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渋谷にこども図書館が誕生!

渋谷区立笹塚こども図書館


interview

内観
話し手:小林 惠美子さん(渋谷区立笹塚こども図書館 主査)

 
 
ー平成22年6月、笹塚こども図書館が開館しました。
 図書館の概要と経緯について小林様にお話を伺いたいと思います。

 学童館だった施設を改修し、子育て支援センターと併設した「こども図書館」として開設しました。私は初めての図書館勤務でしたが、長年福祉行政に携わっており、その経験は子どものための図書館づくりに活かせるのではないかと思いました。区で「こども図書館」を作るのは初めてですので、まず区の教育関係資料や図書館に関する書籍を読み、この図書館に望まれるものは何かを自分なりに考え、コンセプトをまとめていきました。また周辺に保育園、幼稚園、小中学校があり、子育て世代も多いという地域性を活かしていこうと考えました。同時に評判の良い図書館や有名書店、逆にあまり評判の良くない図書館や閑散とした書店等も見学して両者の違いについて調べたり、図書館展や各種セミナーに参加する等できる限りの情報を集めたり、図書館づくりの参考にしました。


ーこちらの図書館の特長を教えて下さい。

 この図書館は3つの部屋に分かれています。これは学童館だった時のレイアウトを活かしたもので、それぞれ「もりのへや」「きょうりゅうのへや」「ほしのへや」と名づけ、部屋毎に特色を持たせました。
 「もりのへや」は乳幼児と保護者の部屋です。「ぐりとぐら」の物語にでてくる世界をイメージして書架や家具の下絵を描き、作製してもらいました。親子が絵本を介して触れ合えるよう、1組ずつ腰掛けられるベンチを採用しました。もちろん、ただの椅子ではなくフラワーカップ型、ログハウス型、丸太型と何か物語に出てきそうな夢のある形をデザインしました。ログハウス型はお父さんに人気があるようです。ウェーブ型の中置書架では「魅せる展示」を心がけています。絵本の表紙には絵画や美術品のように視覚を通して感性に訴える力があります。ぎっしりと並べるのではなく、表紙を見せ、手に取りやすくすることで本を好きになってもらいたいと考えています。「きようりゅうのへや」は主に児童が利用する部屋です。様々なジャンルの図書を揃え、自山に読書や学習ができます。部屋の出入口の床には実物大の恐竜の足跡をプリントしています。こういうことに関心をもった子ども達が詳しいことを図書館の本で調べてみようと思うことで、調べ学習へつながっていけたらいいと思っています。「ほしのへや」はお話し会やクリスマス会等のイベントに使っています。イベントの時などに照明を落とすと、壁一面に星空が現れる工夫を凝らしています。仕掛け絵本を手にとって見られるのもこの部屋です。
 
 
 


 
きょうりゅうのへや
 
 

 
もりのへや
 
 

 
ほしのへや
 
 
ウェーブ型の中置書架で「魅せる展示」
 

 
絵本の表紙を見えるように展示することで視覚を通して感性に訴える
 

 また本を通じた利用者とのコミュニケーションも大切にしています。明るい挨拶や丁寧な対応はもとより、積極的に声をかけて本の探し方や図書館の使い方を説明しています。子ども達には、図書館利用の仕方やマナーについても身に付けて将来の財産にしてもらいたいと思っています。カウンター横のおたよりBOXの手紙は、コメントをつけて「おてがみありがとう」掲示板に貼っています。スタッフ手作りのサインや折り紙・切り絵・人形等で飾られた書架は利用者に好評で、作り方を聞かれるなどコミュニケーション作りに一役買っています。当館の人員構成ですが、区の職員は2人だけで、スタッフは民問企業に委託しています。皆さん熱心な方ばかりで、「こども図書館」という新しい試みに対し、職員とともに積極的に取り組んでいただいています。
 
 
「おてがみありがとう」掲示板
 

ー開館後の反応はいかがでしょうか。

 利用者は現在のところ平日1日当り70人程度、土日祝日は100人以上になります。毎週土曜日の午後3時から行っているお話し会には毎回30人近くの参加があります。参加すると自分で選んだシールをシール帳に貼ることができます。子ども達もシールがだんだん増えていくのを楽しみにしているようです。
 また近隣の保育園等を訪問し、お散歩の際に立ち寄っていただくよう提案して、コースに入れてもらいました。来られたお子さん方にはスタッフが読み聞かせをしています。もちろん、併設している子育て支援センターとも連携を進めており、現在は月2回、10分程度のショート読み聞かせ会を行なっています。その際にお母さん方に読み聞かせのアドバイスなどもしています。

ーこれからの取組みはいかがでしょうか。

 今後は図書館が主催して子育てに関連したワークショップなども企画していきたいと考えています。開館してまだ間もない図書館ですが、これからもスタッフと案を出し合って共に充実させていきたいと楽しみにしています。
 
 
小林主査
 

ー本日は貴重なお時間とお話をいただきまして、ありがとうございました。

取材・文:木本 拓郎 金剛株式会社 企画チーム
※所属・役職は取材当時のものです
(2010年)

渋谷区立笹塚こども図書館
所在地:渋谷区笹塚3-3-1
TEL:03-3378-1983(代)
URL: http://www.lib.city.shibuya.tokyo.jp/hp/intro_kan10/top/kan-sasako-top.html

PASSION33表紙
この記事は「PASSION vol.32」に収録されています
 
 
 

 

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