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LOGISTICS NOW1993 一貫パレチゼーションの実現

金剛株式会社

ユニットロードシステムの主軸、一貫パレチゼーション。 物流合理化をもたらし、輸送現場の人手不足、 環境問題の解決となるその導入は、絶大なる効果を認められながらも、経済活動の本質を見直す改革であり、各界への影響も大きいだけに、ぜひとも実現させたい。官公庁をはじめ、推進を望む声、実現に懐疑的な見方、猛烈な反対意見など、さまざまな思惑が絡み合い、賛否両論、盛んに討議されてきた。 その焦点は一貫輸送 用のパレットサイズ、T-11型と呼ばれる1,100×1, 100mmを唯一の規格とする標準化である。

すでにT-11型以外のパレットで独自のユニットロード化を実施し、効果を上げている業界にしてみれ ば、T-11型への統一はシステムの変更と更なる設備投資を強いられるというデメリットが大きい。しかし、T-11型パレットの将来性を見越して、すでに長期間利用し、一貫パレチゼーション化の準備を進めている企業も多い。また、T-11型パレットとは関係の薄い、いわばイレギュラーサイズの製品を生産している業界では、いまひとつ関心も薄い感じがする。

だが諸般の動きを見ても、ユニットロード化・一貫 パレチゼーション化は時代の要求であり、企業・業界なりの結論を出さなければならない段階に来ていると 言えるだろう。

今号では、二年前(PASSION vol.9)のレポートに引き続き、ユニットロード実現へのシナリオを、先導 役である通産省・運輸省の政策を中心にまとめてみたい。

1.通産省の融資、税制支援策

新JIS規格案の「ユニットロードシステム通例」の枠組みが決まり、T-11型への統一が決定した。しかし、これはあくまでT-11型を中心にした物流システム・機器などの標準化のよりどころとなるものであ り、これ以外のJISパレットを否定するものではなく、規制力・拘束力で押しつけるという性格の政策で はない。ユニットロードの実現は、あくまで企業・業 界自身の努力がポイントとなる。その姿勢を支援するものとして、通産省では2方面からの政策を整え、「市場のメカニズム」に適合した、下からのユニットロードを目指す構えだ。 主な政策は、(1)金融上の措置(表 1)、(2)税制上の措置(表2)がある。

(1)金融上の措置(日本開発銀行、北海道東北開発公庫からの融資)表1
(2)税制上の措置 表2

2.運輸省の啓蒙推進政策

近年話題のモーダルシフト。 モーダルシフト (MODAL SHIFT) とは、トラック輸送一辺倒の交通形態を、鉄道・海運などを効率的に組み合わせた形態へと転換し、複合物流システムを構築することで、構造的な若年労働力不足、地球環境の問題に加え、交通渋滞と排ガス規制など、トラック輸送における大きなマイナス要因の緩和・解決のための手段とすべく、運輸省では重要政策として数年前より推進を図ってきた。そのモーダルシフトを進める上でも、他の諸問題を解決する上でも、ネックとなる一貫パレチゼーションに、通産省とともに本格的に取り組んでいる。  

現在、通産省が荷主業種を中心とした一貫パレチゼーションを進めているのに対し、運輸省では輸送する立場、すなわち物流事業者の視点に立ち、啓蒙・教育を中心に、意識改革による一貫パレチゼーション化を目指す考えだ。その主な活動は (1) から (4) (表3~5)。今後は両省を初め、他官庁の相互協力のもと、一貫パレチゼーション実現への環境が整うと見られる。

(1)モデル事業者の選定と一貫パレチゼーションの実験研究(平成3年度)

(2)業界団体への指導 表3
(3)マニュアル・パンフレットの発行 表4
(5)運輸事業進行助成交付金 表5

3.政府の景気対策税制

上記以外にも平成5年6月、政府が決定した景気対策の中にも、一貫パレチゼーションなど、諸問題解決のための優遇措置が含まれている。

表6

参考文献 「無人化技術」

(1993年11月30日刊行)