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HAKKOにかける想い
しまなみ海道一を目指して

HAKKOパーク


interview


HAKKOパークのデッキ
瀬戸内海に面するデッキから振り返ると見えてくる景色
因島の豊かな自然環境が実感できる
話し手
話し手: 橋本 洋 さん(左)万田発酵株式会社 カスタマーサービス部 お客様サービス室 マネージャー、高野 真衣 さん(右)万田発酵株式会社 カスタマーサービス部 お客様サービス室 係長  ※所属・役職は取材当時のものです。

 
 美しい瀬戸内海の島々をつなぐ瀬戸内しまなみ海道。サイクリストの聖地とも呼ばれるこの地に「HAKKOパーク」があります。HAKKOパークは万田酵素をはじめとする発酵食品製造会社、万田発酵株式会社の施設として、尾道市因島に2018年オープンしました。発酵の魅力を多くの人に伝えるため、どのような取り組みをされているのかをお聞きしました。
 
 
しまなみ海道の看板

 
 
ーHAKKOパークが設立された経緯と目的について教えてください。
 
橋本 HAKKOパークの前身として「万田びっくりファーム」という施設がありました。そこでは植物用万田酵素を使って育てている農作物の見学や工場見学など、万田酵素と発酵のことを学んでいただく取り組みをしていました。
 設立の目的は「発酵の魅力をもっと発信すること」「万田発酵をもっと知っていただくこと」です。このような目的で、構想から5年をかけ2018年8月にオープンしました。
 施設のコンセプトは「ここに来れば万田発酵の全てが分かる」です。万田発酵の全てを具体的に言うと大きく三つの柱があります。一つ目は万田発酵の事業内容です。万田発酵がどんな事業をやっているのかを知っていただくということです。二つ目は万田発酵の企業としての姿勢。安全基準をしっかりと守りつつ、モノづくりに対して非常に真面目に取り組んでいます。三つ目は「人と地球の健康に貢献する」という企業理念です。お越しになった方にこのようなことをお伝えする場として、HAKKOパークを立ち上げました。
 
 
万田酵素で育った大きなかぼちゃ
植物用万田酵素で育ったジャイアントカボチャ

 
 
ー施設を計画される際にこだわった点はどこですか。
 
橋本 こだわった点は「施設構成」と「自然との調和」です。施設構成に関して、HAKKOパークは「HAKKOゲート」「HAKKOガーデン」「HAKKOホール」「HAKKOファクトリー」から成り立っています。それぞれ独立した役割がある中で、それら全てをつなぎ合わせると万田発酵の全てを分かっていただけるような構成にしました。
 自然との調和について、HAKKOパークは山や海という因島の豊かな自然に囲まれております。施設全体が周囲の自然と無理なく共存できるように、景観を含めて非常にこだわりを強く持っております。
 
 
HAKKOゲート
HAKKOゲート内にあるカフェ
ガーデンや海を目の前にゆっくりとした時間を過ごせる
 
 
HAKKOガーデン
HAKKOガーデン

 
 
ー運営は社員の皆さまで行われているのでしょうか。
 
橋本 運営母体となる部署の社員は19人ですが、ガーデンの手入れを行うアグリバイオ事業部を始めとする社内のサポートを受けています。また、園芸会社、清掃会社、警備会社、シルバー人材センターなど取引先の方々も関わられています。社内のみならず社外の皆様のご協力を得ながら運営している状況です。
 
ー2018年11月にはモンゴルとの国際交流イベント、12月にはクリスマスイベント、2019年4月には初のマルシェイベントとさまざまな楽しそうなイベントを開催されていますね。
 
橋本 どのイベントもお客さまとの交流、関係性の深化を図りたいという気持ちで取り組んでいます。中でもマルシェイベントはお客さまといろいろな会話ができ、主催する側としても非常に楽しいイベントでした。因島や尾道市、高松市など多くの地元の方々に飲食物や雑貨の出店をしていただきました。今後も万田発酵らしいマルシェを模索しながら、規模を拡大していきたいと思います。
 
ー出店者の方はどのようにして集められたのですか。
 
高野 観光協会へ出店者募集の案内掲載をお願いしました。出店者を募集するイベントは初めてでしたので、募集や準備の仕方が分からずに手探り状態でした。観光協会や出店者の方々からご意見をいただきながらの計画で反省点もありましたが、教えていただいて初めて分かることも多く非常にありがたかったです。次のイベントにつながる良い経験ができたと思います。
 
ー開催されるイベントや施設の運営を通して、気付くことや感じることを教えてください。
 
橋本 地域に根差した取り組みを通じて、地域活性化に少しでも貢献したいという思いを日頃から持っております。例えば小さな取り組みですが、警察の交通キャンペーンやしまなみ海道のサイクルオアシス※1にご協力させていただいております。基本的に営利目的の活動についてはお断りさせていただくことが多いですが、地域の役に立つ活動であればドンドン受けていきたいです。
 サイクルオアシスとして施設をご利用いただく中で、新たな問題点も見えてきました。外国人サイクリストの方も多いのですが、簡単な英語を話すことができるスタッフが1名在籍しているだけです。サイクリングが盛んな台湾からのお客さまも多いですが、英語や中国語の案内資料を現時点では用意できていません。このような言語の面もこれから対応していかなければならないと考えています。
高野 サイクリング途中に少しだけお立ち寄りいただいて買い物をされる程度であれば、ジェスチャーで通じることもあります。ですが、外国の方向けの発酵に関するガイドツアーという点では取り組みができていません。せっかく足を運んでいただいたならHAKKOパークを楽しんでいただき、発酵について理解していただきたいと思っています。
 
※1 しまなみ海道はサイクリストに人気の高い土地であり、その休憩所
 
 
マルシェの様子
マルシェイベントの様子

 
 
ーオープン前後で工場見学者数や見学者層の変動はありましたか。
 
橋本 まず、お越しになるお客さまの層がガラッと変わりました。万田びっくりファーム時代には団体のお客さまが中心でご年配の方が多かったです。HAKKOパークをオープンしてからはほとんどが個人のお客さまになりました。現在の比率としては個人8割、団体2割です。加えて年齢層がグッと若い、未就学や小学校低学年の子どもたちを連れた家族連れの方が圧倒的に多くなりました。万田酵素は健康食品ですので、ご年配の方が興味を持たれることが多い商品です。そのような点では若い方に万田発酵のことを知っていただく役割をHAKKOパークが担えているのかなと思います。
 見学者数について、万田びっくりファーム時代には幅のある数字ですけど年間実績が4~6万人でした。開催するイベントの規模次第で来場者数が大きく変動していました。HAKKOパークの初年度来場者数は6万人を超える見通し※2です。2年度目は7.5万人を目標来場者数としています。
高野 オープン以降で祝日を合わせても3日以上の連休がなかったので、今年のゴールデンウイークの10連休は予測のできない状態で始まりました。連休中は過去最高来場者数を連日更新という状況。正直どれだけ施設の認知が進んでいるかという不安もあったのですが、自信がついた良い機会だったと思います。しまなみ海道は国内でも注目されているスポットですので、普段とはまた違う遠方からのお客さまが多かったです。
橋本 通常平日は9割が広島県内のお客さまで、残り1割が愛媛県や岡山県などの近隣の県の方です。土日になると大阪府や九州からお越しの方もいらっしゃいます。10連休中は4割くらいが近隣3県(広島県、愛媛県、岡山県)で、それ以外は遠方からのお客さまでした。
 
※2 2019年11月現在、6万人は既に実績数値となっている
 
 
ー尾道市因島で創業し、現在も創業の地に主要施設を持たれています。地元への想いやどのような企業でありたいかを教えてください。
 
橋本 万田発酵の原点は因島で300年以上、10代に渡って続いた日本酒の造り酒屋です。この地を離れることなく、酒屋としての知恵と技術を生かし、因島の自然環境を利用して万田酵素という商品の開発を続けてきました。商品によっては協力工場のお力を借りて作らなければいけないものもあります。しかし、万田酵素や植物用資材・化粧品の原料となる植物発酵物は、一貫してこの島で製造し協力工場にお送りしています。このような基本方針はこの先何十年経っても変わりません。これからも創業地であるこの島とのつながりを大切にしていきたいと思います。因島やしまなみ海道、尾道市へ貢献したいという想いが、従業員一人一人に根付いているような気がします。
 
ーオープン1周年を迎え今後どのようなイベントを開催し、どのような施設を目指そうとされていますか。
 
橋本 8月には周年祭イベント、9月にはひまわりのせいくらべ、2020年3月には大型マルシェを開催する予定です。また、母の日にもちょっとしたイベントを仕掛けたいと考えています。ガーデンの苗の入れ替えが年に3回あるのですが、抜いた苗が綺麗なのでそれを販売しています。母の日に合わせてカーネーションを用意できたらと思っています。
 施設に関して、現時点では来場者の方に発酵の魅力や万田発酵のことを十分にお伝えできていないと思っています。例えばご一緒に施設を回らせていただくお客さまに対してはご説明ができますが、ご自由に散策される方に対して同じようにはいきません。また、工場見学も万田びっくりファーム時代のご年配のお客さまを対象にした内容です。若い方や子どもたちにも喜んでいただけるような対応ができていません。このようなことから私たちは「経年良化」という言葉を常に意識しています。月日が経つごとに施設やサービスの質が良くなっていく、常に新しいことに挑戦していくという意味合いです。
 10年後の目標なのですが、年間来場者数60万人を目指しています。その目標を達成すれば、しまなみ海道で1番の集客スポットになります。しかし、現在の環境や設備ではとてもその来場者数への対応ができません。この目標に向けてこれからどんどん進化していかなければと思っています。
高野 施設のハード面の充実もそうですが、サービスなどのソフト面もお客さまや時代の流れに合わせて進化していかなければいけません。私たちは万田発酵の中でも一番近い距離でお客さまと接しています。お客さまからお聞きする生の声をきちんと自分たちのものにしていきたいです。60万人の来場者が来てくださるとき、しっかりと対応できる中身を持ち合わせておきたいと思っています。
 
 
万田酵素
大きな容器に入った万田酵素
HAKKOファクトリーで間近で見て香りを楽しむことができる
 
 
―多くの方々に発酵の魅力を伝えたい、創業の地である因島に貢献したいという熱い想いが伝わってきました。本日は貴重なお話をありがとうございました。
 
(取材日:2019年7月2日)
取材・文:澤田 健太 金剛株式会社 営業本部 中四国支店 広島営業所

※取材当時 

HAKKOパーク
所在地:広島県尾道市因島重井町5800-95
TEL:0120-85-1589(お客様サービス室)
開園時間:10:00~17:00
休館日:年末年始、水曜日
   (次の期間を除く 3/20-4/10、7/20-8/31、12-20-1/10)
    ※水曜日が祝日の場合は営業
URL:http://hakkopark.com/
 
 

 
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40号表紙
この記事は「PASSION vol.41」に収録されています
 
 
 

 

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