KONGO PASSION vol.35 2014.10
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もなっているようです。MONDO書架の貸出率は70%強です。New Books の棚などは1週間に1度模様替えして、返却された資料は再配架されません。本棚に並んだ本との一瞬一瞬の出会いが付加価値となって学生の関心を集めているようです。10年間も借りられなかった本がMONDO書架に配架した途端に借りられていくこともあります。 ―ワークショップの感想としてどうでしたか?  これまでは分類番号順で資料を並べているだけでしたが、ワークショップでは、①一定のテーマで選ぶ(例えば表装が赤い本のみを選書して書棚を「赤の棚」と名付ける)、②魅せるディスプレイを意識する、③本の内容をコメントする、④情報をどのように編集し、ストーリーを作り上げていくかを考えるというように、これまでの業務と全く違った角度での本や資料との接し方を学びました。ワークショップを経て、1人1人の職員が1冊の本の並べ方について色々と考えるようになりました。例えばイラスト描きやコメントの付け方などといった思いがけない職員それぞれの才能を発掘することもできました。本棚は模様替えの都度バージョンアップしていることが目にみえて分かります。 ―このようなプロジェクトを実施するにあたり、学内調整はどうだったのでしょうか?  共読ライブラリープロジェクトは、図書館だけではなく、大学のブランドアイテムとして位置づけることも目指しました。つまりブランディングです。学長をはじめ多くの大学関係者が携わり、支持を得てきました。  共読ライブラリーのブランディングの根底には本学の教育理念である「自分流」があります。「自分流」とは「生き方の哲学そのもので、自分がなすべきこと、興味あることを見つけ出し、自分の生まれ持った個性を最大限に生かすべく知識や技術を習得し、それを自分の力として行動する」ということです。共読を通じて培われる力=読書リテラシーはまさに「自分流」を支えてくれることになります。このブランディングを学内外に積極的に情報発信することで、認知をいただけたことは幸いでした。  全学で推進していくための具体的な行動としては、5つ挙げられます。①学生が主体的に共読ライブラリーを運営していける組織体を作ること、②教員に推進側のメンバーとして参画してもらうこと、③学長をリーダーとした全学的プロジェクトのイメージ作りをおこなうこと、④外部の評価を大学内に還元すること、⑤すべてを記録し編集することです。  ちなみに、これまで松岡正剛氏と冲永佳史学長の共読対談は2回実施、昨年の図書館総合展ではフォーラム主催やブース出展を行うことで、外部から多くの声をいただきました。今年も図書館総合展に出展します。 ―課題について伺います。  共読ライブラリープロジェクトはまだ始まったばかりです。「読書術コースウェア」の学習基礎力向上(本の読み方からスタートする)の段階から図書館は携わっていますが、まだ全学部まで至っておりません。教員との連携はさらに強化していかなければならないと考えています。  本プロジェクトは4カ年計画として大学事業計画に折込まれています。当然それに見合った成果を出していく必要があります。その大変さも痛感しています。 ―最後に、展望について伺います。  黒板本棚で人が感じている思いや薦め(リコメンド)を見える形にできました。共読に取り組んで今年で2年目になりますが、今後はリコメンドをシステム上で共有していきたいと考えています。SNS等の導入と情報発信の仕掛けを作り、バーチャルな共読環境が構築できればと思います。それには学生や教員だけではなく、一般利用者までをも含んだリレーションを増やし、学内外のイベントと連動した形にできたら面白いと考えています。  さらに、「MELICブッククラブ」へ発展させていきたいですね。今後の共読サポーターの増員と育成はその推進者としての一端を担ってくれることになるでしょう。  4年間のプログラムなので、今後も温かく見守ってください。 ―本日は、貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。 4帝京大学メディアライブラリーセンター 所在地 開館時間 休館日 URL/東京都八王子市大塚359 /平日 8:45~22:00、土曜 8:45~18:30 /日曜日・祝祭日・年末年始・臨時休館日 /https://appsv.main.teikyo-u.ac.jp/tosho/tos.html

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