KONGO PASSION vol.35 2014.10
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12公文書館 -本日は、全国初の県と市町村の共同で設置された福岡共同公文書館を訪問し、色々と運営についてお話を伺います。はじめに、館の概要と経緯についてお尋ねします。 (杉谷)福岡共同公文書館(以下、当館)は、福岡県と県内の地方自治体(政令市である北九州市と福岡市を除く)が共同で設置・運営する公文書館で、全国で初めての取組みです。当館1階に総合案内をはじめ、閲覧室や展示室、休憩コーナー、作業室があり、2階には文書保存庫、マイクロフィルム保管庫、さらに一般利用が可能な会議室や研修室、3階に文書保存庫が設けられています。  当館では、文書保存庫が7つ設けられ、収納棚の総延長は26.4km、約88万冊以上の文書を所蔵する能力を有しています。  昭和61年から将来の公文書館設置を視野に、歴史的文書の選別を開始し、検討してきました。しかし、公文書館を単独建設することは、財政的に非常に厳しい状況でした。そこに平成の大合併があり、各市町村では、合併によって重要な文書が散逸してしまう可能性が懸念されたことなどから、平成18年、福岡県と市町村が協議・連携して、国内発の共同公文書館構想を打ち出しました。「共同」のメリットとしては、施設建設や運営の財政負担の軽減、適切な管理の実現、ワンストップサービスによる利便性の向上などが挙げられます。  平成24年11月に開館したばかりで、まだ1年も経っていませんが、着実に公文書の受入と利用を展開しています。 -それでは、運営についてお尋ねします。まずは、どのような組織体制になっていますか? (杉谷)当館は、福岡県の出先機関として、また福岡県自治振興組合の内部組織として、館長の下に総務企画班と文書班が配置されています。非常勤嘱託職員等を含めると、総勢17名で運営しています。 -各自治体からの受入について伺います。 (堤)公文書は評価選別基準に従って、各自治体で一次選別を行い、歴史公文書と判断されたものが、当館に移管されてきます。移管された公文書は、職員が簿冊を一冊ずつ確認し、内容の入力等を行い、選別をしていきます。  そのデータをもとに、館長と文書班の職員全員で選別会議を行い、最終的に公文書館に保存される公文書を決定します。  整理された公文書は、燻蒸処理後、文書保存庫に配架されます。公文書は、中性紙の箱に入れて保存し、バーコード管理にて、保存庫と棚と簿冊のロケーションを管理しています。 -利用について伺います。 (杉谷)公文書の利用では、移管元自治体からの行政利用申込と、研究者や個人の方からの一般利用請求により手続を行う方法があります。その後、利用請求審査を経て、請求者へ決定通知書を発行します。数ある公文書の中から利用目的に沿った内容を提供できるよう、利用者の方と話し、利用請求後は来館する際に決定通知書を御持参いただき、閲覧等することとなっています。基本的には、請求から15日以内に決定通知書を発行しています。  ちなみに、利用請求の場合、請求された公文書の内容を確認し、審査基準に従って審査を行いますが、個人情報等がある場合は、移管元自治体に意見照会を行い、当館で複写したものをマスキングしています。利用に関しては、自治体の借覧は可能ですが(30日以内)、一般の利用は閲覧と複写しかできません。  なお、文書保存庫へ返却する作業では、配架ミスを防止するために、2名体制で作業しています。 Interview全国初、 県と市町村の共同公文書館 39福岡共同公文書館 聞き手/木本 拓郎(金剛株式会社 業務本部)     原田 亜美(金剛株式会社 社長室) 話し手 堤  エリ(福岡共同公文書館 文書班) 杉谷 紋羽(福岡共同公文書館 総務企画班)

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