KONGO PASSION vol.35 2014.10
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-文書保存庫の保存環境について伺います。 (堤)文書保存庫は、24時間の温湿度管理を行っています。ほとんどが紙資料であるため、温度について冬は22℃、夏は25℃とし、湿度は55%に設定されています。簿冊は、中性紙保存箱に収納され、棚は免震機能を有した集密棚を導入し、火災対策としてはガス消火設備を有しています。  虫菌害対策としては、受入時の燻蒸処理だけではなく、文書保存庫へ入室する際は、出入口に粘着マットを敷き、靴の履き替えも行っています。 -まだ1年未満の運営ではありますが、課題について伺います。 (杉谷)来館者の方から「公文書館って何?」と言われることがあり、県民や近隣住民の方々の認知度は、非常に低いと感じています。各自治体においては、文書担当者しか認知がないかもしれません。私自身、広報も担当していますので、公文書館が何のための施設なのかを普及していくために、たくさんの課題があります。  それから当館の職員構成として、アーキビストと呼ばれるような正規の専門職員がいません。職員は、行政職であるため異動が伴います。開館時の職員マニュアルは、館全体で周知されていますが、実務を通じて分かった事務分担の追加・修正・見直しなど、細かな点を積み重ねながら、後任の職員へ業務をスムーズに引き継げるようなマニュアルのバージョンアップをしていかなければならないと思います。 (堤)資料文化財等の分野で進展しているIPM、薬剤に頼りすぎない保存活動を実務的にどう取入れていくのかも課題として挙げられます。移管されてくる文書は、自治体ごとに保存状態にバラツキがあり、年代によって紙質の経年劣化やカビの影響も見受けられます。文書保存庫への配架入庫時に燻蒸処理していますが、保存・管理の具体的なルール作りについて課題として挙げられるかもしれません。 -デジタル・アーカイブスについて、いかがでしょうか。 (杉谷)資料の利用普及を進めるため、デジタル・アーカイブスに取り組んでおり、マイクロフィルム化、デジタルデータ化については、推進していきたいと考えています。デジタル・アーカイブスについては、まだ取掛かったばかりであり、今後は活動を通じて、資料やノウハウを蓄積していきたいです。 -最後に展望について伺います。 (堤)当館の運営はまだ1年も経っておらず、始まったばかりです。受入・保存・管理等の態勢の確立に向けて、スキルアップを行っていきたいと思います。具体的には、文書を見る目や技術、知識の蓄積、人材の育成・強化などが挙げられると思います。 (杉谷)課題として挙げた、広報担当として認知の向上を推し進めていきたいと思います。公文書館というと敷居がものすごく高いと思われがちですが、当館は一般利用も可能な展示室や会議室・研修室も備わっています。企画展示においては、開館特別記念展として、「公文書にみる福岡140年のあゆみ~福岡県の誕生と市町村合併~」と題し、明治期以降の福岡県や市町村の誕生、合併などを紹介し、現在(平成25年9月時点)は、「公文書でひもとく福岡県の石炭産業~山本作兵衛作品とともに~」と題し、福岡県内の石炭産業を取り上げて、情報発信をしています。難しい公文書が多いなか、県民の方々に関心を持ってもらえる工夫、講演会や講座を開催し、多くの方々との接点づくりが重要だと考えています。開催告知については、色々と創意工夫をしていきたいです。  当館では、まだまだ今後取組むべき課題が山積みしていますが、1つずつ解決していきたいと思います。 -本日は、貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。 40福岡共同公文書館 所在地 開館時間 休館日 URL/福岡県筑紫野市上古賀1-3-1 /午前9時 ~ 午後5時  (資料の利用請求・複写申込は午後4時30分まで) /月曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日  (その日が月曜日に当たるときは、その翌日)  年末年始(12月28日から1月4日まで)  特別整理期間として館長が別に定める期間 /http://kobunsyokan.pref.fukuoka.lg.jp/

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