KONGO PASSION vol.35 2014.10
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ータ収集の効果としては、①データの見える化を図り、展示建造物や展示室の環境改善の予算要求がしやすくなりました。②虫の生育時期の把握がしやすくなりました。「もうそろそろ、チェックや換気の間隔をこまめにしなければ」など、早めの対処ができるようになりました。 2. 各資料の調査・研究  明治期の多くの資料について調査研究を行っております。特に、明治村には東宮御所(現 国宝迎賓館赤坂離宮)や明治宮殿などで使用された400点を超える家具をコレクションしており、他の博物館美術館にはない貴重な資料です。現在、目録化を進めています。それらの情報はまだ十分ではなく、新たな発見があった場合は季刊誌「明治村だより」で発信しています。 3. 教育普及の推進  教育普及の一環として、明治村でのワークショップや見学ガイドを行っています。 4. 明治村だよりの発行  明治村だよりは年4回の発行を行い、イベント情報だけではなく、明治村で収蔵している資料・コレクションを紹介しています。 5. 明治村茶会の企画運営  明治村の広大な庭園で年に1度、大きなお茶会を開催しています。流派にとらわれることなく、歴史的建造物の活用の一環です。 6. レファレンスの対応  明治に関連した外部からの質問への対応を行っております。特に、マスコミ関係者の方から問い合わせが多く、例えば、クイズ番組や映画・ドラマにおける明治期の時代考察証に関することです。また、明治村では映画やドラマのロケ撮影にも活用されています。 ―建物へ資料も展示されていますが、保存に関する取り組みについてお尋ねします。  展示資料は温湿度や自然光をコントロールできない中で展示されていますので、展示資料の状態の確認や、急激な温湿度変化がないかなどに注意を払うとともに、ガラスが多用されている建物には紫外線カットや防虫に効果があるといわれるフィルムを貼るなどの対応をしています。しかし一番大切なことは、日ごろの目視点検ですね。  収蔵に関しては、これまでは展示建造物の公開していない部屋を収蔵庫として使用していました。何度も申し上げているように、温湿度管理ができていない部屋です。加えて、資料は受入順に収蔵されていましたので、文書の隣に農具が置いてあったり、宮廷家具の隣に解体材のレンガが置いてあったりという感じでした。現在、やっと資料の材質によって収蔵場所を変えたり、文書箱を使用するというところまできました。  今回、専用の収蔵庫を整備できたことで、貴重資料をより良い環境で保管することができるようになりました。また、他館との資料貸借もありますので、きちんとした収蔵庫が整備できたことは非常に喜んでおり、資料のコンディションレポートに対処できる受け入れ体制の整備は心強くなりました。 -最後に、今後の活動について展望を伺います。  明治村は見学者が実際に触れて、体験することができる、ユニークなミュージアムです。例えば、洋館では椅子に座って、建造物の空間を味わい楽しんでいただくことの大切さも訴求できればと思います。それらを体感したことで、明治村に展示されている建造物や歴史資料と見学者の距離が縮まり身近に感じられる、そんな博物館を目指したいと思います。明治時代の生活や文化を後世に伝えるため保存に留意するとともに、「明治村」という文化資源を再認識していただけるよう訴求していきたいと思います。 -本日は貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。 博物館明治村 所在地 開村時間 休村日 観覧料 URL/愛知県犬山市内山1 /9:30~17:00(11月~2月は変更あり、  ウェブサイトをご確認ください) /12月31日、  12月~2月中の毎週月曜日(除く年始、祝日) /有料(ウェブサイトをご確認ください) /http://www.meijimura.com 30企画展示の様子 ワークショップ 〈常設展示〉旧東宮御所紅の間

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