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(注意)本記事は、金剛株式会社が1992年4月23日に発行した機関誌「PASSION VOL.9」の内容を、当時の記録として公開するものです。記事内の情報は発行当時のものであり、現在の状況とは異なる場合があります。また、当時の社会情勢や倫理観を反映した表現が含まれている可能性があり、現代の基準に照らし合わせると一部不適切と感じられる箇所もあるかもしれませんが、資料的価値を考慮し、原文のまま掲載しています。掲載されている商品やサービスは、既に販売・提供を終了している場合があります。
本記事は、著作権法上の引用の範囲内で掲載しています。当時の記録として、皆様に楽しんでいただけましたら幸いです。
パレットプール・レンタルの効用
一貫パレチゼーション拡大の最大の難点はパレッ トの回収にある。多大な返送コストの負担、パレットは使い捨て覚悟か、構内のみでの使用かになり、企業が各自で回収をすることは難しい。そこでバレット運用法の1つである「パレットプールシステム」 が注目されている。
- バレット交換方式: プール加盟者が統一規格の パレットをそれぞれ所有し、互いに交換しながら使 用する。 良心によって成り立つが、コストを抑えるため、材質的・技術的に低くしたり、修繕を行なわなかったりという欠点を持つ。しかし、メリットが大きいためヨーロッパでは広く普及している。
- パレットプール会社によるテンタル方式: パレットの作成・管理・修繕をプール会社が行ない、貸 し出す。借りた企業は発送先を連絡するだけでよく、 パレットはプール会社が引き取りに行くか、発送先が借りるパレットにスライドする。商品なのでパレットの質は常に保たれ、借りる側も借りている間は料金がかかるので管理を正確に行なうメリットがある。
現在日本にあるパレットレンタル会社は2つ。本来は、政府の援助によりある程度まで整備されてから民間ベースに経営を移すのが理想的であるが、この両者とも民間であるために利益が必要であり、大幅な推進が計れず、統一されたパレットプールシス テムがなかなか全国に普及しないのが現状である。また、パレットプールシステムにはパレットの統一が不可欠であり、今後のT11型の普及が期待される。
一貫パレチゼーションとシートパレット
パレットプール・レンタルシステムと並んで、関心を集めているのがシートパレットの利用である。従来のパレットと比較し、低価格、保管効率がよい。安い回収コスト、貨物の積載効率(約10%増)、耐用 年数が同等かそれ以上、耐水性・耐カビ性に富み衛 生的などのメリットがある。シートパレットの荷役 にはプッシュプルアタッチメントが必要である。以前は価格・操作性に懐疑的な意見もあったが、現在 では改良が進んでいる。
また一貫パレチゼーション化において、シートパ レットと従来のパレットの併用が有望視されている。 ユニットロード化を進める中で、物流機器システ ムを提供する側も改めるべきだという意見がある。 安易にユーザーの希望通りに、標準化の努力なく規格外の荷姿を基準としたシステムを作成してしまう というものだ。確かに、ユーザーを満足させるのが メーカーの立場だが、目先の利益より将来の展望を アドバイスできる実力が時代の要求と言える。以上のように多くの困難はあるが、一貫パレチゼーションが軌道に乗れば、長い眼で見たコスト削減が期待できる。また、日本のパレット輸送の活発化により、パレット・パレタイザーなどの周辺機器・ フォークリフトの市場拡大が望め、物流機器メーカ 一も製品の規格化を進めることができるという派生的効果も予測されている。そのためにはユーザー・ メーカー・輸送業者が一体となった努力が何より必要である。
(1992年4月23日刊行)