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24時間開放の『BIBLA Kasumi』オープン

広島大学 霞図書館


interview

ラーニングコモンズ
話し手:萱野 靖子さん (広島大学図書館 図書学術情報普及グループ 広島地区フロアサービス主担当) ※所属・役職は取材当時のものです。
 
 
 

関連記事:広島大学 霞図書館 納入事例紹介ページ

 
ー広島大学霞図書館の概要について教えてください。 
 
 広島大学の図書館は中央図書館、東図書館、西図書館、霞図書館、東千田図書館の5館に分かれており、ここ霞図書館は、医歯薬保健分野の学部や病院を有する霞キャンパス内にあります。収容冊数は約15万冊、面積は2,382m2です。 
 
ー医学部・病院地区の図書館ならではの特徴や取組みはありますか。 
 
 広島市内にあり、一般市民の皆さんにも公開されていて、なおかつ大学病院と敷地を同じくすることから、他の分館よりも利用者の層が広いのではないかと思います。一般の方や学生さん・研修生の皆さんだけでなく、病院の先生方も利用されます。時には医療系のデータベースを使ったサービスをしたり、データベースの使い方を利用者に教えたりするなど、高度で専門的なレファレンスを求められることもあります。現在、レファレンスを含めたサービスには常勤・非常勤合わせて4人の体制で対応しています。国家試験の時期は学生さんたちもナーバスになりますので、図書館職員もなるべく音を立てないように配慮するなど、医者を目指して勉学に励む学生さんたちが通う図書館ならではの注意事項もあります。また、本学では、授業の理解を深める上で是非読んで欲しいと思う資料や参考にして欲しい資料を授業担当教員が選定して、学生の皆さんがいつでも利用できるように図書館に配置するコースリザーブという制度を、中央図書館、霞図書館、東千田図書館で取り入れています。霞図書館でもこの制度を利用して下さる先生が多いように感じています。講義やゼミの中で図書館を利用して下さったり、図書館の利用ガイダンスを授業に取り入れて下さったりすることもあります。
 
ーラーニングコモンズを新たにはじめたと伺いました。開始に至った経緯と、取り組みの概要を教えて下さい。 
 
 広島大学の中期目標の中に「学修環境の整備」という項目があり、その目標の元、2010年に中央図書館にBIBLAというスペースを設置しました。これを皮切りに、その他の館でもラーニングコモンズの整備を進めてきました。現在は、中央図書館のBIBLA、東図書館のBIBLAEast、霞図書館のBIBLA Kasumiが整備されています。ここ霞図書館でも館内を一部改修して、2013年9月30日よりBIBLA Kasumiをオープンしました。ここにはグループ学習のために使いやすい机とパーティション、ホワイトボードやパソコンを設置しています。また、同年11月からはBIBLA Kasumiの24時間利用サービスを試行で開始、翌2014年4月からは本運用しています。昼間は一般の方にも全館を公開していますが、授業期平日の夜間は、霞キャンパスに籍を置く学生・教職員を対象に、BIBLA Kasumiの24時間利用を可能としています。無人開館中の安全確保については、ICカードによる入退室や防犯カメラの設置、大学で契約している警備員の巡回コースに霞図書館を入れて、緊急時には対応していただくことで実現しています。
 
※BIBLAは、ドイツ語で「図書」を意味する「Bibliothek」と「広場」を意味する「Platz」を繋いだ造語。 
 
無人の図書館

無人開館中はアコーディオンカーテンで書架スペースと閲覧スペースを仕切る。

 
 
ーBIBLA Kasumiの新設にあたって、工夫した点やこだわった点はありますか。 
 
 机選びにはこだわりました。医歯薬保健分野の授業ではグループ学習や課題解決型の学習を積極的に展開していて、BIBLA Kasumiではそういった学習時のディスカッションやプレゼンテーションのできる空間を提供したいと考えていました。そのため、何人でも利用しやすいように、机の組み合わせが柔軟にできるものを探しました。L字型の机等、数種類の机を吟味した末、組み合わせ方のバリエーションが豊富なV字型のものを選びました。また、明るく尚且つ落ち着いた空間になるよう床や壁の色、椅子の色の組み合わせにもこだわりました。 

 

v字の机を三つ組み合わせたもの
V字型の机を3つ組み合わせたもの。
 
 

ーBIBLA Kasumiをオープンしてみて気づいた点はありますか。また、反響はいかがでしょうか。
 
 こだわって選んだV字型の机は、実際に6個ほど繋げて大人数で使っていたこともあります。授業の前後と思われる学生さんたちが資料やパソコンを囲んで、あるいはホワイトボードを使って議論している場面も見かけるようになりました。ある学生さんに聞いた話では、2年生になってグループ学習の機会が多くなり、ラーニングコモンズをよく使うようになったという事です。ラーニングコモンズを利用する際、人数が多いので椅子の数がもっとたくさんあるといい、という声もあり、椅子だけを10脚増やしました。夜間の利用も多いと感じています。試験期間には、BIBLA Kasumiの他に1階の閲覧席も24時間利用可能にしますが、ロビーのソファを使っている時もあります。家に帰る時間も惜しんで勉強したいのか、「宿泊施設をつけてほしい」という希望を頂いたこともあるほどです。(笑)一方で、席取りをする人や夜中や朝方に椅子を並べてその上で眠ってしまう人、机を汚したまま帰ってしまう人、大声で雑談をする人などがいて、マナーとしてはどうかな、という面もあります。職員がいる時でも、どこまで大声を出したら注意するか、判断基準に悩むこともあります。例えば、ディスカッションの合間に雑談がメインになってしまったとしても、それを私語と見なして禁止してしまうと、議論自体も進まなくなってしまうこともあります。当館なりに利用者の学習の妨げとならないルールと対応方法を作ることが今後の課題でもあります。 
 
ーその他、今後の展望を教えて下さい。
 
 専門家と連携しながら、非常事態もふまえた夜間の安全体制をさらに強固なものにし、より一層安心して学習に集中できる環境を作っていきたいと考えています。無人開館中の図書館資料の利用や貸出については現在行っていませんが、利用者からの希望はありますので、今後も検討課題となりそうです。 
  

ー本日はありがとうございました。 

取材・執筆:原田 亜美 金剛株式会社 社長室
※取材当時 

PHOTO GALLERY

外観

PC席

1F 閲覧席

1F 閲覧席

2F 開架書架

広島大学かすみ図書館の皆さん(右端が萱野さん)

広島大学 霞図書館
所在地:広島市南区霞一丁目2番3号
開館時間:ホームページにてご確認ください
休館日:ホームページにてご確認ください
URL: http://www.lib.hiroshima-u.ac.jp/index.php?page_id=200

PASSION37表紙
この記事は「PASSION vol.36」に収録されています
 
 
 

 

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