KONGO PASSION vol.35 2014.10
12/44

しました。設計者はデザイン性を重視し、図書館員は利用者の使い勝手や今後約30年使うための耐久性も考慮するという考え方の違いがあったので、幾度もモックアップを評価して、ギャップを埋めていきました。今回、ブックトラックも造作で対応してもらい、キャスターの動作や握り手の位置や作業性も検証しましたよ。椅子については、長時間座っても疲れないとか、椅子の引き出しやすさや動かしやすさ、荷物の落下防止などが、かなりこだわったところです。椅子が一番使いますし、一番劣化しやすいところなので、気を使いました。  中央館は開架エリアの天井に照明がついていません。設計者側から、落ち着いて学習できる空間演出や省エネルギー対策として、間接照明と机の手元照明のみ設置という提案を受けました。計画時点では「やっぱり暗いのではないか」、「防犯上は大丈夫なのか」といった不安も正直ありました。実際は空間の演出や利用者からの苦情もなく、照明学会の照明普及賞もいただいたので、時代の流れに合った照明なのかもしれないと思っています。  さて、運営サービスについてですが、建物は最高のものが整いましたので、それに見合うサービスの展開を模索することになります。学生に対する学修支援のひとつとして、ライブラリーアシスタントを配置しました。ライブラリーアシスタントは大学院生が構成員となっており、データベースの使い方やレポート・論文の書き方などを学部生にラーニング・コモンズにおいてアドバイスするシステムです。日中の時間帯にライブラリーアシスタントが常駐できるようにしているので、学部学生からの相談件数も増え、評価も高くいただいています。  また、旧図書館では開架エリアに約10万冊程度しか配架できていませんでしたが、新館では30万冊が並びますので、学生や教員が多くの図書資料をブラウジングできるようになました。さらに、豊富な電子ジャーナルやデータベースを利用できる環境も整えました。  自動書庫の導入の結果、利用者自身でOPACから特定資料を検索、出庫指示できるようになり、迅速な出納サービスが実現しました。自動書庫の利用も1日100件程度ありますので、これを人的に対応していたら多くの時間を要していたと感じています。 11!知的刺激を受ける場としての図書館づくり 福岡大学中央図書館 窓際の閲覧席 グループ学習室と予約状況が表示されるディスプレイ ブラウジングコーナーと新聞閲覧コーナー 試行錯誤を重ねた椅子

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です