KONGO PASSION vol.35 2014.10
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廃棄されてしまうことがあり、当館への一部移管もありました。  現在、当館は個人の方から直接ご相談いただくこともありますし、教育委員会文化係を通じて情報提供がある場合もあります。  また、そういった古文書の受け入れと整理・保存のほか、常設展・年2回の企画展・さげもんめぐりの期間※2の特別展示などの公開や、公開講座などの教育普及、目録と年報の年1回の発行などの役割も担っています。 -職員体制はいかがでしょうか。  柳川古文書館には生涯学習課の係の内、市史編さん係と古文書館とが同居しています。市史編さん係は平成5年より柳川市が独自で行っている市史編さん事業に携わっており、古文書館の学芸業務を兼務しています。当初柳川古文書館と市史編さん係は所管も異なりましたが、市史編さんと古文書館には業務に関連性があることから当初から職員は相互に兼務し、のちに教育委員会の所管となりました。現在柳川古文書館には館長、学芸員(副館長)、学芸嘱託、業務職員、事務職員が各1名、市史編さん係に学芸員2名、事務職員(嘱託)1名、学芸嘱託4名、計12名の職員がいます。 ―古文書の受け入れについてお聞きします。  こちらから伺って史料の保管状況や概要などを確認し、必要であれば整理などを行って、当館への寄贈や寄託などをご提案する場合と、「こんなものが出てきた」と、持ち主から当館にご相談をいただいて受け入れる場合があります。前者については月に数回調査へ赴くこともあります。後者に関しては教育委員会など、当館以外の窓口にご相談されるケースもあります。  筑後地方は戦災や人口流出が比較的少なかったため、昔からの『家』が受け継がれてきたという特色があります。そのため古文書も多く残っており、状態も良好なものが多くありました。  それらの古文書の所在に関しては、福岡県の緊急古文書等調査の際に判明していたものもありますし、「あの家に古文書があるらしい」などと周囲の方から情報をいただくこともあります。また、市史編さん事業による別件の調査時に古文書も発見する場合があります。  さらには市史編さん係が主催する講演などにおいて「古文書があればご相談下さい」という呼びかけをすることがあるのですが、それを聞いたことがきっかけでご相談を下さる方もいらっしゃいます。その意味で、古文書館と市史編さん係は相互補完の関係を築けていると思います。 ―受け入れた後の業務の流れについて教えて下さい。  受け入れた後の古文書には、まず基本的に簡易的なクリーニングを施します。古文書を受け入れた場合は、仮置場にて自分たちで二酸化炭素による殺虫をします。そして古文書の内容を確認して目録を作成し、整理・保管、公開するという流れになります。目録作成においては古文書の名称、年月日、作成者、宛所、内容、備考、形態などの情報を整理します。その後、古文書を書庫へ移します。当館には書庫2室、特別書庫1室、収蔵庫の計4室があります。  保管の際、古文書や道具に直接ラベルを貼るのではなく、識別ナンバーを書いた中性紙の封筒や箱に入れて保存します。ここからの出し入れは基本的に学芸員しかできません。 ―資料保存の取り組みについてお聞きします。  既出ですが、古文書の受け入れ時は簡易クリーニングもしくは二酸化炭素による殺虫を行っています。さらに、カビなどがとりわけ危険な状態のものについては、本館である九州歴史資料館が行っている燻蒸の時期にあわせて持ち込み、一緒に燻蒸もしてもらうこともあります。頻度は多くはありませんが、これまで1、2回行いました。  本館とはこういった燻蒸の他、人的交流や、所蔵品を借りてこちらで展示をす34

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