管線

防爆電気設備に対する関係法令

(1)防爆電気機器に関する法規・基準等
 ● 労働安全衛生法
 ● 労働安全衛生規則
 ● 機械等検定規則
 ● 工場電気設備防爆指針

(2)防爆電気配線に関する規則
 ● 電気設備技術基準
 ● 内線規程

(3)その他
 都道府県の関係条例において、特別の規制を実施している所がありますので、都道府県または消防署などの関係部署に問合せして確認が必要です。

(1989年5月31日刊行(季刊))