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PASSION VOL.33 November.2011
震災への取り組み

14 龍谷ミュージアム

地域社会に根ざした大学ミュージアム


話し手:熊谷 睦史(龍谷ミュージアム 事務部長)
聞き手:木本 拓郎(金剛株式会社企画チーム チームリーダー)

龍谷ミュージアム

 
 
[木本]平成23年4月に龍谷ミユージムが開館しました。経緯や位置づけについて、お話を伺います。
 
[熊谷]龍谷大学(以下、龍大)は、僧侶の養成機関として1639年に創設された学寮を起源とし、今日に至るまで仏教を中心とする様々な学術資料を収集してきました。現在では国宝や国の重要文化財などを始めとする文化財を多く所蔵していますが、それらを常に公開する施設がありませんでした。そこで、10年スパンで計画・実行する第4次長期計画(2000年~2009年)にて博物館構想を掲げ、大学と社会の接点として、生涯学習や研究成果の社会への還元の場として、開設に向けた検討を開始しました。
 
一方、学術審議会は、平成8年にユニバーシティ・ミュージアムの設置を奨励する提言を表明しました。それを受け、東京大学を始めとする国立大学に博物館が次々に設置され始め、追随するよう私立大学も取り組み始めていました。
 
多くの大学博物館はキャンパス内にあるのですが、西本願寺から正面の敷地を無償貸与していただき、「街に開かれたミュージアム」の開設を目指しました。
 
 
[木本]龍谷ミュージアムの特長をお聞きします。
 
[熊谷]1つ目は、浄土真宗に限らず、仏教を網羅的に分かりやすく紹介する、世界初の仏教総合博物館という点です。2つ目は、龍大における研究成果を公開するだけでなく、近隣地域の交流拠点として、住民と共に多彩な文化的活動を展開する地域に根ざした施設である点です。敢えて龍谷大学博物館とせず、「龍谷ミュージアム」と称したことも、一般の方々に、少しでも身近に感じて頂きたいという願いからのものです。近隣の門前町界隈は、信仰の集う街として、仏具や念珠、お香、茶道といった伝統工芸や文化が息づく所です。龍谷ミュージアムが、さらに活気溢れる街並みになるよう、住民と共に様々な取り組みを行っていきます。8月には、地下1階のエントランスホールで、龍大学生による雅楽の演奏会を行いました。多くの住民の方々が、家族連れでお越しになり大盛況でした。
 
 
[木本]今回の計画に当たり、ご苦労のエピソードをお聞きします。
 
[熊谷]開設までには、大学内での合意形成をはじめ、様々な局面で問題や課題が多くありました。その一つに、いわゆる京都市景観条例への対応がありました。建物の高さ、デザイン・配色の制限など、この条例には細かな規制があり、特に、世界文化遺産である西本願寺の正面というこの敷地は、一番厳しい規制が敷かれていました。そこで、設計者とともに何度も京都市役所を訪問し、協議を重ねました。絶対条件とした展示室と収蔵庫のスペースを確保するため、このような条件のもとで検討を重ね、外観を含めて決定するまでには多くの労を費やしましたまた。
 
また、私は博物館の建築については全くの素人でしたので、100件以上の全国の博物館や美術館を視察し、自分が見て・感じて・聞いたことをもとに、想いを具体的に設計者に示し、理解を深めながら進めました。利用者としての視点に立つことは、私が最も大切にした点です。既設の博物館学芸員の方々を始め、多くの方々のアドバイスが肥やしとなりました。特に、当時の京都国立博物館学芸課長であった森田稔さん(現・九州国立博物館副館長)には、設計図面を何度もご覧いただき的確なアドバイスを頂戴したことは貴重な財産となりました。
 
 
[木本]今後の展望や取組みについて、お話を伺います。
 
[熊谷]開館してまだ半年しか経っていませんが、リピーターの確保ためには、魅力ある居覧会を継続的に開催することが一番だと考えています。また、多くの大学博物館は無料ですが、龍谷ミュージアムでは観覧料を頂いています。有料であるからこそ、しっかりとした展覧会を開催しなければなりません。今年度の目標来場者数19万人を掲げ、全国的にも広報活動を展開しています。当館だけでなく、世界文化遺産である西本願寺や文化や歴史の風情溢れる門前町、京都市も含めた連携を持ちつつ、地域全体でPRできればと考えています。
 
 
[木本]本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。
 


龍谷ミュージアム
所在地:京都府京都市下京区西中筋通正面下る丸屋町117
TEL:075-351-2500
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
常設展観覧料:一般500円 シニア400円 大学生400円 高校生300円 中学生以下無料
休館日:毎週月曜日、祝日は開館(翌日は閉館)、その他展示替え等による休館あり
URL:http://museum.ryukoku.ac.jp


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