COMPANY
私たちがお届けする商品は、いずれも専門的な知識と卓越した技術を持つ作り手の皆さまによって生み出されています。
商品の機能性や品質はもちろん、その背景にある「作り手の想い」までお客様にお伝えしたい——。
そんな想いから、このたび新シリーズとして、作り手の皆さまへのインタビュー記事を連載形式でお届けする企画をスタートしました。
どのようなこだわりを持ち、どのような課題と向き合いながら商品を開発しているのか。
その貴重なお話を伺い、ご紹介してまいります。
本企画が、商品をより深くご理解いただき、末永くご愛用いただく一助となれば幸いです。
第一回は、文化財保存修理の分野で活躍する「株式会社修護 様」にご登場いただきます。
商品開発の背景や、道具に込められた想いを伺いました。

[寄稿・ご回答] 株式会社修護 代表取締役 池田 様
[構成・編集] 金剛株式会社 保存と展示の専門店『筧-KAKEHI-』 岩田
※所属・役職はインタビュー当時のものです。
目次
貴社の、文化財の保存・修復事業における特徴やこだわりをお聞かせください。
弊社は「文化を護る」を企業理念に掲げ、2011年に東京・上野の地で創業し、主に装潢(そうこう)分野の文化財*に対する保存修理を専門におこなっています。掛軸や屏風などに仕立てられている伝統的な書画類を中心に、近年では洋紙製の印刷物や洋装本など、多様な文化財にも対応しております。
修理においては、最新の光学機器による調査・分析を活用しつつも、伝統的な技術、材料、道具を駆使して作業をおこないます。日本に古くから伝わる和紙や織物、刷毛・筆など、装潢文化財に関わる素材や道具なども日本文化の証として捉えており、弊社では文化財を修理するだけにとどまらず、こうした伝統技術や材料の継承にも力を注ぎながら、日々の業務に取り組んでいます。
*装潢分野の文化財…主に紙や絹を基底材とし、墨や絵の具で描(書)かれた文化財。東洋の絵画、書跡・典籍、および歴史資料類を指す。

主力商品の魅力や強み、また商品化の背景や開発時のこだわりなどを教えてください。
このたびご紹介するのは、装潢分野の文化財修理に欠かせない道具のひとつ、「竹べらセット」です。修理技術者は、自ら竹を削り、手になじむ複数のヘラを使い分けながら、脆弱な紙を「めくる」「押さえる」「撫でる」といった場面で使用します。まさに指先の延長として機能する、重要な道具です。

こうしたプロ仕様の道具は、学芸員など修理を専門としない方々からも求められることがあり、また、特に欧米では竹そのものの入手が難しいため、海外からのお問い合わせも増えておりました。しかしながら、竹を調達して一から削り出す工程は、現実的に困難な事情もございます。このような声にお応えし、文化財を安全に扱うための製品として「竹べらセット」を商品化いたしました。製作にあたっては、伝統工芸である竹細工を生業とする若手職人にご協力いただき、文化継承活動の一環として開発いたしました。
大・中・小の3本セットに調整用の紙ヤスリを同梱しており、ご自身の手に合うように最終調整もしていただける仕様です。お蔭様で、文化財関係者のみならず、図書館やアニメ制作会社様など多様な分野からもご好評をいただいています。
こうしたプロ仕様の道具は、学芸員など修理を専門としない方々からも求められることがあり、また、特に欧米では竹そのものの入手が難しいため、海外からのお問い合わせも増えておりました。しかしながら、竹を調達して一から削り出す工程は、現実的に困難な事情もございます。このような声にお応えし、文化財を安全に扱うための製品として「竹べらセット」を商品化いたしました。製作にあたっては、伝統工芸である竹細工を生業とする若手職人にご協力いただき、文化継承活動の一環として開発いたしました。 大・中・小の3本セットに調整用の紙ヤスリを同梱しており、ご自身の手に合うように最終調整もしていただける仕様です。お蔭様で、文化財関係者のみならず、図書館やアニメ制作会社様など多様な分野からもご好評をいただいています。
今後の展望と、貴社の経験や技術を活かして社会に届けたい価値や想いをお聞かせください。
私どもがこれまで培ってまいりました経験と、文化財保存修理の現場で築いてきた専門的なネットワークを活かし、貴重な文化財を未来へと受け継ぐお手伝いができましたら何よりの喜びです。とりわけ装潢分野の文化財修理は、多くの職人、技術者、さらには素材の生産者といった方々に支えられて成り立っております。私たちが日々用いている道具や材料は、いずれも文化財に直接触れるための厳しい基準を満たし、最高水準の品質を備えたものばかりです。
こうした高度な技術や材料の結晶を、専門分野以外の方々にも身近に感じていただけるよう、これからも丁寧なご紹介と発信に努めてまいりたいと考えております。
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このたびは貴重なお話をお聞かせいただきましてありがとうございました。
道具に込められた、計り知れないほどの想いと技術。 皆様も、その奥深い世界に触れてみてはいかがでしょうか。
ぜひ、その手触りや使い心地を通して、背景にある継承への想いを感じてみてください。
さて、作り手の情熱を巡る旅はまだまだ続きます。次回のインタビューも、どうぞお楽しみに。
【竹べらセット】