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注意)本記事は、金剛株式会社が1987年2月18日に発行した機関誌「PASSION VOL.2」の内容を、当時の記録として公開するものです。記事内の情報は発行当時のものであり、現在の状況とは異なる場合があります。また、当時の社会情勢や倫理観を反映した表現が含まれている可能性があり、現代の基準に照らし合わせると一部不適切と感じられる箇所もあるかもしれませんが、資料的価値を考慮し、原文のまま掲載しています。掲載されている商品やサービスは、既に販売・提供を終了している場合があります。
本記事は、著作権法上の引用の範囲内で掲載しています。当時の記録として、皆様に楽しんでいただけましたら幸いです。
※logistics 後方業務、兵たん業(調達・貯蔵・輸送・宿営・糧食・交付・整備及び人員・器材・補給品の護送などの業務)
国立国会図書館 本館・新館に納入されたコンゴー書架・電動ラックE
国立国会図書館新館は、昭和61年9月1日、4年有半の歳月とおよそ230億円の巨費をかけて開館しました。新館建設の基本目的は、
①国会の図書館として、情報提供の機能を一層強化し、国政審議に資すること。
②わが国唯一の国立図書館及び納本図書館として、資料の保存スペースの拡充と利用者サービスを強化すること。
に要約されますが、そのため、スペースの有効利用を図るべく、新館総面積の60%を地下書庫にあてるという、画期的な「氷山型」建築が指向されています。

昭和53年に国立国会図書館建築委員会が開催され、新館の建設を推進することが決定の後、当社は書架JIS第1号の栄誉に浴する専門メーカーとして、加えて、OA・物流システムの専門メーカーとして、積極的にプロジェクト・チームに参画し、図書館における最も合理的なシステム構築の提案をしてまいりました 。幸い、昭和41年から昭和43年にかけての国立国会図書館 本館書庫の第2期工事に、当社の書架・マイクロフィルム架・新聞架等を大量にご採用いただいており、以来20年近く当社で培ってきました保管・検索・入出庫システムのノウハウをご提供できたものと思量しています 。
国立国会図書館総務部管理課 課長補佐市野實氏 同主査兼建築係長中野隆久氏へのインタビューを通して、ここに、21世紀を見つめて今まさに飛翔せんとする、わが国唯一のナショナル・ライブラリーの全容をご紹介します 。

総務部 管理課 課長補佐 市野 實様

総務部管理課 主査兼建築係長 中野 隆久様
沿革
第二次世界大戦直後の連合国による占領下の昭和23年(1948)2月、米国議会図書館を範にとった「国立国会図書館法」に基づいて設立され、この法律の前文には、「真理がわれらを自由にするという確信に立って、憲法の約する日本の民主化と世界平和に寄与することを使命とする」と、その設立の理想が高らかに謳ってあります。
同館には二つの源流があり、ひとつは明治23年(1890)に設立され、旧憲法下の帝国議会に属していた貴族院・衆議院の図書館であり、もうひとつは、明治5年(1872)に設立され、行政機関である文部省に属していた帝国図書館です。これら源流となった二つの図書館の蔵書はそのほとんどすべてが引き継がれており、現在の蔵書の重要な基礎となっています。
特色
国立国会図書館は、国会のために奉仕する図書館であると同時に、日本国内で刊行されるすべての出版物が納本される、日本で唯一の納本図書館でもあります。それら出版物(地図・音盤・マイクロフィルム等含む)は網羅的に収集されてデータベースが作られ、その資料は広く国民一般に公開されています 。同館の業務内容は四つに大別されます。
(1)国民への奉仕
資料は満20歳以上の人ならだれでも利用でき、閲覧室は本館・新館あわせて16室もあり、座席数は約1,900席。マイクロフィルム・電子式複写等により図書館資料の複写サービスも行われ、個人に対する貸出はないものの、公共図書館・大学図書館等に図書館間貸出を行っており、これらの図書館を通じて利用することが可能です 。
(2)立法調査
国立国会図書館には国会議員の国政審議に対して図書館サービスを行うために、百数十名にのぼる専門職員からなる「調査及び立法考査局」が設けられており、政治・外交・経済・教育など多方面の調査活動、法律案の起草やその分析・評価などを行っています。
(3) レファレンス(資料案内)
国民一般からの図書・資料の所蔵の状況や書誌的事項の問い合わせや、参考文献の紹介の依頼などに対しては電話・文書で回答しており、図書館からの同様の問い合わせも同じ様に対処されます。また、参考図書室には事典・年鑑・目録類などのレファレンス・ブックがあり、自由に利用できる。
(4)図書館協力
①国内協力 国立国会図書館は国の中央図書館として、国内のさまざまな図書館・図書館関係団体との協力活動を行っており、全国の図書館から、その図書館で応じきれなかった資料の貸出・レファレンス・複写などの要求が数多く寄せられ、スピーディに処理されています。
②国際協力 国立国会図書館は日本の図書館を代表して、世界各国の図書館と国際的な図書館協力を行っており、政府出版物や民間出版物などの交換とともに、外国諸機関からの要請に応えて、レファレンス・複写・貸出・書誌情報の交換等多岐にわたる協力活動を行っています。
換言すれば、国立国会図書館は国会に対する調査機能を併せもつ、国民のための大総合図書館なのです。
組織
国立国会図書館は立法府である国会に属し、衆・参両院議長、具体的には両院の議院運営委員会の監督のもとにあります。両院の議長は国会の承認を得て館長を任命し、館長は国務大臣と同じ待遇を受けます。同館は、中央館・国会分館・支部上野図書館・支部東洋文庫および行政、司法各部門の支部図書館35館とで構成されています。行政、司法各部門の支部図書館は、政府各省庁と最高裁判所に置かれており、収集資料の分担・文献の貸借および調査活動の協力を行いますが、この支部図書館制度は世界の国立図書館にその例を見ないユニークなものです。

主要コレクション
(1)憲政資料
19世紀後半以降の日本の近代政治発展の歴史を跡付ける文書類。政治家(伊藤博文、三条実美など)や外交官(陸奥宗光など)、軍人(斉藤実・寺内正毅など) そのほかの官吏や実業家など、日本の近代政治に関りをもった人々が所蔵していた日記・書簡等の文書類約20万点。
(2)法令、議会資料
わが国を含め60ヵ国の国会の議事録や官報・法令集・判例集・条約集など、和書約6万冊、洋書約10万冊から成り、国内における法令・議会資料関係の最も優れたコレクション。
(3)科学技術関係資料
わが国の科学技術関係情報提供の中核機関として、諸外国の科学技術関係雑誌約20,500種をはじめ、原子力・エネルギー関係リポート、外国博士論文などを広く収集しています。
(4)地図
明治時代以降、現在に至るまでの官製の日本の地形図・地質図・水路図のほぼ完全なコレクションなど、国内・国外の地図約25万点。
(5)音楽資料
日本国内で発行される音盤も納本されるため、所蔵の音盤26万枚は国内最大級である。
国立国会図書館の黎明期
国立国会図書館は昭和23年(1948)2月、「国立国会図書館法」にもとづいて設立され、同年には早くも建設に向けて「国立国会図書館建築委員会」が設置されている。その後、昭和28年、公開競技設計公募が行われ、翌29年、前川國男建築設計事務所(ミド同人)の作品が一等当選となり、昭和31年より第1期工事着工の運びとなった。6年の歳月を経て、昭和36年に第1期工事はぶじ完成した(約42,900㎡) 。同時に、それまでの仮庁舎であった赤坂離宮(現在の迎賓館)・三宅坂庁舎から移転をし、上野図書館から資料も移動した。 続いて、昭和41年第2期工事に着工 。この時、当社のコンゴー書架・大型雑誌架、和雑誌架・新聞架・マイクロフィルム架・地図引出架などが大量に採用されている。
東京・大阪に本社を置くあまたの書架メーカー、それも大企業ばかりとの競合に伍して、当時書架メーカーとしては無名に近く、あまつさえ熊本という一地方の中小メーカーであった当社が、激しい販売合戦の結果、受注に成功したことは現在でも業界の語り草になっている。そこには、“良い商品は必ず認めてもらえる”と云う、当社に今も脈々と流れている『高品質主義』の源流が見られるのではないだろうか。第2期工事は昭和43年に完成し、ここに地下1階地上6階建、延面積(73,477㎡)、中央書庫17層に450万冊の収蔵能力を擁する、世界有数の国立国会図書館が誕生したのである。そして、同年には、開館20周年記念式典が挙行されている。
新館 建設機運の高まり
昭和40年代における高度経済成長時代を背景として、わが国はいよいよ本格的な国際化への道をあゆみ、他方、技術革新は人々の目をみはらせ、そして教育・文化面での質の向上が叫ばれるなか、情報量は増加の一途を辿っていったのである。それはとりわけ図書出版において最も顕著にみられ、出版物の増加は予測をはるかに超えたものであった。情報化社会を目前にひかえていたのである。国立国会図書館では、このままいけば極めて近い将来に収蔵能力が限界に達すると思われ、また、現実に、基本的な機能である閲覧や文献情報等の種々の図書館サービスにも支障をきたしはじめた。このため、収蔵能力を増すと同時に、わが国唯一のナショナル・ライブラリーとしての機能の拡充の必要性から、新館建設の機運はいやが上にも高まっていったのである。


新館 建設の経過
- 昭和50年 新館建設基本計画の大綱決定
- 昭和53年 国立国会図書館建築委員会開催
新館の建設を推進することが決定 - 昭和55年 新館基本設計完了
敷地調査(測量、地質調査)完了 - 昭和56年 準備工事開始
起工式典挙行(11月)
本工事開始 - 昭和61年 概成
新館建設の基本的方針
新館の建設にあたって、昭和50年に将来計画調査会(委員長 国立国会図書館副館長)より次ののような「基本的方針」が答申されている。[1]新館には、資料の収集機能と文献情報の入力関連部門の集約を図る。[2]文献情報の効果的な活用をはかるための大規模な電子計算機システムの設置を行う。[3]資料の長期保存のための大規模書庫の設置及び本館との有機的機能の一体化を図る。この基本的方針をうけて、次の「基本的機能」が策定された。
①電子計算機システムをベースとして、国会情報サービスと文献情報サービスを充実強化し、わが国における文献情報のセンター的な機能の確立を図る。
②資料の収集整理と文献データの集約化と効率化を図る。
③最新情報の資料としての逐次刊行物の集中的管理運営を図る。
④配置計画は後述。
これら「基本的方針」及び「基本的機能」は、以後の計画を進める上での骨格となっている。
国立国会図書館新館 建築概要
所在地:東京都千代田区永田町1-9及び10
規模:敷地面積 29,812㎡
建築面積 6,081㎡
延床面積 72,942㎡
地下 30.13m
最高高さ 24.3m
※地下8階から地下5階までは仕上げの工事が未完了であり、今回の竣工等延床面積は48,395㎡
構造:地下8階~地下2階 RC造、地下1階~地上4階 塔屋2階 SRC造(一部S造)
設計監理:建設省建設大臣官房官庁営繕部、(株)前川國男建築設計事務所
施工:清水・高、安藤建設工事共同企業体
工期:昭和56年9月25日~昭和61年5月31日
総工費:227億6,000万円
建物の設備規模、特長
ここで、国立国会図書館の本館及び新館の設備規模・特長等についてまとめてみました。
Ⅰ本館
①中央書庫方式
②総面積: 73,477㎡
③書庫の収蔵能力: 4,500,000冊
④書架の総延長: 172km
⑤書庫棟は一辺45mの正方形になっており、地下2階~地上4階に17の層に分かれている。
⑥事務棟(閲覧室・事務室)は一辺90mの正方形で、書庫棟をぐるりと囲んでいる。
⑦書庫内は資料保存に適するよう、温度22℃・湿度55%に保たれている。
⑧書庫内の消火には二酸化炭素消火設備を使用する。
⑨資料の出納を迅速に行うため、気送管や書籍搬送用の垂直コンベアを採用。
⑩国会議員のための閲覧室・研究室は6階南側に集中配置している。

Ⅱ新館
①地下書庫方式
②総面積: 72,942m²
③書庫の収蔵能力: 7,500,000冊(完成時)
④書架の総延長: 240km(完成時)
⑤敷地に合わせて、本館の北側及び東側にかけてL字型に配置されている。
⑥閲覧利用者は東側広場より、本館東側出入口、新館出入口へとそれぞれ案内している。
⑦書庫は地下1階から地下8階までにすべてまとめられている。
⑧閲覧室・事務室・コンピュータ室は、地上1階から4階までの地上階に集約化されており、書庫ゾーンとの区分け

Ⅲ新館の平面計画
[1] 閲覧者と職員の動線交錯を避けるため、地上階を縦割りにした。閲覧ゾーンは東側・事務ゾーンは西側に区分されている。
[2] 閲覧者が一目で目的の閲覧室を確認できるように、エントランスホールから続く位置に1階から4階まで、吹抜けの大空間を設けた。
[3] 地下8階にわたる書庫での作業環境を快適にするため、書庫の中央部に最下層にまで光のとどく「光庭」を設け、自然光の導入を図っている。
[4] 本館との一体機能化のため、閲覧者用・職員およびメインテナンス用として、地上・地下の8ヵ所に渡り廊下を設けた。
Ⅳ新館地下書庫の立体計画
[1] 限られた敷地に大容量の書庫を設けるには、立体的に構成せざるを得ない。
[2] 閲覧ゾーンと書庫ゾーンを区分したい。
[3] GLマイナス26メートルに東京砂礫層があり、建物を安定した地盤に定着させたい。
[4] 将来の移動棚導入計画のため、書庫の積載荷重を1m²当り800kgに設定してあり、より安定した地盤が必要である。
[5] 書庫が地中にあるため外部熱負荷が年間を通してほぼ一定であり、書庫内空調条件が有利である。
[6] 書庫を地下に設けることにより、周辺の都市美観および本館への配慮が図れる。






Ⅴ新館書庫の書架設置計画
[1] 限られたスペースの最大活用を図るため、地下書庫の東・西位置に電動式移動書架を採用する。
[2] 移動書架の棚板の耐荷重は110kg/枚以上とする。
[3] 移動書架は耐震構造とし、収納物満載状態(棚板1枚当り積載荷重40kg)で、水平震動0.3に耐え得る上部転倒防止装置を設けるものとする。
[4] 電動式移動書架はその両端に操作パネルがある、いわゆる両面操作タイプとする。
[5] 安全面にはフェイル・セーフシステムを導入し、次の安全制御機構を設ける。
①使用外通路棚制御の自動ロック機構
②台枠安全バー機構
③走行制限タイマー機構
④過電流による回路保護機構
⑤安全回路解除スイッチ機構
⑥モーター過熱保護機構
⑦漏電ブレーカー機構
⑧停電時の手動式棚移動機構
[6] 地下書庫の中央部に主に固定書架を採用する。
[7] 収蔵能力のアップを見こして、将来、固定書架を容易に移動式に転換できるよう、ステンレス製のレール(埋込みタイプ)を設置しておく。
[8] 固定書架も不時のトラブルに備え、耐震装置を完備すること。
[9] 省エネ対策として、固定書架の通路内に人がはいった場合のみ、その通路の螢光燈が点灯する自動点滅機システムを導入する。
[10] 固定書架の一部にはオープンファイル型を採用する 。このタイプは仕切り板が自由に移動でき、スムースな資料の分類・保管が可能。
[11] 固定書架の支柱のカラーは方位によって色分けをする。これによって、作業者が現在どの位置にいるかの識別がより簡単になる。
[12] 書庫内には水平・垂直の書籍搬送設備を設け、資料の出納の迅速化を図る。垂直方向の書籍搬送は、現在日本では国立国会図書館だけである。

タピストリーは池田満寿夫氏制作の「天の岩戸」


<閲覧室・資料室案内>
第一閲覧室 第二閲覧室 | 本館2階 | 図書・雑誌の閲覧 |
第三閲覧室 | 新館1階 | 図書・雑誌の閲覧 |
一般研究室 (要承認) | 本館3階 | 図書・雑誌の閲覧 |
参考図書室 | 本館2階 | 辞書 事典 年鑑便覧 文献目録 |
新聞閲覧室 | 新館4階 | 新聞 縮刷版 新聞のマイクロフィルム 新聞切抜 |
科学技術資料室 | 新館3階 | 科学技術に関する参考図書 索引誌・抄録誌 外国の技術リポート類 |
官庁・国際機関資料室 | 新館1階 | 官庁資料の目録・書誌類 政府刊行の統計 外国官庁 マイクロ資料 国際機関刊行資料 |
法令議会資料室 | 本館5階 | 内外の官公報 法令集判例集条約集議会会議録 議事資料 |
特別資料室 | 本館2階 | 図書 マイクロ資料 移民資料 |
地図室 | 本館4階 | 1枚ものの地図(地形図 地質図 水路図など) 住宅地図 |
憲政資料室(要許可) | 本館4階 | 日本近現代政治史に関する文書類・マイクロ資料 GHQ文書マイクロ資料 |
図書館学資料室 | 本館3階 | 図書館学に関する資料 |
古典籍資料室(要許可) | 本館3階 | 江戸期以前の和古書 清代以前の漢籍 貴重書準貴重書 |
アジア資料室 | 本館3階 | アジア・中東地域諸言語の資料 アジア・中東関係の参考図書 |
音楽・映像資料室 | 本館2階 | レコード 楽譜 映像資料 |




<現状統計>(昭和61年3月末現在)
蔵書数 (昭和61年3月末現在)
・図書………………………4,317,173冊
・地図………………………254,520枚
・レコード……………….279,412枚
・マイクロフィルム…139,084巻
・逐次刊行物……………85,842種
国会に対する奉仕 (1年間)
・レファレンス回答……………17,503件
・閲覧図書数(貸出を含む)…..24,475冊
行政・司法部門に対する奉仕 (1年間)
・レファレンス回答……………4,240件
・貸出図書数(図書館内)……..10,675冊
一般公衆に対する奉仕 (1年間)
・レファレンス回答…………187,231件
・貸出図書数(図書館間)……1,174,460冊
・閲覧図書数………………….…490,575冊
・1日平均閲覧図書数…….…1,734冊
・1日平均閲覧人員…………..1,734人
利用案内
利用者:満20歳以上の人
閲覧:利用できる時間 9:30-17:00
資料請求票受付時間 9:30-17:00
複写:即日複写 10:00-15:30
後日渡し複写(月~金)10:00-16:30
レファレンス(資料案内): 9:30-17:00
休館日: 日曜日・国民の祝日・年末年始・毎月の第4水曜日(祝日の場合前日)
住所:〒100 東京都千代田区永田町1-10-1
TEL:(03)581-2331(代)
いま、国立国会図書館は、大いなる未来に向かって飛翔せんとしています。「図書館は後世に文化遺産を継承するため、今回新館が完成しても20年後には新たな計画を立てねばならない。新館は、その世代においても十分耐え得る施設として建設されている」(市野課長補佐談)に象徴されるように、常に、未来を先取りしながら国立国会図書館は歩んできました。設立の理想にある「日本の民主化と世界平和に寄与することを使命とする」国立国会図書館が、設立以来果たしてきた役割は、筆舌に尽くしがたいものがあると思量します。
「世界的にみても、その規模・内容からして、米国議会図書館(LC)やソ連のレーニン図書館に次ぐもの」(中野係長談)である同館が、これからも日本唯一のナショナル・ライブラリーとして、わが国に貢献されんことを要望します。この国立国会図書館の本館並びに新館に、当社の書架・移動棚が大量にご採用戴いていますことは、ほんとうに感慨深いものがあります。「読書は人生最大のよろこびである」はまさしく至言であり、人間に与えられた最大の文化的遺産である書籍が、当社の商品に収蔵されていますことを心から誇りに感じます。
参考資料
「国立国会図書館法」
「国立国会図書館案内」
「国立国会図書館の建築概要」
「National Diet Library Annex」
「営繕ニュース7 国立国会図書館新館」
「図書館雑誌」
(1987年2月18日季刊)