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発掘成果や体験交流等を通した縄文文化の発信

八戸市埋蔵文化財センター 是川縄文館


interview

内観
話し手:宇部 則保さん(八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館 副参事)
 

ー八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館の概要についてお伺いします。 
  
 埋蔵文化財センター是川縄文館(以下、是川縄文館)は、国の史跡である是川遺跡に隣接され、縄文出土品を現地で見学いただける施設です。これまで是川遺跡の施設として、是川考古館(昭和38年建設)、八戸市歴史民俗資料館(昭和50年建設)、八戸市縄文学習館(平成6年建設)がありましたが、施設が狭い上、老朽化も深刻になり、環境の整った保存と展示施設が求められることになりました。平成9年に「是川縄文の里整備基本構想」が策定され、是川縄文館の建設に着手し、平成23年に開館しました。  
 施設の大きな機能に2つがあります。1つが是川遺跡や風張遺跡を通して国内でも有名な八戸の優れた縄文文化を発信すること、もう1つは埋蔵文化財センターですので市内の埋蔵文化財の発掘・調査研究、出土文化財の記録・整理保存などを行いながら、市民への教育普及活動を行っています。 
 
 
外観
外観
 

ー是川縄文館の特徴についてお伺いします。 
  
 是川遺跡は低湿地だったため出土文化財の多くは木製品でした。木製品には漆塗りのものが多く、考古学的にも重要な場所になっています。その素晴らしい出土品を展示するに当たり、常設展示の構成では2つの柱を考えました。
 1つ目が美術工芸品のような展示手法を取り入れ、来館者へじっくりと見て頂きたいスペースと、もうひとつが発掘現場の再現をイメージさせ、遺跡の様子を学べるスペースです。さらに国宝の合掌土偶を展示する専用の部屋「国宝展示室」を設け、多くの来館者を魅了しています。常設展示には最新の調査研究の報告も展示し、市民や来館者が八戸の魅力を再発見し、誇りや愛着が感じられるように努め、埋蔵文化財の重要性を伝えています。 
 
 
常設展示室

常設展示室

 
常設展示室
常設展示室
 
国宝展示室
国宝展示室

 
  
ー館の体制についてお伺いします。 
  
 是川縄文館は埋蔵文化財センターですので、埋蔵文化財の保護と調査・研究、公開活用を担っており、2つのグループで構成されています。 1つは縄文の里整備推進グループで、展示や教育普及を担当、もう1つの埋蔵文化財グループは遺跡の発掘調査を担当しています。 
  
 

パネル

埋蔵文化財センター教育普及の説明パネル
 

ー施設作りに、考えたこと(配慮したこと、新しく採用したこと)は何だったのでしょうか? 
  
 是川遺跡に隣接する施設としての特徴をどのように出すかということがひとつのポイントでした。展示は、縄文の美をどのようにみせるかということ、また国宝である合掌土偶をどう象徴的に見せていくかということもいろいろ検討した点です。集客面ではより多くの方に利用して欲しいと思い、親しみや楽しんで過ごしてもらうように、カフェやミュージアムショップも併設されています。 
  さらに是川縄文館には約50名のボランティアが登録されています。館内外のガイドやさまざまな体験講座の指導に携わって頂いています。 
  
ー今回のテーマでは、「感動できる利用者サービスの工夫」を挙げています。貴館での取り組みを教えて下さい。 
  
 当館は是川遺跡、風張遺跡などの発掘成果をふまえた展示や体験交流等を通して、優れた縄文文化を発信していきます。また八戸市内の遺跡から出土した各時代の埋蔵文化財の積極的な公開・活用に努め、埋灘文化財保護の重要性を伝えていきたいと思います。 
 さらに現在、北海道と北東北三県による縄文遺跡群の世界文化遺産登録をめざした取り組みが進んでいます。世界に是川遺跡等の優れた縄文文化を発信していく大きな機会ととらえています。   

 
体験交流室

体験交流室
 
収蔵庫の見学窓

収蔵庫の見学窓
  
 
ー本日は貴重なお話をいただき、ありがとうございました。
取材・文:木本 拓郎(金剛株式会社 企画チーム)

八戸市埋蔵文化財センター 是川縄文館
所在地:青森県八戸市大字是川字横山1
開館時間:9:00~17:00
休館日:月曜日(第一月曜日・祝日・振替休日の場合は開館)、
    祝日・振替休日の翌日(土曜日・日曜日、祝日の場合は開館)、年末年始
観覧料:一般250円(団体130円)、高校・大学生150円(団体80円)
    小学・中学生50円(団体30円)※団体料金は20人以上の場合
URL: http://www.korekawa-jomon.jp/
設計監理:株式会社 岡設計

PASSION34表紙
この記事は「PASSION vol.34」に収録されています
 
 
 

 

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