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特集 歴史と文化のコミュニティゾーン 「カルチャープラザのべおか」

延岡市立図書館

注意発行当時の記述について

本記事は、金剛株式会社が1997年07月31日に発行した機関誌「PASSION Vol.20」の内容を、当時の記録として公開するものです。

記事内の情報は発行当時のものであり、現在の状況とは異なる場合があります。また、当時の社会情勢や倫理観を反映した表現が含まれている可能性があり、現代の基準に照らし合わせると一部不適切と感じられる箇所もあるかもしれませんが、資料的価値を考慮し、原文のまま掲載しています。

掲載されている商品やサービスは、既に販売・提供を終了している場合があります。現行の製品については、改めて最新のカタログ等をご参照いただくか、弊社までお問い合わせください。


※ 本記事は、著作権法上の引用の範囲内で掲載しています。当時の記録として、皆様に楽しんでいただけましたら幸いです。

延岡市立図書館全景
写真1:延岡市立図書館全景 高齢者や身障者に優しい施設(ハートビル)である。

延岡藩主を称える内藤記念館や城山公園に囲まれる一大文化ゾーンに建つ「カルチャープラザのべおか」。アートギャラリーやハーモニーホール、不要時には椅子が壁に収納され、吹き抜けの広いホールとなる多目的ホールなどを有し、まさに文化ゾーンの中核を担う施設である。  

その一角を占める延岡市立図書館は、個性的な家具の並ぶ、明るく開放的な集いの場となっている。


カルチャープラザのべおか 延岡市立図書館

建築名文化ゾーン「図書館を含む複合施設」
所在地宮崎県延岡市本小路39-1
設計監理(株)山下設計 福岡支社
施工西松・井口・久米建設工事共同企業体
図書館家具施工金剛(株)
構造地下1階 地上3階 鉄筋コンクリート造
延面積約10,000㎡ (うち図書館約3,000㎡)
開館平成9年2月21日
蔵書能力開架約12万冊、BM約3万冊、閉架約14万冊

シンボルキャラクター 「ふくろう」

西洋ではギリシャ神話に由来し、「聖鳥(神の使い)」「英知の象徴」「霊力を持つ鳥」と呼ばれ、英知と不思議な霊能力で人間を守ってくれる「幸福を呼ぶ鳥」として信じられている。
「学問の神様」「長寿の鳥」としても喜ばれ、「森の哲学者」や「森の物知り博士」とも言われている。
地元のデザイナーが市のカラー「紫」を効果的に使い、愛嬌たっぷりに仕上げている。

ふくろう

ハートビル

床に段差がなく、カーペットにも点字ブロックが埋め込まれ、案内板には点字が併記されているなど、バリアフリーの施設として認められている。
ハートビル法(高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律)は、平成6年に制定されたばかりの法律で、地方の都市での認定は大変先進的である。

入口のレリーフ
写真2:入口のレリーフ
大地の恵み、自然の神秘を思い起させる。

成人コーナー

成人コーナー
写真3:成人コーナー
吹き抜けの間接照明がやわらかい。

整然と並ぶ書架。背の低い書架は空間を広く感じさせる。向こうの書架も眺めながら本を選ぶことができる様にレイアウトが工夫されている。あくまでも利用者を中心とした理想的な図書館である。
書架はデンマークBCT社との共同開発で、木とスチールとを組み合わせ、独特の味わいを醸し出している。

サービスデスク
写真4:サービスデスク
オープンなイメージ
平面図
ブックエンド
写真5:木の無垢材にこだわったブックエンド
本の展示もできるスグレモノ

児童コーナー

「やあ、また来たね。」子供たちをまず迎えてくれるのは、カラフルなブックトラックのあおむし君。
目線に合わせた低い書架には色とりどりの本があふれ、表紙を見せて並べた絵本が語りかける。
畳コーナーで寝ころんで読書する子供や、おはなしのへやで熱心に耳を傾ける子供たちでにぎわっている。
入り口近くに設けたため、奥のコーナーには響かない。 書架には意外な防音効果もある。

ブックトラック
写真6:ブックトラック
あおむし君はエリック・カール氏の絵本「はらぺこあおむし」がモチーフ。
畳コーナー
写真7:畳コーナー
窓に面した席は掘りゴタツ風になっている。
くつろぎコーナー
写真8:くつろぎコーナー
ガラス張りで自動コーナーが一望できる。お母さんも安心。
児童コーナー
写真9:児童コーナー
カーブした低い書架い囲まれている。

様々な閲覧席

なだらかな弧を描く壁づたいのソファ。背後の壁には、まるで一枚のパノラマ写真のような窓の風景。ここではすべての窓が、一枚の絵として機能している。
ここにも畳コーナーが設けてあり、窓外の和風庭園を眺めながら読書を楽しむことができる。
学生たちの勉強の場としても活用され、二人掛けのテーブルは、はばたく鳥とわきあがる雲の図案を施した半透明のアクリル板で仕切られている。ほどよく視線を避け、一人がテーブルを占領しない効果もある。

グループ学習
写真10:グループで学習している学生たち。
BCI社の椅子が並ぶ。

文化を守り伝える

閉架書庫に採用された移動棚には、地震の揺れから利用者や、貴重な資料を守る免震装置が装備されている。
地震時には、車輪を自動的にフリー(免震状態)にすることで、棚の転倒や本の落下を防ぎ、通路に人がいても軽い力で支えることができる。また、エンドストッパーからの衝撃を防ぐための装置や、接近しないよう中央へ逃げる機能などを兼ね備え、利用者の安全や貴重な資料の保護、それに地震が終わると元通り使うことができる、という特徴を持っている。

免震移動棚
写真11:閉架書架に採用された免震移動棚Z
地震の揺れから利用者や貴重な資料を守ることができる。

巡回サービス

移動図書館とも呼ばれるBM(ブックモービル)。2kmを超える地域に、2週間に一度巡回する。
車椅子でも利用でき、4人の司書(図書館専門職)で運営されている。「ふくろう号」の愛称は学校を通じて募集され、総数1,113件の中から選ばれた。
傾斜地を生かして2階に設けた入口をBMも利用することで、1階からの来館者の利用を妨げないスムーズな運用が実現し、好評である。

ふくろう号
ブックモービル
写真12:ブックモービル
「ふくろう号」には本がぎっしり!

活気ある図書館

開館から3ヶ月で利用者が20万人を突破。平日で2,000人、日曜には5,000人もの来館者があり、活気のある図書館となった。その後も来館者数は伸び続けており、地域の施設として確実に根を下ろしたといえる。平日は午後7時閉館なので、ビジネスマンの利用も多い。人気のAV(オーディオビジュアル)は、6~7割が貸し出し中。

来館者の対応で寄贈本の整理が遅れ気味とか。うれしい悲鳴である。
たくさんの新聞・雑誌もあり、最新号以外の雑誌は貸出しに応じてくれる。また、探したい本はパソコンで検索することができる。もちろん、カウンターでも親切に対応してくれる。

視聴覚コーナー
写真13:視聴覚コーナー
人気のコーナー
新聞・雑誌コーナー
写真14:新聞・雑誌コーナー
バックナンバーも収納されている。種類も豊富。

文化の拠点として

市の中心地にありながら緑が豊かであり、静けさが心地よい。図書館の立地としては最高といえる。
史跡を訪ねた後、ここでさらに深い知識を得るのも良い。休憩に立ち寄っても良い。閲覧中の気分転換に、散歩するのも良い。
また、休日の家族での利用のためにも駐車場は広く取ってある。
“よりよい図書館へ”職員の意気込みが感じられた。
総勢9名もの司書を抱え、住民に親しまれるこれからの図書館の、あるべき姿を見ることができる。

(1997年7月31日刊行)