KONGO PASSION vol.35 2014.10
32/44

文化施設 ―はじめに、館の概要と特長を伺います。  香美市立やなせたかし記念館・アンパンマンミュージアムは、アンパンマンの作者・やなせたかし氏のふるさとである高知県香北町に1996年7月に開館しました。当初の予想を上回る大勢の方々がアンパンマンの世界を楽しむために県内外から訪れたため、アンパンマン以外のやなせ氏の作品を展示し、漫画・イラスト・絵本・詩など幅広い芸術文化を発信していく場として、1998年8月に「詩とメルヘン絵本館」が新たに開館しました。そして、その他のイベントや地域の文化活動の場として2001年7月に「別館」が開館。2011年10月には収蔵庫を増設し、現在は「アンパンマンミュージアム」、「詩とメルヘン絵本館」、「別館」、「収蔵庫」の4棟で構成されています。  豊かな自然に囲まれ、日常の喧騒から離れゆっくりとした時間を過ごしていただける大人も子どもも楽しめる美術館です。県内外より年間約20万人の方が訪れています。  アンパンマンミュージアムには、当館のためにやなせ氏が描き下ろしたタブロー画をはじめ、アンパンマンの絵本原画など、アンパンマンの世界を多彩に展示しているやなせたかしギャラリーや、「それいけ!アンパンマン」の過去のアニメ作品を上映しているアンパンマンシアター。アンパンマンたちが暮らす町をミニチュアで再現したアンパンマンワールドなどがあり、実際に触れたり探したりできるような仕掛けがあちらこちらにあります。館内に順路はありませんので、好きなように楽しんで観ていただくことができます。  「詩とメルヘン」とは、やなせ氏が編集長となって1973年から30年間発行していた詩とイラストレーションの雑誌のタイトルです。詩とメルヘン絵本館では、やなせ氏の描いた雑誌「詩とメルヘン」の表紙原画や挿絵をはじめ、詩や漫画など、アンパンマン以外の幅広いやなせ氏の創作世界を紹介しています。来館して「これもやなせたかしさんの作品だったんですね。初めて知りました」と、その幅広い仕事に驚かれる方もいらっしゃいます。また、「詩とメルヘン」ゆかりの作家や国内外の絵本作家による原画展も開催しており、そういった企画展を楽しみに来て下さる方も大勢いらっしゃいます。 ―新しく増設した収蔵庫について伺います。施設計画について配慮したことや考えたことはありますか。  もともと、アンパンマンミュージアムの3Fに1室、詩とメルヘン絵本館地階に1室の収蔵庫があったのですが、予想を上回る収蔵量の増加で収蔵スペースが不足し、窮状を知ったやなせ氏が建築し寄贈してくれることとなりました。そして、2011年10月、2階建て延べ712平方メートルの新収蔵庫が完成しました。  庫内はまず、1Fにトラックヤードがあります。その奥に荷解き室と作品の調査などを行う一時保管庫があります。一時保管庫の奥には、アンパンマン関係の原画を保管している作品庫が1室あります。額装されている原画は箱に入れて移動棚に、額のないものは酸アルカリ吸着シートを入れたキャビネットに保存しています。  2Fには、アンパンマン関連書籍や雑誌「詩とメルヘン」のバックナンバーはじめ、やなせ氏に関連する資料を保存すやなせたかし先生の 多彩な創作世界を伝える、 家族で楽しめる美術館 31香美市立やなせたかし記念館 聞き手/木本 拓郎(金剛株式会社 業務本部)     原田 亜美(金剛株式会社 社長室) 話し手 鈴木 康将((公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団 学芸員) 新谷 智子((公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団 学芸員)

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です