KONGO PASSION vol.35 2014.10
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ラーニング・スクウェア ―立教大学池袋図書館の概要についてお尋ねします。  立教大学池袋図書館は、池袋キャンパス内に分散していた4つの図書館を1つに統合・整理することを前提に建設され、2012年11月に全面開館しました。旧4館の合計最大収蔵冊数が100万冊であったのに対し、池袋図書館は最大収蔵冊数開架100万冊(固定書架60万冊、電動集密書架40万冊)、閉架100万冊(自動書庫)の計200万冊としました。また、以前の図書館では座席数が約1,100席でしたが、池袋図書館は1,520席(講習会室100席除く)と増席しました。 ―貴館の特長を教えて下さい。  延床面積が約19,000㎡、最大フロアのB1Fは100m×50mの大空間を持つこと、そして最大収蔵冊数200万冊と単館としては最大級の図書館の1つであることが特長と言えます。また池袋図書館は、4つのコンセプトを掲げています。 ① 『滞在型図書館』   長時間滞在できる図書館をめざし、平日の開館時間を8:45~22:30と長く設けました。飲料は蓋付きであれば持ち込み可能にしています。B1Fリフレッシュルームにはパンの自動販売機もあり、3Fのテラスと合わせてこの2か所に限っては弁当などの軽食の持ち込みも許可しています。  就職活動中の学生は企業から電話がかかってくることが多く、そのたびに慌てて図書館の外へ出て行く姿も見受けられたため、池袋図書館では携帯電話通話可能なエリアを設けました。また、モバイル機器の進化に伴い、これらも学習のための情報収集に必要なツールであると考え、館内でのモバイル機器の充電も許可しています。  以上のように、学生が長時間滞在しても不便がないよう、できるだけ規制を緩和・撤廃しました。結果として、入館者の15%の滞在時間が3時間を超えるという統計データも取れています。学生にインタビューしてみたところ、「授業以外はここにいる」という声も多くありました。 ② 『グループワークの図書館』   利用者の動向を見ると、大学図書館は読書する空間というよりも、資料を用いた学習が行われる空間として使われることが多いと言えます。近年、アクティブラーニング、PBL(Problem Based Learning=課題解決型授業)といった、教員から提示された課題に対して学生が少人数のグループ毎に取り組むという授業が増えているため、図書館も学生の学びのスタイルの変化に対応することが必要となってきています。そのため当館にはグループ学習室を8室設けているほか、インタラクティブな学びの場として「ラーニング・スクウェア」を図書館エントランス奥に設置しました。グループ学習室は予約制で、開館時間の70%ほど稼動しています。「ラーニング・スクウェア」は予約不要で自由に使ってもらえるスペースですが、夜遅くまで多くの学生で賑わっています。グループワークで賑わう場なので、ここでは携帯電話の使用を認めています。 ③ 『バリアフリーの図書館』  主要な動線はすべて自動ドア化・フラット化し、車椅子の利用者が自由に移動できるようにしました。また、多目的トイレや電動昇降机も全フロアに設置しています。 ④ 『学修支援の図書館』   図書館は学生の情報リテラシーの向上をミッションのひとつとして掲げており、その支援のためのサービスを提供しています。具体的には、図書館職員によるレファレンス、大学院生によるライティングヘルプである「ラーニングアドバイザー制度」、そして学部学生による「コンピュータヘルプ」の3つを柱としたものです。さらにICT環境の整備という意味で、図書館には600台のパソコンを用意しており、そのうち300台は「ラーニング・スクウェア」2階のPC貸し出しカ6

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