KONGO PASSION vol.35 2014.10
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手順書を細かく作成したのですが、すべて実施しようとすると非常に時間がかかってしまったので、当館で無理なく継続できるようなものへの見直しも行いました。また、職員の勤務シフト上なかなか全員が集まる機会がなく、IPMの話を全職員に話すことは難しかったため、『IPMニュース』を月に1度発行することで浸透を図りました。従来から収蔵庫内に毛髪式の温湿度計を配置し、除湿機にて庫内管理を行っていましたが、様々な活動の結果として、虫の死骸を発見した職員からの連絡は自然と集まって来るようになりました。皆で作業を行うことで、目的の共有もできたのではないかと思います。また、私の参加以降、他の職員も九州国立博物館の研修を受けています。 ―IPM活動の今後の課題は、何かありますか。  効果の判定をどうするか、というところだと思います。害虫は目に見えますが、菌などは目に見えませんので(笑)。  継続性をどうやって持たせるかというのも大きな課題ですね。それも、マニュアル通りに行うのではなく、改善の意識を常に持っておく必要があります。  継続性にも、「効果が見えるかどうか」は関わってくるのではと思います。やはり効果があると分かれば続けられるのではないでしょうか。ダイエットに似ていますね(笑)。  それに、現時点では燻蒸も止めていますが、建物も建設から約30年経って老朽化が進んでいますので、急激に保存環境が悪化するリスクも考えられます。そういった緊急事態への対処に関する判断・見極めもできるようになっておく必要があります。これも、年に1度の燻蒸をしていた頃には気づかなかった点だと思います。やはり「燻蒸さえしてしまえば安心」だと思って、思考停止してしまいがちでしたので。IPM活動についてはまだはじめの一歩を踏み出したばかりですが、今後も試行錯誤しながら当館なりのIPM活動の形に落とし込んでいきたいと思います。 ―では最後に、館としての今後の展望を教えて下さい。  やはり資料収集から保存・公開という一連の流れを、IPM活動なども手段の一つとして適切に取り入れながら、より良くしていきたいと考えています。  本来、古文書のようなものは、それが作られてきた場所で保管されるほうが良いものでもありますが、それが個人宅などで難しいという場合のために当館がありますので、そういった際に頼ってもらえるような場をいっそう整備していきたいですね。 ―本日はありがとうございました。 36柳川古文書館 所在地 開館時間 休館日 入館料 /福岡県柳川市隅町71-2 /9:30~16:30(入館は16:00まで) /毎週月曜日  (月曜日が休日の場合はその翌日)、  年末年始(12月28日~1月4日) /無料

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