[木本]くまもと森都心プラザがオープンしました。再開発事業の視点から経緯と位置づけについてお話を伺います。
 
[倉永]はじめに、くまもと森都心プラザの概要を申しあげますと、地下1階･地上6階建ての再開発ビルです。約34万冊の収蔵能力を持ち、全国初のビジネス支援センター併設の図書館や約500席のホール、駅前の玄関口としての観光･郷土情報センターを配置しています。
 
再開発事業については、平成16年に組合施行から市施行に転換し、駅周辺の整備については平成17年に熊本県と熊本市が熊本駅周辺都市整備計画を策定しました。熊本駅東口の正面に位置する東Ａ地区では、市が事業主体となって民間の活力を活かした市街地再開発事業を進めることになります。
 
平成23年春の九州新幹線の全線開業、政令指定都市の指定を見据えて、平成19年3月に情報交流施設基本計画を策定し、くまもと森都心ﾌﾟﾗｻﾞの概要力檀とまります。｢人、清報、文化が交流し、豊かさと活力を生み出す情報交流拠点｣を基本コンセプトとし、訪れる人の好奇心をくすぐる｢知の拠点｣を目指すことを打ち出しました。この｢知｣をキーワードに図書館とホール、観光･郷土情報センター等の複合施設を整備することになりました。
 
再開発事業の民間事業者は、公募による事業提案競抜によって、森ビル都市企画㈱を代表構成員とするAbility11グループに決定しました。施設の内装工事は、地元の建設業者が請負っています。
 
 
[木本]くまもと新都心プラザに新図書館が開館しました。
 
[倉永]熊本市立図書館に言及すると、分館･公民館図書室を含めると18箇所のネットワークを有します。開館して約30年経ち、これまで市民の皆様から新たな図書館整備についての要望を受け、市議会にて議論いただいていましたが、具体的な計画には足踏みしていました。
 
平成18年3月に｢(仮称)熊本市図書･情報センター基本計画｣を策定しましたが、議会の理解を得られず平成19年3月に｢情報交流施設基本計画｣を新たに策定し、新しい図書館運営(設備･サービスも含む)の具体策を検討しました。当時、全国の先進館では「IT･システム化｣｢指定管理者｣｢ビジネス支援｣等の運営が進展し、それらの施設･運営を視察することで、見識や知識を高めていき、具体的な計画立案の参考になりました。
 
 
[木本]今回の施設運営は、指定管理者を導入されました。
 
[倉永]図書館の運営においては、直営･業務委託･指定管理者の運営手法について、市議会をはじめ準備室においても多くの議論の時間を費やしました。コストパフォーマンスの比較を行いながら、最終的には熊本市長が東京･千代田区立図書館を視察し、運営状況に感銘を受け、指定管理者の導入に正式なゴーサインを打ち出しました。応札の結果、6社の共同企業体が指定管理者として運営します。
 
指定管理者の運営仕様書作りや応札、契約や打ち合わせの各プロセスには、多くの課題にぶつかりました。
 
 
[木本]課題とはなんだったのでしようか。
 
[倉永]指定管理者の応募頂いた民間事業者の提案はすばらしい内容ばかりです。しかしながら、実際のサービス･運営に当たり、公の立場、民の立場にギャップがありました。熊本市では複合施設の指定管理者制度を導入したのは今回が初めてです。前例もなく、そのギャップを埋めていくのに、協議の積み重ねで解決していきました。
 
今回の施設運営には市の駐在職員はゼロですが、指定管理者のチェック･モニタリングは定期的に実施していきます。基本的には月1の定期ミーティングのなか可課題解決に取り組んでいきたいと思います。
 
 
[木本]最後に、今後の期待･展望について伺います。
 
[倉永]平成23年10月に図書館、ホール、観光･郷土情報センターが開館し、平成24年春には民間テナント35階建て高層マンションなどの再開発地区全体がグランドオープンします。正直、指定管理者の導入に関して期待と不安はありますが、最終的には多くの方々に喜んで利用いただければと思います。
 
周辺地区の住民をはじめ、駅前周辺の専門学校や予備校、JRを利用する学生やビジネスマン、熊本を訪れた方々の情報交流の起点となり賑わいを創造し、熊本の地域力が体現できる場として期待しています。是非、熊本にお越しの際、くまもと森都心プラザへお立ち寄りください。
 
[木本]本日は、貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。
 

くまもと森都心プラザ　プラザ図書館
所在地：熊本市西区春日1丁目14番1号
TEL：096-355-7401（代）
開館時間：月～土曜 9：30～20：00、日・祝 9：30～18：00
休館日：毎月第3水曜（祝日を除く）、年末年始、特別整理日（7日以内）
URL：http://stsplaza.jp/library/