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PASSION VOL.37 November.2015

神奈川学園中学校・高等学校神奈川学園中学校・高等学校

神奈川学園中学校・高等学校

受け継がれる“社会の中の誰かのために力になる”精神

話し手:湊谷 利男(神奈川学園中学校・高等学校 校長)
     松井 淨 (神奈川学園中学校・高等学校 理事)
     唐澤 智之(神奈川学園中学校・高等学校 司書教諭)
     西村 賢子(神奈川学園中学校・高等学校 司書)
聞き手:永沼 麻子(金剛株式会社 社長室)


 
―神奈川県内屈指の伝統校である貴校ですが、昨年(20 14年)創立100周年を迎えられたそうですね。
 
 はい。創立100周年プロジェクトとして100年史の作成、講演会、式典など行いました。また記念建築の一つとして新図書館を建設しました。
 以前は校舎の一角にあったのですが、新図書館は複数ある校舎の中心に位置します。図書館は学習行事や自学自習でも使用しますし、教育を支援する拠点でもあります。中学・高校どの校舎にいる生徒でもアクセスしやすい場所に建設しました。 
新設にあたり館内の家具を一新しましたが、書架には防災を意識し、「 傾斜スライド棚」を採用しました。揺れを感じて棚板が傾斜し、書物の落下を抑える機能を備えた棚です。

傾斜スライド棚

 本校は女子校ですので、身長の低い生徒も少なくありません。落下物に対してはより注意する必要があります。傾斜スライド棚の導入により、棚本体も大きく揺れる様な地震の際でも棚板が傾斜するので、書物が落下する心配がなくなりました。
 
―家具を一新するにあたり、防災を意識されたのには理由があったのでしょ うか。
理由は本校の歴史にあります。本校は現在の校地で二つの震災を経験しました。一つは2011年の東日本大 震災、もう一つは1923年の関東大震災です。
 関東大震災の教訓もあり、以前から防災を意識して毛布や食料の備蓄をしていました。東日本大震災以降は、より万全を期するために家具や備品の整備など学校をあげて防災に取り組んでいます。
 
―貴校の歴史的背景から、防災への意識が以前より高かったという訳です ね。関東大震災での被害はいかがだったのでしょうか。
 
 本校は「土丹」と呼ばれる固い地層の上に建っています。そのお陰で、横浜一帯が火災や建物の倒壊で壊滅的な状況の中、本校の木造校舎は一棟も倒れませんでした。そのため宮内省救療班本部に校舎を貸し、避難所として被災者救護の拠点となりました。
 また当時の生徒は横浜市役所の委託で、被災者に支給する蒲団1万2000枚をわずか20日間で手縫い製作しました。
 この社会奉仕活動は現在でも伝説の様に生徒たちに伝えられています。そして、東日本大震災を経験し、そ の伝説と自分たちを重ね合わせ、“自分たちに何ができるか、何をしていこうとするのか”を自然と考える様になりました。

半年間校内に設けられた宮内省救療班

震災見舞品の蒲団製作模様


た生徒たちにとっては、自分自身と向き合う機会にもなりました。まずは「今の生活をしっかりと送ること」「日頃から災害に対する心構えや備えをきちんとしておくこと」そして「限られた中でも何ができるを考え、実践しようとすること」が大切だと学びました。
現在は「被災地の事を忘れず学び、考えつづけ、被災地のために出来る事をする」を大事に、生徒主体で活動を行っています。
 例えば文化祭の売上げの寄付、幼稚園への手作りおもちゃの贈呈、現地か らの要望に応え、小学校への図書の寄付などです。図書は寄付するだけでは なく、おすすめのコメントを書いたポップと一緒に贈っています。
 
―先輩方の社会奉仕精神が今でも 受け継がれているという事ですね。
 はい。昨年度の創立100周年記念式典で生徒会が発表した「私たちが受け継 いでいきたいこと」の一つが“ 社会の中の誰かのために力になること”でした。
 一 昨年からは被 災地となった南三陸町を訪問し、ボランティア活動を行って います。今年は約100名が参加し ました。
 そこで得た情報や体験はクラスや各委員会で伝えられ、多くの生徒の中で共有されています。

「ビーチクリーン」ボランティア


―以前より備蓄をされていたとの事でしたが、東日本大震災ではいかがでしたか。
 
 その 日は試験の最終日で、校内には部活の生徒が約200名いました。またPTAの講演会があったため保護者と教員、そし て避難してきた卒業生を合わせ、約300名が一夜を明かしました
 震災の数年前より「大規模災害が発生した場合は、どうにかして生徒を自宅 に帰す」という方針から「安全 が確認されるまで学校に泊める」という方針に180度変更し、準備を進めていました。
 幸い当日は電気・水道が使えましたので大きな混乱はなく、備蓄で炊き出しを行い、夜も宿泊者全員が毛布で休む事ができました。
 保護者との連絡もメーリングリストが出来上がっていたので、生徒の無事をメールとホームページにて数回発信しました。保護者の方々にも安心して頂く事ができ、後日感謝の言葉を 頂きました。
 また、電源を入れないという規則のもと、生徒 にも携帯電話の所持を認めていたので、保護者と直接連絡を 取る事ができました。学校としてもできる限りの対応ができたと思います。
 今回の震災では学校と生徒・保護者間での情報の共有の大切さを痛感しました。

震災当日 教室内で休む生徒たち

 

防災毛布は900枚あった


―貴校ではどの様な防災訓練を行っているのでしょうか。
 
 授業中に地震が発生したという設定で訓練を行います。各々がいる場所からホームルームの教室へ戻るという流れです。実際 に備蓄倉庫まで行き、手順も確認します。この通常避難訓練とは別に、登下校中に大規 模地震が発生した時のシミュレーション訓練も行っています。
 本校は堅牢な地盤にあり、海抜も19.4mと高所にある事から、登下校中の災害時には学校に向かうことを基本としています。そのため、行政が発行している横浜の震度予想マップや浸水予想マップを見ながら、実際の地形を思い浮かべてどの場所が安全かをシミュレーションします。
 また、海抜の記載されている地図に駅から学校までの自分のルートを記入し確認しています。

行政が発行している浸水予想マップ

駅から学校までの安全なルートを記入


 
―東日本大震災を受け、今後の貴校の展望を教えてください。
 
 東日本大震災当時は全校生徒の3食分の備蓄がありました。現在は5食分です。全校生徒1200人を3日間に渡って守りきれる様、食糧だけではなく、発電機や毛布・寝袋など一層の装備拡充を図っています。
 また、横浜市から災害時に施設の一部を避難所として開放する様、要請を受けています。生徒のエリアと区 別できる体育館や講堂を開放する方針で話を進めています。
 一方生徒も、文化祭など校外の人が集まる行事の際の避難マニュアルを作成すべく、生徒会を中心に準備を進めている所です。
 被災地訪問やボランティア活動も継続していきます。
 これからも“身近な人だけではなく、目に見えない社会の誰かのために力になれる人”の育成を目指していきたいと思います。
 
―貴校の歴史、そこに脈々と受継がれている社会奉仕精神や防災への取組みは興味深く、参考になりました。貴重なお話をありがとうございました。

PHOTO GALLERY

松井理事  湊谷校長   唐澤先生   西村先生 


 

 

 
 

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